血液検査からわかる異常
数値の変化に注目することも重要
ひだまり内科クリニック
(四日市市/山城駅)
最終更新日:2024/07/10


- 保険診療
健康診断のときに血液検査を受けた経験は多くの人が持つのではないだろうか。だが、健診結果を手にしても、見なれないアルファベットが並んでいて、どの項目がどの病気と関わりがあるのかを判断するのは難しい。それゆえ、二次検査の必要がなければ大丈夫だろうとそのまま引き出しの奥にしまっている人も多いのではないか。血液内科を専門とする「ひだまり内科クリニック」の伊藤公人院長は、異常とされなかった項目であっても、毎年の数値変化などに注目することも重要だと話す。患者の見える部分だけから判断するのではなく、その奥に隠れている部分まで掘り下げて、全身をトータルに診ることをめざす伊藤院長に、血液検査の結果からわかるさまざまな疾患から、身近な生活習慣病や頭痛、腹痛などの治療法まで詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月11日)
目次
よくある症状に病気が隠れている場合も。体の不調を感じたらまずは医療機関に相談・受診を
- Q私たちは健康診断の結果のどこを気をつけて見れば良いですか?
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A
▲血液内科を専門とする伊藤院長
心電図から見つかる不整脈や狭心症、胸部エックス線検査から見つかる肺疾患など健康診断は病気を早期発見するのに役立ちますが、その中でも血液検査の異常値は高血圧症や糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞など多くの疾患に関係しています。健康診断で二次検査が必要とある場合は、○ヵ月後などの指示に従い受診してください。また、結果が正常値である場合も、経時変化を見ることが大切で、毎年数値が悪くなっているようなら、将来的に病気へとつながってしまう場合もあるので注意して見ていく必要があります。ですから過去の健診結果もできれば保管しておいて、体調不良でクリニックにかかる時には、持参してもらえると良いですね。
- Q血液の異常が全身に及ぼす影響について教えてください。
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A
▲血液検査で臓器や疾患についてある程度把握することができる
私たちは脳や肺や心臓などと同じように血液は一つの臓器だと考えています。血液は体中いたるところにあるという特徴を持った「臓器」なんです。血液は体中を巡りながらさまざまな臓器と接しており、接した臓器とさまざまな情報のやりとりをしています。このような特徴を持つ血液を採取し調べることで他の臓器の様相もある程度把握できるわけです。血液1滴からあらゆるがんの診断をすることが医学のゴールの一つといわれるように、血液は私たちの体のさまざまなことを教えてくれるんですよ。血液の異常と聞いて思い浮かべやすい貧血には、がんや胃潰瘍などの病気が隠れている場合もあるので、軽く考えず原因をしっかり見極めることが大切です。
- Q生活習慣病も血液検査から判明することも。具体的な治療法は?
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A
▲生活習慣病の治療では栄養指導や運動指導も行う
高血圧症や糖尿病、脂質異常症などいわゆる生活習慣病と呼ばれる疾患も、血液検査によってさまざまなことがわかります。これらの疾患治療の基本は投薬になりますが、薬を飲むことによる病状の変化を確かめるために、定期的に血液検査を行いながら経過観察をしていきます。また、これらの疾患は生活習慣病といわれるように、患者さんの生活習慣が大きく影響しています。ですから、当院では食生活を改善するための栄養指導に加え、運動指導も併用して行っています。治療は生活習慣を改善することが土台で、その上に投薬が乗っかっているとイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれませんね。
- Q生活習慣病の治療は継続が難しいと聞きます。
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A
▲患者の生活に合わせた治療方法を提案する
例えば高血圧症を放置すると動脈硬化から心筋梗塞につながったり、糖尿病は悪化すると失明したりする場合も。ですが、当院では患者さんに「怖い病気になるかも」と恐怖で治療を促すのはなく「放置すると重大な病気につながる場合もありますが、今頑張ることで良い方向に向けていきましょう」と自ら治療に取り組める動機づけを考えています。そのためには、できるだけ患者さんの生活に合わせた形で実践できる方法を提案します。例えば運動する時間がない方には「通勤を車から自転車に」ラーメンが好きな方には「毎日から3日に1回に」のようにですね。患者さんのライフサイクルの中で変えられる部分を一緒に見つけていくようにします。
- Q頭痛や腹痛はつい市販薬で済ませがちです。
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A
▲自己判断せず気軽に相談してほしいと話す
頭痛や腹痛は誰にでもよく起こる症状なので「いつものことだから」と市販薬を飲んでやり過ごしている方も多いと思いますが、その症状が危険なものなのかそうでないのかは、やはり医師が診察・検査をして初めてわかる場合が多いです。また最近はインターネットでさまざまなことがわかり、AIによる診断も可能となる時代が到来しつつあります。しかし、インターネットの情報やAIの力のみで自分の体の不調を判断するのは、やはりまだ難しいと思います。そんなときこそ自己判断せず、健康の専門家である医師を頼るのが一番安心だと思います。体調不良の時こそ、医師の経験や知識を十分に使ってほしいです。不安な時は気軽に相談してください。