罹患前と変わらない生活へ
関節リウマチの「寛解」をめざす
パークイーストクリニック清澄白河
(江東区/清澄白河駅)
最終更新日:2024/09/10


- 保険診療
関節リウマチは、免疫に異常があることで関節内に慢性的な炎症が発生するという、まだ解明されていない部分も多い疾患。関節の痛みや変形を伴うが「罹患してしまってもすべてを悲観する必要はない」と語るのは「パークイーストクリニック清澄白河」の高田和生院長。米国でリウマチ・膠原病疾患の診療や研究に取り組んできたドクターで、日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格も持つ関節リウマチのスペシャリストだ。院長いわく、現在は、炎症が鎮静し関節の痛みも腫れも消失した「寛解(かんかい)」をめざす治療アプローチが豊富にあるという。「有効性を見込める治療薬も増え、多くの患者さんが寛解をめざせます」と、実際の治療方法や寛解までの歩みについて優しく語るまなざしの奥には、患者を不安や苦しみから救いたいという、力強い情熱を感じた。
(取材日2024年8月31日)
目次
5つのカテゴリーに分けられる治療薬をリウマチ専門医が患者一人ひとりに合わせて提案。ともに寛解をめざす
- Q寛解達成に向けての具体的な治療アプローチを教えてください。
-
A
▲患者の症状に合わせて、さまざまな治療法を提案している
内服薬、皮下注射、点滴などのさまざまな薬剤を組み合わせて治療していきます。薬剤を便宜上大きく5つのカテゴリーに分けてご説明しますと、1つは痛み止めとしても使われる「非ステロイド性消炎鎮痛薬」で、ロキソプロフェンやセレコキシブなど。2つ目は「副腎皮質ステロイド薬」、3つ目は従来からの仕組みによって炎症や免疫を抑えるための飲み薬で「従来型合成抗リウマチ薬」といいます。4つ目が「生物学的製剤」で、炎症や免疫の細胞膜や細胞間に存在し互いに刺激し合う分子を中和する働きを持つ抗体製剤で、注射または点滴です。そして最後が炎症や免疫の細胞内の分子を特異的に阻害する「分子標的型抗リウマチ薬」という飲み薬です。
- Qそれらの治療薬をどのように扱っていくのでしょうか?
-
A
▲適切な薬剤を使用し、炎症の鎮静化を図り寛解をめざす
現在の世界標準の治療は、期待できる効果、安全性、費用などの複数の面から見て最もバランスの良い、3つ目のカテゴリーの薬剤を軸とし、それでも炎症の鎮静化、すなわち寛解が達成できない場合は4つ目または5つ目のカテゴリーの薬剤を併用します。1つ目、2つ目の薬剤は、どうしても必要な場合にできるだけ短期間、最少量で賢く使います。実際には、治療の効果判定期間を定め、必要な頻度でご来院いただき、薬剤の量の調整、変更、または追加を行い、できるだけ早い寛解達成をめざします。これらにより、現在の関節リウマチ治療では、発症初期の方はもちろん、すでに変形が起きてしまっている方でも寛解をめざすことができます。
- Q軽症・重症の場合の通院期間や通院頻度について教えてください。
-
A
▲ホテルのような雰囲気の待合室でリラックスして過ごせる
通院頻度は、使っている治療の有効性および安全性のモニタリングの必要度により設定されます。治療開始後しばらくは、炎症の鎮静化、すなわち寛解を達成すべく、一定間隔で経過を追い、治療ステップアップの判断をしなければなりません。また副作用の危険が比較的大きい治療薬を使っている場合には、副作用の早期発見のために短い通院間隔での安全性のモニタリングが必要です。具体的には、治療開始から寛解をめざしている間は、重症度によらず、2~4週間隔程度でしょう。そして寛解につながった場合、その後は安全性上の懸念が小さい場合には2~3ヵ月間隔、懸念が大きい場合には2~4週間隔程度で受診していただくことになるでしょう。
- Qそれら治療薬は保険が適用されますか?
-
A
▲患者の背景に寄り添い、きめ細かいサポートを行っている
すべて保険が適用されますが、4つ目、5つ目のカテゴリーの薬剤はそれでも高価です。ただ、添付文書にある用量よりも少ない用量や長めの間隔でも十分に効果が見込める場合もあり、その際は費用負担も小さくなります。難病医療費助成の対象となるのは、「悪性関節リウマチ」と分類される、関節以外の臓器にも病気が及んだ非常に重症な方のみですが、そうでない方も、自己負担額が年齢や所得により規定される限度額を超過していればその分が払い戻される高額療養費制度により、費用負担が軽減され得ます。治療導入時や治療増強時には、さまざまな選択肢を挙げ、費用も含めしっかりと情報提供し、協力して意思決定を行うことを大切にしています。
- Qなぜ、リウマチ専門医に相談することが大切なのでしょう?
-
A
▲充実した設備で精密な検査が可能。専門的な知識と経験で対応する
まず、適切な検査の解釈のもと正しい診断的判断が求められるからです。人間ドックなどで測定されるリウマチ因子(リウマトイド因子、RF)は、健康な方でも陽性と出る偽陽性や関節リウマチでも陰性と出る偽陰性の場合があり、複雑な解釈が必要です。そうした結果とともに、症状や身体所見、他の血液検査結果、超音波やエックス線、MRIの画像所見を含め総合的な判断が求められます。加えて、さまざまな治療法に習熟し、診療ガイドラインの盲目的な直訳ではなく、患者さんの状況に最も適した治療の提案も求められます。当院でも超音波やエックス線検査も適宜用いて、正しい診断的判断と、患者さんの状況に最適な治療の提案を心がけています。