森下 直紀 院長の独自取材記事
山田駅前もりした内科クリニック
(吹田市/山田駅)
最終更新日:2025/10/24
幅広い世代が訪れる「山田駅前もりした内科クリニック」は、阪急千里線の山田駅から徒歩1分のタワーマンション1階で2024年に開業した。森下直紀院長は、大阪大学医学部附属病院や箕面市立病院などで、内科疾患全般だけでなく消化器疾患の専門的な診療に携わってきた。風邪や生活習慣病をはじめ幅広い症状に対応する一方、内視鏡、肝臓疾患、消化器疾患において専門性を追求した診療を提供できるのも同院の強み。検査機器の充実にもこだわる。「専門性も生かしながら、地域のかかりつけ医としてさまざまなニーズに応え、患者さんの健康をサポートしていきたい」という森下院長に、得意とする内視鏡検査や肝臓の診療などを含め、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年8月29日)
幅広い診療と、胃・大腸・肝臓の専門的診療を両輪に
最初に、医師をめざしたきっかけや開業までの経緯などを教えていただけますか?

兄が医学部に進学したこともあり、人の役に立つ医師という職業に魅力を感じたことがきっかけです。大阪大学医学部卒業後は、内科疾患全般にわたって診療経験を積みました。おなかの病気で悩む方が非常に多いことから、内視鏡などを使って検査と治療の両方を行うことができ、幅広さと専門性を持ち合わせている消化器内科を専門に選びました。大学院に進んで主にC型肝炎についても研究しました。その後、箕面市立病院の消化器内科で内視鏡検査や肝がんの治療を中心とした診療を行ってきました。そうした中、これまで培ってきた専門的な知識や技術・経験を、一人でも多くの地域の皆さんに還元したい気持ちが強くなり、リタイアを考えられていた先生のクリニックを継承し、昨年開業しました。吹田市山田は、大学時代から慣れ親しんだ地域にあり大好きな街です。
どのような世代、疾患の患者さんが多く来院されていますか?
幅広い世代の方が来院されており、親子2世代や3世代で来られる方も多いです。最近は、ホームページを見た、ご友人の紹介でという方も増えてきました。他院に通院していたが改善せず困って、という方もいらっしゃいます。生活習慣病や感染症はもちろん、内視鏡検査を希望される方、健康診断で数値に問題があってという方など、さまざまな理由で受診されます。中高年の方は生活習慣病、学生さんは風邪やおなかの不調、30~40代は健診や胃腸関係が多いですね。要予約で発熱者診療にも対応しており、急な発熱で受診される方も多いです。専用の出入り口と診察室の奥に専用スペースを設け、他の外来患者さんと動線を分離。感染症対策をしっかりしつつ、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査を行っています。その他、予防接種も実施しています。
患者さんと接する時、大切にされていることはありますか?

症状やお悩みのつらさに寄り添いながら、丁寧にお話を伺うことですね。その上で、それらをどう改善していくのか、患者さんとともに考えながら検査や治療を進めていきます。また症状は似ていても、不安を受け止めてほしい、薬だけ処方してほしいなど、患者さんの思いはそれぞれ違うので、お話の中からくみ取り、できるだけ応えられるよう努めています。
内視鏡検査の不安を減らしハードルを下げることに注力
内視鏡検査は不安、苦手という方も多いのではないでしょうか?

特に胃の内視鏡検査に不安を感じる方が多く、必要とわかっていても抵抗感があり、ハードルが高くなってしまっています。特に40~60代の女性にその傾向が強いように感じます。検査が初めての方や、以前つらい思いをした方には、負担の少ない経鼻内視鏡や半分寝ているような状態で検査が受けられるよう鎮静剤の使用をご案内します。また、安心感を持てるよう具体的に、詳しく丁寧に説明することを心がけています。大腸内視鏡検査についても、鎮静剤を使用した検査をご提案しています。大腸ポリープも条件によってはその場で切除術に対応し、手術などが必要な場合は周辺の病院をご紹介します。北摂地域は病院が充実しており、かつての同僚など信頼する先生も多いので安心して紹介できます。私も経験があるのですが、最初につらい思いをすると、次の検査がおっくうになります。受けて大丈夫だったら、また受けようと前向きになり、自信もつくはずです。
肝臓の診療にも力を入れておられますね。
肝臓疾患をしっかり診ることができるのは、当院の大きな強みと思います。B型肝炎、C型肝炎では、飲み薬を使った副作用の少ない治療が可能となりました。肝炎ウイルス検査の経験がない方は、一生に一度は検査を受けていただきたい。そしてどこよりも早く、この地域の肝炎ウイルス撲滅を達成したいと考えています。一方、これまで放置されることも多かったメタボリックシンドロームによる脂肪肝にも注意が必要です。肝硬変や肝がんに進むことがないよう、早期から積極的に関わっていきたいです。「お酒を飲まないから肝臓は大丈夫」という方もまだ多く、正しい情報の提供も大切な使命と考えています。
肝臓の診療には超音波検査機器を活用されているとお聞きしました。

超音波(エコー)検査が可能な消化器内科クリニックは多いですが、当院では大規模病院で使われているような先進的かつ性能にこだわった超音波機器を導入しています。肝臓だけでなく、膵臓や胆嚢のわずかな変化を観察し、小さな病変を見逃さないようにするためです。超音波検査は患者さんの負担が少なく、肝臓以外にもおなかの調子が悪い方や糖尿病の方などの診療にも活用できます。病変の早期発見に役立つのはもちろん、当院の機器は、肝臓がんのリスクの指標となる肝臓の硬さである肝硬度を測定することができます。約1分で、痛みなどはほとんど感じることがない検査法ですが、まだクリニックでの導入は数少ないようです。肝臓は障害が起きてもなかなか症状に現れない、沈黙の臓器。そのSOSである肝機能の異常を見過ごさないためにも、徹底した体制を整えています。
地域のかかりつけ医として健康の大切さを伝えたい
生活習慣病の患者さんも多く来院されていますね。

生活習慣病は明らかな自覚症状を伴わない場合が多いので、治療の必要性を感じにくく、放置した場合のリスクをご存じない方も多いです。治療の具体的な目標などがなく漫然と薬を飲んでいる方も多いため、まずは病気と治療についてわかりやすくご説明し、理解していただくようにしています。そうすれば病気の怖さや生活習慣を改善することの大切さに気づくことができ、食事に気をつけたり運動を始めるきっかけにもなると思います。当院の前の道も周回できるようになっていますし、近くには大きな公園の外周など良い散歩コースがあります。そうした場所でのウォーキングや運動が習慣になっている方も、多くなってきたように感じます。若い方では、健診で血圧やコレステロールなどの異常を指摘され、初めて来たという方が圧倒的に多いです。
生活改善はモチベーションの維持が大変そうです。
ただ食事制限や運動を勧めるのではなく、「来月までに体重を○kg落としましょう」「この検査数値を◯◯まで改善しましょう」など、患者さんと一緒に具体的な目標を設定するようにしています。脂肪肝では、数値を改善すると将来的なリスクをどの程度軽減することが望めるかなどもお伝えします。さらに受診の際には毎回、取り組み結果を確認。患者さんの努力をきちんと評価することがモチベーション維持につながると考えています。
スタッフさんについて教えていただけますか?

スタッフは皆、内科や消化器内科の知識や経験も豊富なので、安心して任せることができます。当院はC型肝炎など肝臓の疾患で通われる方も多いので、積極的に勉強の機会も設けています。穏やかで優しいスタッフがそろっており、患者さんが安心できるよう、それぞれ工夫して接しています。なじみの患者さんとは、私には言えないことなども話しているようですし、和気あいあいとした雰囲気です。
最後に、今後の展望、目標などについてお聞かせください。
当院は幅広い世代の患者さんが来院されますが、皆さんが健康でいられるよう、私たちに何ができるのか真剣に考えていくのが当院の使命。日々の診療の中でも、健康の大切さを伝えていきたいと思っています。また、さまざまな不調を抱えた患者さんに安心していただけるよう、今後も声かけや配慮、内視鏡検査の負担軽減などに、さらなる工夫を重ねていきたいです。

