津田 賢治 院長の独自取材記事
津田歯科
(名古屋市西区/庄内緑地公園駅)
最終更新日:2024/08/07

入れ歯に力を入れる「津田歯科」は小田井駅から徒歩7分の住宅街の中にある。この場所は院長である津田賢治先生の実家があった場所で、近隣には知人も多く住まうそうだ。津田院長は大学病院で有床義歯と補綴を専門に学び、その技術を生かして地元の高齢者の役に立ちたいという思いで開院した。バリアフリーで受付から診察室まで数歩で移動できるように設計されているのも高齢者への配慮からだ。「入れ歯やかぶせ物は見た目が美しいだけではなく、機能的でなくてはいけません」と機能美を追求する津田院長に、開院に至った経緯や経歴、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2024年7月8日)
専門性を生かして、地元の高齢者の役に立ちたい
この場所で開院された経緯について教えてください。

ここは私の実家があったところで、最近まで家族が喫茶店を経営していました。半世紀ほどの間地域の皆さんから親しまれていましたが、家族が高齢になったこともあり閉じることになりました。それなら今度は私がこの地域の皆さんのために貢献していこうと、歯科医院を開院しました。この近所にお住まいの方はみんな顔見知りですし、母の友人も多いですね。この地域は昔から長く住んでいる高齢者が多いのですが、最近は次々と新しいマンションが建っているので、若い世代も増えている印象です。
歯科医師になろうと思ったきっかけと、今までのご経歴をお聞かせください。
学生時代から人の役に立ちたいという気持ちは常にありました。その頃がちょうどバブル期だったという時代背景が影響したのかもしれません。今よりも日々をぜいたくに楽しく過ごす人が多い時代に、病気やケガで倒れ、その日から生活が一転して苦しむ人の姿もありました。その明暗のギャップの激しさに対して当時の私は理不尽だとさえ思え、少しでもそんな人の力になりたいと思って歯学部に入学しました。歯学部では美しくかつ機能的な歯を作る技術に魅せられて、義歯や補綴を専門に学びました。補綴とは、失われた体の一部を人工的な物で補う技術です。大学病院に在籍していた時は、病気や事故で顎の骨が大きく欠損した人のために特別な義歯を製作するチームにも所属していました。症例数が少ない困難なケースもありましたが、患者さんのお口の機能を取り戻すために研鑽を積んできました。それが今の義歯や補綴の技術につながっています。
力を入れている治療について教えてください。

大学病院での経験を生かして有床義歯に力を入れています。いわゆる入れ歯ですね。今はインプラントの技術が飛躍的に発展しているので注目されていますが、高齢者は今も入れ歯の利用者のほうが圧倒的に多いです。費用面での負担が少ないのもメリットで、保険診療内でも作製できます。保険診療内でいい入れ歯が望めますよ。さらにフィット感や使い勝手の良さを求めるのであれば、磁石を使用した入れ歯を提案しています。歯根に磁石を取りつけ、磁石の力でピタッと入れ歯を固定するためのものです。こちらは自由診療なので、あくまでも選択肢の一つとして考えてください。磁石の入れ歯を取り扱う歯科医院はまだ少ないと思いますが、私は大学病院でたくさんの症例に携わりましたので、質問があれば何でもお答えします。気軽に聞いてください。
機能美を追求し、一人ひとりに合った入れ歯を作る
入れ歯の診療時に気をつけていることはなんですか?

お口の中はとても繊細にできています。例えば、歯と歯の隙間にちょっとした食べ物が挟まっただけでも気になりますよね。だから、入れ歯と歯茎の間に食べ物が入り込んだら、強い痛みを感じることが想像できます。それが毎日続くのはつらいでしょうから、そういったことがないように患者さんのお口の形に合わせた入れ歯の微調整が必要です。当院では入れ歯を作成してから2ヵ月は調整に時間をかけています。患者さん一人ひとりと向き合って話を伺いながら調整していきます。
補綴もご専門ということで、歯のかぶせ物についても教えてください。
歯のかぶせ物というと昔は銀歯が主流でしたが、今は保険診療内で白いかぶせ物も選べるようになりました。素材はハイブリッドレジンに他の素材を混ぜた物で、かなりの強度があります。CAD/CAMという3Dプリンターのような機械の技術が発達し、ハイブリッドレジンのかぶせ物が作りやすくなったので、これからどんどん広がる技術だと思います。私の大学での博士号取得のテーマがCAD/CAMで、機械の開発に携わっていました。だからかぶせ物に対する知識とこだわりがあるので、製作を依頼する歯科技工士にはかなり細かいお願いをしています。そんな私の注文に応えてくれる歯科技工士は多くはないのですが、その分信頼できる人にお願いしているのです。
義歯やかぶせ物など、物作りにこだわりがあるのですね。

昔から物作りが好きで、プラモデルなどをよく作っていました。今も機械を触るのも好きだし、DIYも得意です。院内で何か機械や設備の故障が起こっても、大抵は自分で直してしまいます。歯科医師になって感銘を受けたのは、機能美を追求する姿勢です。歯は健康のためにただあればいいものではなく、見た目も重要ですよね。患者さんにとって、機能的かつ美しい入れ歯を作る技術が求められます。科学的に裏打ちされた機能と、患者さんに合った自然な美しさ、この2つを同時に実現する機能美を追求しています。
適切な入れ歯の知識を広げ、食べる喜びにつなげる
診療で気をつけていることは何でしょうか?

当院に来院する患者さんはご高齢の方が多いので、わかりやすく伝えることを大切にしています。幸いにも私はもともと声が大きいので、患者さんから「先生の話は聞きやすくていい」と言われます。うれしいですね。高齢者に優しい歯科医院でありたいと思い、待合室から診察室までは5歩くらいで移動できるような設計にしました。バリアフリーで段差もないので、歩きやすいと思いますよ。
今後の展望について教えてください。
この地域で入れ歯に悩んでいる人の助けになりたいです。高齢者が入れ歯で困っていても、自らインターネットから情報を得ることは難しいと思います。たとえ情報があったとしても、移動が困難で来院するためには家族の助けが必要な人も少なくありません。私ができることとしては、入れ歯で困っている高齢者のお子さんやお孫さんへ、当院のことを知っていただくことだと思います。そしてご家族から「入れ歯で困ってるなら行ってみたら?」と声をかけていただけたらうれしいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高齢者は我慢強い方が多く、合わない入れ歯を10年以上使っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。10年たてば体型が変わることは想像しやすいと思いますが、実はお口の中も同じです。入れ歯が合わなくなるのは当然のこと。でも、合わないことに慣れてしまうと、なんとなくそのまま使い続けてしまいます。10年も同じ入れ歯を使い続けるのは衛生的にも良くないことです。理想をいえば、入れ歯は2〜3年に1度は作り直すことが推奨されています。そうはいっても人それぞれ状況が違うので、3年に1度の作り直しが絶対必要だとはいえませんが、少しでも入れ歯に違和感があったり合わないと感じたりすることがあれば、一度来院してほしいです。しかし、高齢者にはこういった情報が届きません。お子さんやお孫さんの世代が入れ歯の知識を得ることで、自分に合った入れ歯でおいしく食べられる高齢者が増えるのではないかと期待しています。
自由診療費用の目安
自由診療とは磁石式入れ歯/22万円~