大畠 和也 院長の独自取材記事
おおはた耳鼻咽喉科クリニック
(池田市/池田駅)
最終更新日:2024/06/20
2024年5月、池田市旭丘に新たなクリニックモールが完成。そのオープンと足並みをそろえて1階に開業したのが「おおはた耳鼻咽喉科クリニック」だ。真新しい院内で出迎えてくれたのは、はきはきとした明瞭な語り口と気さくな笑顔が魅力の大畠和也院長。大阪大学医学部卒業後に大学病院や関連病院で手術に携わるなど、豊富な臨床経験を持つ医学博士であり耳鼻咽喉科の専門家。その一方で地域医療に馳せる思いもまた人一倍強く、特に小さな子どもの耳・鼻・喉の問題解決には並々ならぬ意欲で挑んでいる。そんな大畠院長が大切にする診療スタンスや症例への取り組みを解き明かしながら、開業したばかりのクリニックの魅力に迫った。
(取材日2024年6月7日)
耳鼻咽喉科の豊富な知識と設備で地域のニーズに応える
まずはご開業までの経緯をお聞かせください。
私は大阪大学医学部の出身で、卒業後は同医学部附属病院などの関連病院に17年ほど勤めて耳鼻咽喉科や頭頸部外科などの診療を担当していました。開業を決意してから良い場所を探していたところ、新しくクリニックビルができるというのをたまたま耳にして、調べてみると自宅のすぐ近所。付近に耳鼻咽喉科のクリニックが少ないこともあって、ここでの開業を決めました。患者もやはり近辺にお住まいの方が大多数ですが、バス通りに面していて車でのアクセスが良いこともあり、箕面市内などからも患者さんがおみえになります。「これまで遠くまで通っていたので待ちわびていました」と言ってくださる方もいて、開業したかいがあったと感じています。
院内設備や診療体制など、クリニックの特徴を教えてください。
まずは大勢の患者さんがお越しになると予測し、広い待合スペースを用意しました。トイレはおむつ交換台や小児用便器、オストメイト対応機能つきで、感染症や発熱のある患者さん専用の個別の待合室も設けています。診察室は将来を見越して3室あり、吸入スペースや聴力検査室、CT室の他、耳鼻咽喉科診療に使うさまざまな医療機器も一通りそろえています。スタッフは各勤務帯に看護師を含む5人が待機。診療メニューに関しては、一般的な耳鼻咽喉科クリニックとして幅広く対応可能です。守備範囲はかなり広いですが、どの分野でも道筋を立てられますし、必要があれば大きな病院を紹介することも可能です。特に市立池田病院には同門の先生がいますし、私も登録していますので安心してお任せください。
CT検査はどのような診断に必要なのでしょうか?
当院が採用したのは先進のコーンビームCTと呼ばれる装置で、副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症の診断に用います。これがあるおかげで大きな病院でCTを撮ってもらうといった二度手間にはなりませんし、測定自体は20秒足らず。セッティングを含めても5分とかかりませんので、当院でも積極的に活用しています。副鼻腔は外から見えませんから、CTがなければ副鼻腔炎の見定めはかなり困難です。治療後の経過もわかりづらいのですが、CT画像を見ればそれも確かめることができます。診断から治療の経過、再発までしっかりと評価できる点や、患者さんにしっかりと画像データで経過をお見せすることができる点でも欠かせない存在ですね。
さまざまな処置によって症状の早期改善をめざす
小児の診療で先生が心がけていることは?
例えば子どもの滲出性中耳炎のように、耳慣れている割には意外と見過ごされがちな疾患を、見逃さないことを心がけています。風邪などの症状があった時に同時に診てあげて、見過ごさないように努めることが重要です。また、子どもの場合は何をされるのか予測ができませんから、怖くて泣いてしまいがちです。そんな子をなるべく不安にさせないように、「これからちょっとこんなことをするよ」と優しく、しかしはっきりと声をかけてあげます。耳鼻咽喉科の治療の多くは続けて通ってもらわねばなりません。二度と来たくないと思わせないよう、細心の注意を払っています。
子どもの風邪は、耳鼻咽喉科と小児科のどちらを受診すべきでしょうか?
よく耳にする質問ですね。薬の処方にはかぶる部分も多いのですが、実際に手を使って処置できるところが耳鼻咽喉科の強みです。鼻の吸引や耳垢取りといった処置は耳鼻咽喉科で行います。また、風邪だと思っていたら別の病気が隠れているケースもありますが、耳鼻咽喉科で処置を行うことではっきりする可能性が高まります。最初の入り口は小児科でも構いませんが、できれば耳鼻咽喉科にも来てもらって適切な処置を受けることをお勧めします。薬と違って処置には副作用はありませんし、早期の改善も見込めます。私は開業直前まで大阪市立総合医療センターの小児耳鼻咽喉科で副部長を務めていて子どもの診療には慣れていますから、安心して連れてきてください。
親がなかなか気づかないような症状や病気はありますか?
睡眠時無呼吸症候群は子どもにも見られ、保護者が気づきにくい疾患です。大人とはメカニズムが違い、原因の大半は扁桃腺や、鼻の奥にあるアデノイドという部分の肥大によるもの。放置していると睡眠の質が悪くなって成長の遅れや日中の眠気につながる上に、中には手術が必要になるケースもあるので要注意です。早い子は生まれてすぐにいびきをかきますが、病気のせいかどうかの判断は難しいところです。2歳を過ぎた頃からいびきがはっきりとしてくるので、夜中によくかいているなと思ったら他の診察のタイミングで一言お知らせください。お子さんに関しては、他にもいろいろとお伝えしたいことはあります。チャンスがあれば、一度ぜひ耳鼻咽喉科を受診してみてください。
大切な瞬間を見逃さない。それが耳鼻咽喉科診療の鉄則
先生が医師や耳鼻咽喉科をめざした理由を教えてください。
両親は医師でもなんでもありませんし、親戚にも医療関係者はいません。誰かの真似をしようとしたのではなく、自発的な希望からです。当時はデスクワークに抵抗があり、やはり手を動かすといいますか、技術的な能力を使える仕事であれば退屈しないだろうと考えて医師をめざし、なんとか勉強を頑張って医学部へ進みました。医学部生は幅広い診療科を一通り体験するのですが、耳鼻咽喉科で働いていた先生がたまたま同じ高校のOBで、公私の枠を超えていろいろ教えてくださいました。改めて耳鼻咽喉科という診療科を見つめてみると、手術などもありますし、自分の求めていた仕事と非常に合致しています。それで卒業後は迷うことなく耳鼻咽喉科の道を選びましたが、やはり人とのご縁はあるものですね。
耳鼻咽喉科の資質として大切なことは何ですか?
ポイントとなるのは、やはり診断力だと考えます。耳鼻咽喉科の診断は実際に目で見て判断することがほとんどで、採血をして数値で判断するのではなく、自分の目で確認した上で直感的に判断する必要があるわけですね。見るための装置やデバイスがたくさんあるのはそのためです。病気に気づくか気づかないか、その分岐点になるのは、どれだけ症例を見てきたか、細かく判断できるかという診断力にかかっています。そのため医師によって得意不得意が分かれる分野ともいえるかと思います。画像で判断する読影との違いは、必ずしもデータに残せない場面があることです。患部を実際に見た医師にしかわかりません。そういう意味では瞬間芸に近いですね。数値を並べて首をひねって考えている暇はなく、その場で反射的に診断をつけなければならないことが多々あります。大切な瞬間を見逃さない。それが耳鼻咽喉科診療の鉄則です。
最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。
お子さんの鼻水がたくさん出ているような時は、軽い風邪だと思っていても耳鼻咽喉科に連れて来てもらうのが安心でしょう。こうした症状は、薬だけではなかなか治まりません。薬の処方での対応も行いますが、耳鼻咽喉科で行う処置のほうがより改善が期待できると私は考えています。当院は近所に耳鼻咽喉科が少ないから通えないという皆さんのために開業したのですから、鼻吸いだけでも遠慮なくお越しください。大きな病院とは違い、医師と患者さんとの距離が近いのが開業クリニックの良いところです。週に何回も顔を合わせられるのも大きな病院にはない魅力と感じています。そんな身近な存在として、末永くお付き合いできることを楽しみにしています。気になる症状があれば、いつでも気軽にご相談ください。