森下 直紀 院長の独自取材記事
山田駅前もりした内科クリニック
(吹田市/山田駅)
最終更新日:2024/08/05

阪急千里線・山田駅東口から徒歩1分、タワーマンションの1階に「山田駅前もりした内科クリニック」がある。院長の森下直紀先生は、大阪大学医学部附属病院や箕面市立病院で診療経験を積んだ後、同院を開業。日本内科学会総合内科専門医として幅広い症状に対応するとともに、院内に充実した機器をそろえ、消化器内科、内視鏡内科、肝臓内科の分野についても、地域に専門性の高い診療を提供している。「患者さんの健康のために自分たちにできることを真剣に考えたい」という森下院長に、同院の診療姿勢や地域医療にかける思い、得意とする内視鏡検査や肝臓の診療などについて聞いた。
(取材日2024年6月27日)
患者の思いに寄り添い、治療を進めていく
ご経歴を教えてください。

医療の道を選んだのは、兄が医学部に進学したこともあって、人の役に立つ医師という職業に魅力を感じたことがきっかけです。大阪大学医学部卒業後は、内科疾患全般にわたって診療経験を積みながら、おなかの病気で悩む方が非常に多いことから、消化器内科を専門に選びました。内視鏡などを使って検査と治療の両方を行うことができ、幅広さと専門性を持ち合わせている診療科です。さらに、大阪大学大学院に進んで主にC型肝炎についても研究しました。ちょうど、従来のインターフェロン治療に代わって、新しい飲み薬による治療が始まった時期でした。治療がどんどん進歩していく段階を経験しながら、どうしたら一人でも多くの患者さんからウイルスを排除できるのか研究しました。
どのような経緯で現在の場所で開業されたのですか?
大阪大学大学院での研究を終え、箕面市立病院の消化器内科にて、内視鏡検査や肝がんの治療を中心とした診療を行ってきました。そうした中、これまで培ってきた専門的な知識や技術・経験を、一人でも多くの地域の皆さまに還元したい気持ちが強くなり、リタイアを考えておられる先生のクリニックを継承する形で開業したのです。開業の地、吹田市山田は、私が大学生より慣れ親しんだ北摂地域にあり、緑豊かで大好きな街です。
どのような患者さんが来られますか?

以前の先生のクリニックに通っておられた患者さんは高齢の方が多く、高血圧症、脂質異常症をはじめとする生活習慣病や感染症などさまざまな理由で受診されます。ご本人だけでなく、お子さん、お孫さんと3世代にわたってかかっておられる方も多いですね。一方、ホームページを見て新しく受診される患者さんは、内視鏡検査を受けたいという方や健康診断で肝臓の数値に問題があるという方などが中心です。急な発熱で受診される方も多いですね。
患者さんと接する際に心がけておられることは?
患者さんは、何かしらの症状やお悩みがあって受診されるので、つらさに共感しながら丁寧にお話を聞くようにしています。その上で、症状や悩みをどう改善していくのか、患者さんと一緒に考えながら検査や治療を進めていくスタイルです。症状は似ていても「不安なことがあるから受診した」「いろいろな不調があって困っている」「薬だけを処方してほしい」など、患者さんが希望されることは一人ひとり違うので、何を希望して受診されたのかをお話の中からくみ取り、その思いにできるだけ応えられるように心がけています。
街のクリニックで胃・大腸・肝臓の専門診療を提供
内視鏡検査を希望されるのはどのような患者さんですか?

健康診断で異常を指摘された方だけでなく、おなかの調子が悪いから検査を受けたい、これまで内視鏡検査の経験がないから受けたいという方も多くいらっしゃいます。私自身もそうだったのですが、胃カメラで最初につらい経験をすると、その後の検査がますますおっくうになります。このため、これまで検査を受けたことがない、以前につらい思いを経験したという方については、負担が少ない経鼻内視鏡や半分寝ているような状態で検査が受けられるよう鎮静剤の使用をご案内するようにしています。大腸カメラについても、鎮静剤を使用した検査をご提案しています。大腸ポリープもその場で切除して、検査することができ、手術などが必要な場合は周辺の病院をご紹介します。北摂地域は病院が充実しており、私の同僚や部下など信頼できる先生も多いので、安心して紹介できます。
肝臓の診療にも力を入れておられますね。
しっかりと肝臓疾患を診ることができるのは、当院の大きな特徴だと思います。B型肝炎、C型肝炎については、飲み薬を使った副作用の少ない治療が可能となりました。ぜひ、肝炎ウイルス検査の経験がない方は、一生に一度は検査を受けていただきたい。そして、どこよりも早く、この地域の肝炎ウイルス撲滅を達成したいと考えています。一方で、これまで放ったらかしにされることが多かったメタボリックシンドロームによる脂肪肝にも注意が必要です。肝硬変や肝がんに進んでしまうことがないように、早期から積極的に関わっていきたいですね。「お酒を飲まないから肝臓の心配はない」という方も依然として多く、正しい情報の提供も私たちの大切な使命だと考えています。
最近、肝臓の硬さを測れる超音波検査機器を導入されたと聞きました。

超音波(エコー)検査が可能な消化器内科クリニックは多いですが、当院では大きな病院で使用されているような先進かつ高性能な超音波機器を導入しました。肝臓だけでなく、膵臓や胆嚢のわずかな変化を察知でき、小さな病変を見逃さないようにするためです。さらにこの超音波は、肝臓がんのリスクの指標となる肝臓の硬さ、つまり「肝硬度」を測定することができます。わずか1分ほどで、痛みなどはほとんど感じることがない優れた検査法ですが、まだまだクリニックでの導入事例はほとんどないと聞いています。肝臓は、障害が起きてもなかなか症状に現れない「沈黙の臓器」であるがゆえに、そのSOSである肝機能異常を見過ごさないためにも、当院ではこれらの徹底した体制を整えています。
日頃の診療を通して、健康の大切さを伝える
生活習慣病の患者さんも多いそうですね。

生活習慣病は明らかな自覚症状を伴わない場合が多く、治療の必要性を実感しづらいのが難点です。なぜ治療しなければならないのか、放置しておくとどのようなリスクがあるのか、意外にご存じない方が多いのです。さらに、治療の具体的な目標などがなく、漫然と薬を飲んでいるという方も多いため、まずは病気のことや治療についてわかりやすく説明して、治療や生活習慣を改善する必要性を理解していただくようにしています。きちんと理解すれば、病気の怖さや生活改善の大切さに気づくことができ、食事に気をつけたり運動を始めたりするきっかけにもなると思います。
生活改善はモチベーションの維持が大変です。
単に食事制限や運動を勧めるのではなく、「来月までに体重を◯kg落としましょう」「この検査数値を◯◯まで改善しましょう」など、患者さんと一緒になって具体的な目標を設定するのが当院の特徴です。脂肪肝なら、数値を改善することで、将来的なリスクをどの程度軽減できることが望めるかなどについてもお伝えします。さらに、受診のたびに取り組みの結果を確認して、患者さんの頑張りをしっかり評価することが、モチベーション維持につながると考えています。
スタッフさんも専門的な知識が必要ですね。
以前のクリニックのスタッフが全員残ってくれているので、患者さんとのコミュニケーションは良好です。内科や消化器内科の知識や経験も豊富なので、安心して任せることができ、以前の先生はエコー検査もやられていたので検査についても問題はないと思います。ただし、肝臓の疾患やC型肝炎の治療などについての知識は、まだまだ不足している状態なので、積極的に勉強の機会を設けるようにしています。
今後の目標を教えてください。

痛みや症状を抱えた患者さんに、安心していただけるようなクリニックにしたいと考えています。スタッフから患者さんへの声かけ、診療の際の患者さんへの配慮、さらに内視鏡検査の際の負担軽減などは、すべて患者さんの安心につなげていきたいですね。内視鏡検査を終えた患者さんに「楽に検査が受けられました」とおっしゃっていただけたら、私たちの励みにもなります。3世代にわたって通院される患者さんから「今度、妻が受診するのでよろしくお願いします」「孫がいつもお世話になっています」などと声をかけていただくことも多く、そうした方々が全員健康でいられるよう、私たちに何ができるのか真剣に考えていくのが当院の使命だと思います。日頃の診療を通して、健康の大切さをしっかり伝えていきたいですね。