鈴木 典子 院長の独自取材記事
Ladies Clinic NORIKO
(津市/津新町駅)
最終更新日:2025/03/10

三重県津市の「Ladies Clinic NORIKO」。鈴木典子院長が津西産婦人科を継承し、2024年3月にリニューアルオープンしたクリニックだ。日本専門医機構産認定婦人科専門医である鈴木院長は、杏林大学医学部を卒業後、同大学付属病院産婦人科教室に入局。医学博士号を取得後は、病院などで長年経験を積んできた。生まれ育った三重県に戻り、地元の女性にもこれまでの経験を還元してきたいという思いで地域医療に貢献する。「女性が相談しやすいかかりつけ医でありたい」と優しく語る鈴木院長に、継承の経緯や診療に対する思いを詳しく聞いた。
(取材日2025年2月3日)
気軽に相談しやすい婦人科のかかりつけ医でありたい
まずはクリニック継承までの経緯を教えてください。

もともと非常勤医師としてこちらに勤務していました。その間に、前院長から継承してくれないかとお話をいただいたのが継承のきっかけです。前院長の理念を引き継いでいますが、リニューアルに伴いクリニック名を変更しました。私が産婦人科の医師をめざしたきっかけは、私自身生理痛がとてもひどく悩んできましたので、経験を踏まえた上で患者さんに寄り添った診療を提供していきたいと思ったからです。更年期についても、同じ女性として経験に基づいた診療ができるのではないかと思います。当院は、産婦人科を専門とした地域のかかりつけ医として、気になる症状や悩みを気軽に相談していただきたいと思っています。症状に合わせて治療を提供したり、場合によっては違う診療科をご紹介したりと、患者さん一人ひとりに適した対応をしていきたいと考えています。
診療で大切にされていることを教えてください。
女性としての自分の経験や想像をもとに、話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。クリニックでは患者さんの悩みや不安を伺った上で医療を提供していくわけですが、言いづらい症状もあると思います。例えば、生理痛などは相談しやすい傾向がありますけれども、更年期の症状や子宮脱など、なかなか友達にも相談しづらいようなこともありますよね。その他にも年齢を重ねる中で、尿漏れなどいろんな症状が出てきます。家族や友人にも相談しにくい話もあるでしょうから、当院に相談しに来ていただければと思います。まずは「悩んでいるのはあなただけじゃないですよ」というのを伝えて、少しでも気持ちを軽くして差し上げたい。患者さんにとって親しみやすく話しかけやすい雰囲気づくりを大切にしながら、医師としての役割を果たしていければと思っていますね。
話しやすい雰囲気づくりは、スタッフの方々にも浸透しているのでしょうか。

そうですね。スタッフも同じように話しやすい雰囲気づくりを大切にしてくれています。特に、患者さんには明るく、笑顔で接することは、事務スタッフと看護師、医師である私も含めて徹底していきたいと思っています。前院長も優しい方でしたので、女性特有の症状に対応する地域のかかりつけ医として、引き続き患者さんの思いを尊重しながら、日々診療を提供していきたいですね。
幅広い年齢の患者に対応。一人ひとりに合わせた診療を
来院される患者さんの年齢層について教えてください。

10代から高齢の方まで幅広く来ていただいています。中でも、生理痛を主訴に来院される10代から20代の方と更年期の年齢層が多いですね。更年期の症状に関しては40代後半から相談いただいています。患者さん一人ひとりに合った治療方法を選択いただけるように、幅広い選択肢の中からご提案しています。人によって、症状によって向いている治療方法というのがあるんですよ。生理痛も月経困難症としてピルを処方したほうが良い場合もありますし、鎮痛剤で済むのであればそのように提案することも。中には、ピルに抵抗がある方もいますので、患者さんと相談しながら決めていきます。
生理痛の場合は親御さんも一緒に来院されることが多いですか?
10代ですと一緒に来られる場合が多いですね。ですので、親御さんにも知識をつけていただけるよう丁寧な説明を心がけています。例えば、若い年代はピルに対して抵抗が少ないのですが、母親世代はホルモン療法のリスクが強調していわれていた時代を経験していますので、抵抗感がある方もいらっしゃいます。お子さんにも親御さんにも納得していただいた上で、治療方法を選択していく必要がありますね。中には具合が悪くなり、倒れてから受診する方もいますので、症状の程度に合わせることも大切にしていますね。最近では生理の開始時期も早くなり、重い生理痛の症状で悩むお子さんも増えています。小学生の時から保健室で休んだり、学校に行けなかったりという子もいるようです。小学生や中学生のうちは痛くても周りに言いづらいと感じるお子さんが多いかと思いますが、先生に相談して休ませてもらったり、薬を飲んだりして我慢しないようにお伝えしたいですね。
更年期の症状に悩まれる方にはどのように対応されていますか?

漢方やホルモン療法、プラセンタ注射などさまざまな治療方法がありますので、患者さんが望む方法や症状、リスクなどを総合的に考慮して、患者さんと相談しながら治療を行います。更年期は、個人によって症状が異なりますから、この治療方法をしておけば良いというのは一概には言えません。漢方薬にもいろんな種類がありますので、一人ひとりに合ったものをご提案します。生理痛や更年期の相談以外では、がん検診のために来られる方もいますし、高齢の方になると骨盤臓器脱や尿漏れを気にして来院される方も多いですね。
車いすの方のために時間枠を別に用意されているそうですね。
車いすでの来院は、福祉施設に入所されている方が多いです。例えば、内診台の上に乗っていただく際にも施設のスタッフさんの介助が必要となる場合もあるでしょう。そうなると診察にどうしても時間を要しますので、私たちもフォローする上で、ゆとりを持ってケアさせていただきたいと思い、最後の枠を別に用意しました。
婦人科の気になる症状や悩みは早めに相談を
休日のリフレッシュ方法を教えてください。

運動不足にならないよう、週1回テニススクールに通っています。高校まで部活動でテニスをやっていたのですが、その時の同級生がスクールの先生をしているのがきっかけで再開しました。テニスでリフレッシュしながら同級生とおしゃべりをするのも楽しみの一つですね。
設備面で、リニューアルの際にこだわられたところはありますか?
院内の内装は以前よりピンクを多めにして、気持ちを和らげていただけるようにしました。診察をスムーズに進めるため、内診台を増やしたり、機器を増やしたりといった改善もしています。また、診察内容によって多少時間が延びることもありますが、なるべく患者さんに負担をかけないために、予約制に変更しました。スタッフも女性ばかりですので、働きやすさも考慮しています。診療時間が明確になることはスタッフの心のゆとりにもつながりますので、患者さんにもプラスになると思っています。
今後の展望と、読者へメッセージをお願いします。

リニューアルをして3月で1年になるのですが、この1年はあっという間でした。今後も、今来てくださっている患者さんを引き続きフォローしていきながら、女性特有の症状に悩まれる方に対し、医師として貢献していきたいですね。10代、20代の方は、その後出産される方もおられるかと思いますし、その先で更年期に悩む方もいらっしゃると思います。そういった一人ひとりのライフステージがある中で、かかりつけ医として患者さんの人生を通して見守らせていただければなと思っています。女性にしかない疾患はいろいろありますが、症状があっても受診に抵抗がある方もまだまだいらっしゃるかと思います。気になることがある場合は、当院に限らず産婦人科に行くようにしていただきたいです。そのためには、怖いイメージを少しでも和らげたいという思いでいます。気軽に、そして早めに産婦人科にかかっていただければと思いますね。