塩見 和之 院長の独自取材記事
たけのこキッズくりにっく
(堺市東区/初芝駅)
最終更新日:2024/06/12

南海高野線・初芝駅から徒歩1分。アクセス至便な場所に2024年5月1日に新規開院した「たけのこキッズくりにっく」。同院は、複数のクリニックが集まる「メディカルスクエア」という建物の中に位置する。院長の塩見和之先生は自身が幼い頃からアレルギーに悩まされ、体も弱かったことから、同じような症状を持つ子どもたちを救いたいと思い小児科の医師になった。開業するまで勤務医として10年間研鑽を積み、その経験を生かしながら日々地域の子どもたちの診療を行っている。なお、メディカルスクエア内で他のクリニックとしっかり連携している点も、スムーズな診療につながっているという。「子どもの言葉にならない声を読み取ることを意識しながら診療しています」と明るい笑顔で語る塩見先生に、クリニックの特徴や患者への想いなどを聞いた。
(取材日2024年5月31日)
クリニックの滞在時間を短くして患者の負担を減らす
先生が開業することになったきっかけや経緯をお話しいただけますか?

私は、いつか開業するつもりで医師になりました。ですので、開業することを想定しながらさまざまな経験を積み、医師になって10年という節目でその夢をかなえることができました。約1年前から開業する場所を探していたのですが、この周辺には小児科が少ないことと、複数のクリニックが集まっていて連携が取りやすいことから、良さそうだなと思ったんです。そうこうしているうちにいろいろなタイミングが重なり、最終的にこの場所に決めました。ちなみにクリニック周辺は住宅街で、ファミリー層から高齢者まで幅広い層の人たちが住んでいます。子どもも多い地域ですので、これからもっと地域に貢献していきたいですね。現在開業して約1ヵ月になりますが、当院に来られる子どもさんたちは風邪や熱、アレルギーなどの一般的な主訴が多いです。
クリニックの特徴やこだわりについてお伺いします。
患者さんには、院内で過ごす時間をできるだけ短くしてほしいと考えています。というのも、長く滞在するほど感染症のリスクが上がりますし、子どもの集中力も持たないからです。忙しい親御さんも多いですしね。私自身、診察が終わって待合室で会計を待つのが好きではないため、患者さんも早く帰れるほうが良いのではないかと思ったんです。ですので、当院では受付から会計までオンラインで完結できるようにしました。事前にクレジットカードを登録する必要がありますが、現時点でほとんどの患者さんがオンラインで済ませていますね。もちろん現金での対応も行っていますから、クレジットカードをお持ちでない方やカード情報を登録することに抵抗がある方もご安心ください。
クリニックの診療内容について教えてください。

風邪、アレルギー、ケガや打撲などの一般的な小児科をメインに診療しています。特別なことをするわけではなく、子どもに関する疾患を全体的に診る感じですね。アレルギーに関しては、舌下免疫療法を取り入れていますのでお気軽にご相談ください。また、病気やケガだけではなく子どもの発育に関するご相談も受けています。例えば「ごはんを食べてくれない」「寝てくれない」など、親御さんの悩みがあればぜひお話しくださいね。あとは、診療時間外や昼休みの時間を使って訪問診療にも行っています。事情があってクリニックに足を運ぶことが困難な方は、こちらから伺いますのでご相談ください。
自身の実体験を踏まえたアドバイスが可能
先生のご専門やこれまでのご経験を教えてください。

私はPL病院で初期研修を修了しました。PL病院は小児科診療にも力を入れているので、そういった環境で、私も小児科について深く掘り下げて学べたと思います。その後は大阪母子医療センターに3年間勤務し、泉南市にある第五なぎさクリニックに移りました。そこでは小児科の医師が私1人で、院長のようなポジションで診療していました。約10年間研鑽を積んできた中で訪問診療も経験し、準備を整えた状態で開業することになり、自分で思い描いたとおりに進んでいます。ちなみに私は、自分自身が小さい頃にアレルギーに悩まされた経験があり、同じような子どもたちを救いたいと思い、医師になりました。アレルギーを持つ経験者としてのアドバイスができる点は、私の強みなのではないかと思っています。
スタッフ体制についても伺います。
現在、看護師は全部で8人、事務が2人です。以前一緒に働いていた人もいますし、知り合いの紹介で来てくれた人もいます。どんなスタッフと働くかは、私のインスピレーションで決めています。自分と合うか合わないか、という点を重要視しています。というのも、院内では連携が大事だからです。そのため、小児科だからといって経験が必要とか、子どもの扱いに慣れていないといけないとか、そういうことは気にしていません。仕事はいずれできるようになりますので、経験の有無は関係ありません。それよりも人柄は変えられないため、その人の「人となり」を大切にしています。
メディカルモール内での連携について教えてください。

まず、当院の患者さんでエックス線検査やCT、MRIの検査が必要なときは、メディカルモール1階にある脳神経外科で検査ができる体制を整えています。当院は小児科なので、他の内科との連携は難しいところはあるのですが、例えば親御さんの体調不良ですと、すぐにメディカルモール内のクリニックをご紹介できますよ。同じ建物内にあるため移動する負担がないので、患者さんにとって大きなメリットなのではないでしょうか。また、メディカルモールのクリニックの医師たちはみんな仲が良いです。そのため、何か困ったことがあればすぐに相談したり頼ったりできる環境なのはありがたいですね。
言語化できない子どもの声をくみ取る
患者さんと接する際に意識していることや配慮していることを教えてください。

私は医師は患者さんの病気だけを診るのではないと思っています。特に小児科に関しては、子どもの「言葉にならない訴えや状況」をくみ取ることが非常に重要。ですので、親御さんの言葉だけをうのみにするのではなく、子どもの様子もしっかり確認して診療するようにしています。あとは、親御さんを安心させてあげられるよう配慮しています。お母さんが不安なままだと、お子さんの経過に影響することもあるんですよ。そのため、病気を治療するだけでなく「将来的にこうなる」というようにある程度想像できる未来を提示すると親御さんは安心されると思います。それと、ごくまれに悪性腫瘍などを発見することがあり得ます。その際はうそをついたり曖昧なことを言ったりせず、はっきりお伝えするようにしています。当然ショックを受けられると思うのですが、その後覚悟を持って大きな病院で検査や説明を受けることで、冷静に対処できる可能性が高くなると思うんです。
今後の展望についてお伺いします。
当院で導入している、受付から会計までオンラインで完結するシステムはとても画期的で素晴らしいと思っているので、もっと広めたいですね。例えば小児科が少ない大阪の南の地域に新たにクリニックをつくり、システムを導入して地域に貢献したいです。また、今後は訪問診療も増えてくると思うので、しっかり対応していきたいですね。以前の職場では昼休みに高速道路を使って訪問診療に向かっていたため、少し距離があっても問題なく動けます。ですので、近所に小児科がなくて困っている患者さんたちのケアができる体制を整えたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は小児科としては珍しく、キッズスペースや絵本などがなく院内はとてもシンプルです。それは先ほどもお話ししたとおり、患者さんに滞在時間を短くしてほしいからなんですね。子どもは慣れない場所に来ると、余計に体調を崩しがちになりますし、早くお家に帰りたいと思うでしょう。ですので、「早く診察してほしい」「時間がないけれど子どもを受診させたい」という患者さんはぜひ当院にいらしてください。他に待っている患者さんがいなければ、来院して数分で終わることもあります。とはいえ、しっかり診療は行いますのでそこはご安心ください。子どもだけでなく親御さんの体調不良も、軽いものであれば診させてもらいます。なので、何かあればお気軽に来院していただければと思います。