40代以降は注意が必要な大腸がん
大腸内視鏡検査で早期に発見
ながお内科クリニック
(長久手市/長久手古戦場駅)
最終更新日:2025/05/14


- 保険診療
大腸がんやポリープ、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸憩室炎など大腸の病気を見つけるために役立つ大腸内視鏡検査。大腸の内部を直接カメラで観察でき、患者が訴える症状の原因を詳しく探るのに欠かせない検査の一つだ。前処置が必要な点など、大腸内視鏡検査を受けるハードルは決して低くはない。しかし、40歳以降は大腸がんのリスクが高くなる傾向にあり、「ながお内科クリニック」の長尾一寛院長は「40代からは、定期的に大腸内視鏡検査を受けるのが望ましいです」と話す。消化器疾患および内視鏡の専門家として、長年にわたり数多くの内視鏡検査や疾患の診断・治療に携わってきた長尾院長に、大腸内視鏡検査の流れとともに、検査に伴う不安や苦痛、不安感を軽くするため工夫を凝らす同院の取り組みについて話を聞いた。
(取材日2025年4月24日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査はどのような場合に受けたら良いでしょうか?
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A
何らかのおなかの症状がある場合、具体的には出血、腹痛、長年便秘が続いている、あるいは長引く下痢といった便通異常などがあれば、年齢や性別にかかわらず大腸内視鏡検査を検討いただきたいです。大腸がんや大腸ポリープは家族歴との関連も指摘されています。ご家族に大腸がんの方やポリープ切除の経験がある方がいて、気になる症状がある場合は専門の医療機関に相談するのが望ましいと考えます。男女ともに、40代以降は大腸がんが増える傾向にあるといわれています。健康診断で便潜血が陽性だった場合は放置せず、たとえ便潜血が陰性で症状や家族歴などがなくても、40歳前後を目安に定期的に検査を受けるようにするのが望ましいです。
- Q検査を受ける医療機関を選ぶポイントを教えてください。
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A
検査の実績が豊富であれば、その分技術が磨かれているといえますから、患者さんにとっても心強いでしょう。実績の豊富さを判断する上で一つの目安となるのが、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医です。認定されるためには、決められた期間、規定された件数以上の内視鏡検査を経験し、さまざまな症例に携わってきた実績が必要不可欠なので、有資格者であればそれなりの経験と知識を持っているといえます。内視鏡検査で特に必要とされるのは、所見を見極める観察眼と、内視鏡を扱うテクニック、そして適切な判断力です。私自身も消化器内視鏡専門医としてこれらのスキルを生かし、当院での大腸内視鏡検査にあたっています。
- Qどのくらいの頻度で大腸内視鏡検査を受けるのが望ましいですか?
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A
過去に大腸内視鏡検査を受けた際、ポリープを切除した場合は1年から2年程度、ポリープなど特に心配な病変などがなかった場合も大腸がんの予防的な観点から2、3年に1度は検査を受けると安心かと思います。「便潜血が陰性なら大腸がんではない」と勘違いしてしまっている方も多いのですが、実際には陰性であっても早期の大腸がんがある可能性は否定できません。もし40歳以上で、これまで一度も大腸内視鏡検査を受けたことがない方は、悪性疾患の早期発見につなげるためにも検査をご検討いただいたほうが良いかと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査前に診察と事前説明を受ける
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事前の診察で、気になる症状や症状のある期間、既往歴や服用中の薬の有無、便通や便の形状などを伝え、触診による身体所見の観察などを受ける。「訴える症状によっては、レントゲン検査や超音波検査などを行います」と長尾院長。安全に大腸内視鏡検査を行えると判断されたら、検査日を決める。検査前日から当日の過ごし方など注意事項の説明を聞く。検査時のポリープ切除や、鎮静剤の使用に関する希望もこのタイミングで伝える。
- 2前処置に取り組み検査に備える
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前日は指定の時間までに食事を済ませ、下剤を服用して就寝。同院では、大腸の内部をきれいにするための前処置は院内で行うことを基本とし、検査当日は受付を済ませたら前処置室に移動。用意された腸管洗浄液を服用する。前処置室にはトイレがついているので、周囲を気にせず排泄を済ませられる。十分に大腸がきれいになったかを判断するため、看護師が排泄した洗浄液の状態を確認し、問題なければ検査着に着替える。
- 3大腸内視鏡検査を受ける
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鎮静剤を用いる場合は、点滴処置を受けて検査室に移動する。検査にかかる時間は15分から20分で、複数のポリープを切除する場合は40分ほどの時間を要する。鎮静剤を用いる場合は、眠った状態での検査が見込める。一方で、「顔をしかめるなど痛みへの反応を診るのも穿孔などの偶発症を予防し、安全に検査を行うために重要」と長尾院長。同院では痛みを抑えるための薬剤はできる限り使わないそうだ。
- 4検査後はしっかり休息
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鎮静剤の有用性の持続時間は個人差があり、一見目が覚めたように見えても覚醒しきっていないことは珍しくないという。そのため鎮静剤を用いた場合は、1時間程度ゆっくり休息を取り、回復を待つ。鎮静剤の効果が遷延することを防ぐために拮抗剤も用いている。「鎮静剤を用いた場合は、その日は終日、自動車や自転車の運転が厳禁となりますので公共交通機関をご利用ください」と長尾院長。
- 5検査結果の説明を聞く
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着替えを済ませてから診察室に移動し、検査結果を聞く。検査時に組織を採取した場合は、生検の結果が出る約2週間後に再度受診し、説明を受ける。総合病院でのさらなる検査や追加治療が必要な場合には、同院が連携する医療機関や希望する医療機関に対して紹介状を書いてもらう。