賀来星倫院長の独自取材記事

もえぎ歯科クリニック

(広島市安芸区／海田市駅)

最終更新日：2024/09/10

安芸区船越南にある「もえぎ歯科クリニック」。子どもや歯科が苦手な患者にも優しく寄り添い、痛みに配慮した治療と予防歯科を推進するクリニックだ。院長の賀来星倫（かく・せいりん）先生は、優しい雰囲気で2人の子を持つ歯科医師だ。子どもの頃からの口腔ケアを重視し、高齢者になっても自分の歯で食事を楽しめる状態をめざす。「歯科を怖くない場所にしたいです」と語り、子どもには治療前の練習期間を設けるなどして、定期的に歯科に通う習慣づくりに取り組んでいる。痛みの治療後は定期メンテナンスに移行し、予防歯科で口内の健康を守ることをめざす。丁寧に患者に向き合う賀来院長に、怖くない治療の工夫や今後の展望を聞いた。

（取材日2024年6月10日）

子育て経験を生かし保護者の悩みに寄り添う
一人ひとりに寄り添った治療をめざす
「怖くない」をモットーに治療

子育て経験を生かし保護者の悩みに寄り添う

クリニックの特徴について教えてください。

当クリニックは、痛みに配慮し「怖くない、できるだけ抜かない治療」をモットーとしています。ストレスフリーな歯科治療を提供できるように心がけていますが、まずは歯科に来てもらうことが大切。「女性歯科医師なら」と当クリニックを受診してくださる患者さんもいてうれしいです。小さなお子さんから、ご高齢の方まで幅広くお越しいただいています。開業してみて驚いたのは、今まで歯医者が怖くて受診できなかったというお話をたくさん耳にすることです。歯科クリニックの数は多いですが、苦手意識があって受診できない人は多いのでしょう。診療内容は、虫歯などの一般歯科から、親知らずの抜歯、矯正、ホワイトニングなどさまざまです。一人ひとりに合わせた治療を提案しながら、地域の患者さんの健康を守るお手伝いができたらいいと思います。

小さな子どもでも治療できるのでしょうか？

私も親なので子育ての大変さがよくわかります。子育てで多忙な親御さんたちにも自分の歯を大切にしてほしいので、院内にキッズスペースを設けてお子さん同伴で来院できるようにしました。小さな頃のトラウマは、大人になっても歯科を避ける原因になります。トラウマをつくらないことが大切ですから、お子さんの場合は時間をかけて、練習期間を設けて慣れて怖がらないようになったら治療を開始します。治療機器を見せて音を確認したり、バキュームを触ってもらって「これでお水を吸いますよ」といった具合です。幼い頃から歯科に通う習慣をつけて大人になっても健康なお口でいてほしいですね。そのためには怖くない、痛みの少ない治療をめざし、お子さんとクリニックの接点を増やす工夫をしています。

院長ご自身も子育て中のお母さんなのですね。

はい、2児の母親です。ちょうど開業準備の時に下の子が2歳だったのですが、本当に大変でした。夫や周りの協力があってなんとか乗り越えたのですが、自分でも「よくやっているな」と思います。子育て中の私だからこそ、子を持つ親御さんたちに寄り添うことができると思います。子育て中はなかなか自分の時間が取れませんし、小さな子どもをクリニックに連れてくるのも一苦労。「泣かれたらどうしよう」という不安もあるはず。当クリニックではキッズスペースを設けているので、そこで遊べるくらいのお子さんをスタッフで見守ることも可能です。小さなお子さんを持つ保護者でも、自分の時間をつくって治療を受けてもらえるような体制を構築しています。

一人ひとりに寄り添った治療をめざす

開業されて、患者層や主訴はいかがでしょうか？

小さなお子さんから、ご高齢の方まで幅広くお越しいただいています。歯科医院をあまり受診したことがなく、虫歯や歯周病が進んでしまっている方も、定期的に通院されていて、お口の中がとてもきれいな方もいらっしゃいます。最近は歯並びやホワイトニングの相談も増えてきました。私は歯科口腔外科で経験を積んできたので、院内で親知らずの抜歯も対応可能です。また、訪問診療にも力を入れており、併設されているデイサービス施設や近隣グループホームに訪問し直接歯科医院に来られない方のお口の健康にも寄与しています。治療が必要な方には、体調の良い日に施設の職員さんと一緒に来てもらって治療していますよ。

予防歯科について教えてください。

できるだけ長く自分の歯を守るためには予防歯科が大切です。歯科は痛みがなくなったら治療終了ではありません。歯は毎日使うものなので、どうしても汚れがついてしまいます。定期的にクリニックでメンテナンスすることで、虫歯の予防やお口の健康維持につながります。また、いくら詰め物やかぶせ物をしても、自分の歯に勝るものはありません。歯は削ったり、神経を抜いたりすると、歯の寿命が短くなります。当クリニックではなるべく歯磨きしやすいようにかぶせ物の形を工夫していますが、自分の歯とかぶせ物の間には必ず隙間が生じ、そこからまた虫歯になりやすいです。痛みが出てから受診すると患者さんの負担も大きくなりますから、お口の状態が悪化しないことを目的に、定期的に受診することをお勧めします。

ホワイトニングや矯正にも力を入れているそうですね。

はい。矯正やホワイトニングに対し、ハードルが高いと感じている方もいると思うので、誰でも始めやすいような環境を整えています。ホワイトニングや矯正は若い人たちが受けるイメージがあると思いますが、私のクリニックでは60代の方でもホワイトニングを希望される方がいらっしゃいます。「この歳で、と思われるのが恥ずかしくてなかなか言えなかったけれど、ホワイトニングしてみたかったんだよね」と相談してくれることもありました。矯正においても当院は前歯だけといった部分矯正にも対応していますし、チャレンジしやすいかと思います。第2の人生を豊かにするお手伝いができるのはうれしいですね。私なんかがと思わず、気軽にご相談してください。

「怖くない」をモットーに治療

歯科医師をめざしたきっかけやご経歴をお伺いします。

兵庫県出身で、大学進学を機にこちらに引っ越してきました。親が医療に携わる仕事をしていて、私も医療系の仕事がいいなと考えていました。歯科医師というと年配の男性のイメージがあって、私自身も歯科医院は苦手でした。だから、女性の歯科医師がいたら気軽に相談できるし、自分なら怖くない治療ができるのではと思ったのです。大学卒業後、大阪医科薬科大学病院歯科口腔外科での勤務やアメリカのボストン大学口腔外科への留学後、大阪へ戻り何年か経験を積んだ後、広島で一般開業医の歯科で6年間勤務しました。多忙でも一人ひとり丁寧に対応して、スタッフにも分け隔てなく優しく接してくれる院長の姿はとても印象的でした。歯科医師やスタッフの態度がクリニックの雰囲気をつくりますし、患者さんにも伝わります。このような経験から私自身も、働く上でどれだけ忙しくても、患者さんにもスタッフにも優しく丁寧に対応することを大切にしています。

診療で気をつけていることは何でしょうか？

優しい接遇と、痛みの少ない、怖くない治療をめざしています。たくさんの患者さんを診るよりも、少人数にじっくり時間をかけて診る方針です。当クリニックでは予約制にして、患者さんをお待たせしないようにしています。クリニックを受診して半日つぶれるというのが、私自身も嫌なのです。待合室が埋まることも基本的にないので、院内でもゆったり過ごしていただけると思います。痛みの少ない治療をめざし、常に患者さんに合わせた治療法を見つけていくことを心がけています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

これからも怖くない治療をモットーに診療を続けます。患者さんの数が増えても、時間を確保しながら一人ひとりに合った治療を提案していきたいと思います。歯科は予防が一番大切ですので、痛くなる前に定期的に受診することをお勧めします。丁寧で優しい治療で患者さんの口腔ケアを進めます。小さなお子さんでもまずは治療の練習からスタートしますので、ぜひ幼い頃から歯科クリニックに通う習慣をつけてください。