痛みや腫れのない「寛解」というゴールをめざす
関節リウマチ治療
パークイーストクリニック清澄白河
(江東区/清澄白河駅)
最終更新日:2024/09/13


- 保険診療
関節を覆う膜に炎症が持続し、軟骨や骨、腱、神経などの周辺組織を破壊していくことでさまざまな機能障害が生じる関節リウマチ。手のこわばりや膝関節の痛みという関節に現れる症状や倦怠感などのほか、肺や目にも炎症が及ぶこともある病気だ。その痛みや、治療の困難さゆえに、日常生活にも大きな影響を及ぼすのではないかと不安を抱える患者やその家族も多いのではないだろうか。しかし、日本リウマチ学会リウマチ専門医であり、米国でもリウマチ・膠原病疾患の診療、研究に従事してきた「パークイーストクリニック清澄白河」の高田和生院長の話によれば、薬で炎症の鎮静化を図ることで、関節の痛みも腫れも消失した「寛解(かんかい)」という状態をめざせるとのことだ。関節リウマチという病気への不安や疑問とともに、詳しく院長に教えてもらった。
(取材日2024年8月30日)
目次
検査結果に憂慮せず、関節のこわばりなどの症状があれば専門の医師のもとへ。早期の治療で寛解をめざす
- Q手や膝の関節が痛むと関節リウマチではないかと不安になります。
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A
▲米国で学び、研鑽を積んだ高田院長が診察を行う
関節リウマチだけでなく、さまざまな要因が関節の痛みを引き起こし得ます。代表的なものでは、軟骨がすり減り、徐々に膝・股関節・手指の変形が進むへバーデン結節などの変形性関節症や、痛風発作などです。他にも、関節周囲の軟部組織である靱帯・半月板・腱などの損傷、関節内の感染症、更年期障害、さらに風邪などの際にも全身の関節が痛むことがあります。その中で、関節リウマチなどの炎症性の関節疾患は痛みの出方に特徴があります。機械的な関節疾患の場合は関節を動かした時やその後に痛みが強いのですが、炎症性の関節疾患の場合はむしろしばらく使わなかった後のほうが痛みが出やすく、寝起きの「手のこわばり」は特徴的な症状です。
- Qオプション検査の「リウマチ因子」は必ず選択すべきでしょうか?
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A
▲寛解の状態を維持するためには早期に治療を始めることが大切
健康診断や人間ドックの血液検査にあるリウマチ因子(リウマトイド因子、RF)は、関節リウマチの診断に有用なものの複雑な解釈を要します。例えば、糖尿病の血液検査は数値が高ければ病気だと判断できますが、リウマチ因子は関節リウマチでなくとも陽性が出る偽陽性という場合があり、いらぬ不安をあおるだけになることも。一方、関節リウマチがあるのに陰性が出る偽陰性もあり、実際、関節リウマチ患者さんの約1~2割で陰性です。そのため、症状がない方の検査は推奨されていません。症状がある方でもリウマチ因子の結果を参考にはしますが、それ以上に症状や身体所見を重視し、他の血液検査、画像検査結果も踏まえ、総合的に判断します。
- Q関節リウマチは治癒が難しいというイメージがあります。
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A
▲寛解をめざし、患者一人ひとりに合わせた治療法を提案
昔は痛みや不安と生涯付き合っていく病気でしたが、今は治療薬が増えたおかげで関節における炎症を鎮静し、関節の痛みも腫れもない「寛解(かんかい)」という状態をめざせるようになりました。治療薬を使い続ける必要はありますが、健康な方と変わらない、痛みのない生活を送ること、すなわち「治療下での寛解」が期待できます。またこの病気は、関節の炎症が痛みや腫れなどの症状を起こし、その炎症が長期間持続すると関節の変形につながります。ですから、治療薬により寛解、つまり炎症の鎮静化を図ることで、「現在ある痛みや腫れ」の消失、そして「将来起こり得る変形」の回避につなげます。
- Q薬は一生飲み続けなければならないのでしょうか?
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A
▲近年、関節リウマチに有用な治療薬が増えてきているという
寛解、または、それがどうしても難しければある程度関節の炎症が制御できている状態(低疾患活動性)を目標に治療を強化し、達成できたらその状態を維持しながらゆっくり治療の縮小を試みます。すべての患者さんで縮小が可能なわけではありませんが、その可能性を高めるためには、できるだけ早期に治療を開始して炎症の鎮静化を図ることが大切です。関節破壊は発症後早ければ6ヵ月以内に出現し、最初の1~2年間の進行が最も著しいため、それを回避するためにも早期の治療開始と炎症の鎮静化が望まれます。朝起きた時に手首や手指の関節が1時間以上こわばるようなことが数週間続くようであれば受診をご検討ください。