健康寿命に大きく影響
骨粗しょう症の治療
桜台わいわい整形外科
(伊丹市)
最終更新日:2024/07/09


- 保険診療
高齢の女性に多い骨粗しょう症は、骨が脆くなることで骨折しやすくなる病気だ。初期症状はほとんどないが、進行すれば気がつかないうちに骨がつぶれて背中が丸くなったり、身長が縮んでしまうこともあり、重症になればくしゃみや尻もちなどの些細な刺激で骨折することも。骨粗しょう症治療に注力する「桜台わいわい整形外科」の宮本裕紀院長は「背骨や股関節を骨折してしまえば日常生活に不自由が生じるだけでなく、寝たきりになるリスクも跳ね上がるにもかかわらず軽視している人が多い」と警鐘を鳴らす。そこで改めて宮本院長に、骨粗しょう症の基礎知識やその危険性、早期発見・治療につなげるための検査・治療について詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年6月24日)
目次
40歳を過ぎたら定期的な骨密度測定で、骨粗しょう症の早期発見・治療・予防を
- Q最近よく耳にする骨粗しょう症とはどんな病気ですか?
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A
▲初期の骨粗しょう症は自覚症状がないため、定期的な検査が大切
骨粗しょう症は、加齢やホルモンバランスの変化、運動不足や食生活の乱れ、薬の副作用などが原因となって骨密度が低下し、骨折しやすくなる病気です。閉経後の女性に多く、60代の女性では5人に1人、70代になると3人に1人が骨粗しょう症だともいわれています。誰にでもリスクがある病気ですが、初期は自覚症状もないことが多く静かに進行し、背中や腰に痛みが生じるほか、気がつかないうちに背骨がつぶれて身長が縮んだり、腰が曲がったりすることで発覚する人も少なくありません。骨粗しょう症かどうかは骨密度を測定することで早期発見につなげられますので、定期的な検査を受けて、早期発見・治療・予防に取り組むことが大切です。
- Q骨粗しょう症の危険性について教えてください。
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A
▲骨密度が低下すると、些細な刺激で骨が折れることもある
骨粗しょう症が重症化すると、咳やくしゃみ、尻もちなどの些細な刺激で骨折することがあります。骨折すると家事や身の回りのことなど日常生活に不便が生じるだけでなく、痛みや不自由さのストレスをきっかけに認知症が進行したり、歩行困難や寝たきりの原因になったりすることも。さらに骨折を繰り返せば、その度に体が動かしにくくなり、やがては歩行や日常生活にも不安を感じるようになるでしょう。特に背骨や股関節を骨折すると、一気に寝たきりとなるリスクが上がります。そうなれば、健康寿命にも大きな影響が生じます。骨は健康のバロメーターですので、生活習慣病の管理と同じように骨密度についても気にかけておきたいものです。
- Q検査を受けるべきタイミングはありますか?
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A
▲骨密度の検査方法は痛みもないため、気軽に受けることができる
女性の場合は特に自覚症状がなくても、骨密度が低下し始める40歳頃から定期的に骨密度を測ることをお勧めしています。遅くても閉経を一つの目安にしてほしいと思います。また親族に骨粗しょう症の人がいる、がんによる手術歴があるという人、若い頃と比べて身長が低くなった人も、早めの検査を心がけてもらいたいと思います。検査方法は背骨や太ももの付け根の骨密度をエックス線で測定するDEXA法、手の骨密度を測定するMD法のほか、かかとの骨に超音波を当てて骨の強さを見る超音波法があります。いずれの検査も痛みはほぼなく、絶食などの特別な準備も不要です。最初はついでで構わないので気軽に受けてみると良いでしょう。
- Qこちらのクリニックでできる治療の特徴を教えてください。
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A
▲広いリハビリルームでは、骨密度を高めるための運動を行える
当院では薬物療法のほか、リハビリテーションに注力しています。「骨が脆くなっているのに運動は危ないのでは?」と思うかもしれませんが、何もしなければ骨密度は低下していく一方です。ウォーキングなどの適度な運動は骨に刺激を与え、骨の再構築を促進します。また筋肉は体を支えますので、転倒リスクの低減にもつながります。当院には理学療法士などの専門スタッフが在籍していますので、診断に基づいたリハビリをマンツーマンで行います。また食事や日光浴に関するアドバイスも丁寧に行っています。骨粗しょう症に対する正しい知識をお伝えすること、リハビリの意義を理解していただくことも、当院の大切な治療の一つだと考えています。
- Q予防のために、日常生活の中でできることはありますか?
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A
▲骨密度低下予防には、生活習慣の見直しや検査を行うと良い
バランスの良い食事と適度な運動を心がけることですね。「骨のためにカルシウムが良い」ということは皆知っていると思いますが、実はカルシウムだけでは不十分。ビタミンDも積極的に取り入れたいですね。ただ、どんな栄養素も偏り過ぎは良くないもの。上手に工夫して、上手に栄養を取りましょう。また運動もとにかく続けることです。スクワットやかかとの上げ下げなど、簡単な運動で構いません。ウォーキングなら目安は7000歩。この歩数に不安があれば、まずは安心して歩ける体づくりから始めてもいいかもしれません。喫煙や飲酒もなるべく控えたいですね。そして何よりも定期的な検査。1年に2〜3回の検査を習慣にしたいものです。