大立 博昭 院長の独自取材記事
米子あすなろクリニック
(米子市/米子駅)
最終更新日:2024/06/20

米子駅南口から南方向へ徒歩約6分の場所に位置する「米子あすなろクリニック」。駐車場も13台備え、自家用車でも通院しやすい精神科クリニックだ。クリニック内は木材が随所に使用され、患者がリラックスできるような空間が広がる。同院の院長である大立博昭先生は、日本精神神経学会精神科専門医の資格を有し、大学病院や総合病院、児童精神科病院に勤務する中で、精神科領域の救急対応から身体合併症、児童精神科までさまざまな症状の治療を行ってきた。その経験から、地域のクリニックながら幅広い世代のさまざまな悩みに対応できることが強みといえる。今回は、大立先生に治療方針や今後の展望についてじっくりと話を聞いた。
(取材日2024年5月21日)
地域住民の心の健康をサポートしたい
開業された理由を教えてください。

大学病院では臨床に加えて、研究や教育にも携わってまいりました。しかしどうしても外来診療を担当できる日が限られます。もちろん研究等は大切なことではありますが、私は「もっと直接患者さんと関わって、より多くの人をサポートしたい」と、もどかしさを感じていました。そこで、よりじっくり患者さんと向き合える場所に身を置こうと、開業を決意したのです。私自身は三重県の出身ですが、大学時代から約20年住み、第二の故郷である米子市の皆さんをメンタル面で支えていきたいと思ったのも理由の一つです。お子さんの心の悩みを診療できるクリニックはあまり多くはなく、診療の予約が数ヵ月から1年待ちとなる場合もあることが問題になっています。例に漏れず、この地域でも問題化しています。私が開業することで、少しでも逼迫状態が緩和し、スムーズに医療へつなげることができたらいいなという思いもあり、開業に至りました。
クリニック名でもある「あすなろ」とは、どのような意味が込められているのですか?
「あすなろ」には2つの意味を込めました。1つ目は、以前勤めていた三重県立子ども心身発達医療センターの前身の名前が「あすなろ学園」という名前だったから。医師をめざした目標の一つでもある児童精神科の医師としてのキャリアがここでスタートし、思い出深い場所であるのでお借りしました。2つ目はアスナロの木に由来します。アスナロはヒノキ科ですが、ヒノキよりも背が低いのです。でもその分しっかりと根を張っていて、ヒノキのように力強くなろうという気概を感じるのです。その姿がまさに「努力をして大きくなろう」と頑張っている子どもたちと重なり、そのサポートができたらいいなとの思いから名前に入れたいと考えました。クリニックにもシンボルツリーとしてアスナロの木を植えました。木の成長と同じく、当クリニックも成長していきたいと思っています。
院内は木を多く使用されていて、温かみのある空間ですね。

精神科は受診のハードルが高いイメージがあるので、少しでもリラックスしていただけるよう、あらゆる場所に木材を使用してぬくもりを感じられる院内にしました。待合室もなるべく広いスペースを確保したり、外から院内が見えないように庭に木々や花を植えたりと、プライバシーを守りながらも心安らぐ時間になるように工夫しています。来院の際は、ぜひ当クリニックのシンボルツリーもご覧いただけたらうれしいです。また、インテリアには北欧雑貨を取り入れて、ナチュラルな雰囲気になるよう意識しています。北欧諸国では精神科医療が独自に発展しているので、それを積極的に学びたいという思いも込めていますね。
子どもから高齢者まで幅広い世代の悩みに対応
どのような方が来院されていますか?

お子さんから高齢者の方まで幅広い世代の方に来院していただいています。お子さんですと、発達に関する不安や、癇癪を起こしやすかったり、集中して授業が受けられなかったりなど、「ほかの子と違う」「まわりと同じことができない」といった悩み、不登校に対するご相談も多いです。大人の方の場合、会社やご家族のことでストレスを感じ、悩みを抱えている方が多くいらっしゃいます。その結果、不眠や落ち込んだ気分が続いたり、仕事でミスが多くなったりと日常生活に支障を来して来院される方もいます。多くの場合、結果ではなく、そうなってしまった背景に目を向けることが大切です。患者さんとの対話を通してその背景や感情と向き合い、現在の生活だけではなく、これからの人生を生き生きと歩んでいただけるようにサポートしています。悩みに大きいも小さいもありません。「こんなことで受診していいのかな?」と思わず、気軽にいつでも相談してくださいね。
お子さんの診療について詳しく教えてください。
対象は6歳から17歳のお子さんです。保護者のお話もしっかりとお伺いできるように、成人の方と診療日を分けて水曜日と金曜日に診療を行っています。お子さんにとって知らない大人の存在は怖いでしょうし、精神科の診療となると余計に緊張や不安を感じる子が多いです。学校の先生や保護者に相談することが難しく、大人自体に警戒心を抱いている場合もあるので、まずは私自身が何でも相談できる大人になれるように、しっかりコミュニケーションをとるように心がけています。必要に応じて、他院と連携してサポートしたり、学校へ学習方法や関わり方のアドバイスを行ったりと、お子さんが過ごしやすい環境づくりをめざしています。
診療の中で心がけていることを教えてください。

先ほども少しお話ししましたが、患者さんとしっかりと対話することを心がけています。信頼関係を築くことがまず何よりも大切なので、そこはずっと意識していますね。信頼できない医師に、正直な気持ちを話すことって難しいじゃないですか。一方向に治療を行うのではなく、対話を通してそもそもの原因は何なのか、それをどう改善へと図っていくのか、患者さんと二人三脚で一人ひとりに合った解決策を提案します。薬に関して不安な方も多いと思いますが、処方する際も相談しながら進めますので、安心してくださいね。
総合病院レベルの治療が行えるクリニックをめざして
精神科の医師をめざしたきっかけは何ですか?

人とのコミュニケーションや、ご自身の心に悩みがある方をサポートしたいと思ったからです。私自身、受験の時や思春期に対人関係について悩んだ時期がありました。もともとは物理に興味があって工業大学に進学したのですが、ふとこれから先歩んでいきたい人生を考えた時、このように生きづらさを感じている人をサポートしたいという気持ちが芽生えたのです。特に、これから未来のあるお子さんを支え、成長を見守ることができる児童精神科の領域にも興味を持ち、研究そっちのけで心理学や精神医学の本を読んでいました(笑)。このような経験から医学部に再入学し、精神科の道を志しました。
精神科の医師としてのご経歴について教えてください。
鳥取大学医学部医学科を卒業後、鳥取大学医学部附属病院精神科に入局しました。集中的に治療が必要な方や、精神的にも身体的にも疾患のある身体合併症の方など、専門的な治療が必要な臨床にも幅広く携わらせていただいたので、基礎となる部分をしっかりと学ぶことができたと感じています。その後、松江市立病院精神神経科にて、精神医学だけではなく救急の外来診療を担当し、身体治療についても学びました。そして、精神科の医師をめざした理由の一つである児童精神科の分野について経験と知識を深めるべく、国内留学で三重県立子ども心身発達医療センター児童精神科にて3年間経験を積みました。生きづらさを感じているお子さんが、少しでも早く生き生きとした生活を送れるようになってほしい、その一心でお子さんと向き合った日々でしたね。
最後に読者へメッセージをお願いします。

当クリニックではさまざまな悩みを抱えた幅広い年代の患者さんの治療を行うことができるので、悩み事がある方は気軽に受診していただけたらいいなと思っています。一人ひとりライフスタイルも違えば、悩み事や症状も違うため、解決方法も多岐にわたります。今までの知識と経験から一人ひとりの悩みに対応させていただきます。「地域のクリニックで大学病院や総合病院レベルの治療を行える」そのようなクリニックをめざしています。そのために、より良い治療を行えるように新しい精神医学の勉強も欠かさぬ所存です。共に働いてくれているスタッフはキャリアが長い人ばかりですし、子育てを経験したスタッフも多いので、お子さんと接することにも慣れています。このように患者さんを受け入れる体制をしっかりと整えていますので、いつでも安心してご相談くださいね。