先進的なロボット機器を用いた
リハビリテーション
ZERO100クリニック
(北九州市小倉北区/旦過駅)
最終更新日:2024/12/13


- 保険診療
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、そして患者によるチーム医療で、幅広い世代と向き合っている「ZERO100クリニック」。同院で今、力を入れて取り組んでいるのが、「生体信号反応式運動機能改善装置」によるリハビリテーションだ。まだ扱っているクリニック少ないため、初めて耳にする人も多いだろう。特殊なスーツを装着し、人が動こうとしたときに発生する生体電気信号を、体に貼りつけたセンサーが取得後、関節角度などの運動情報を瞬時に処理。自然なタイミングで必要な動きをアシストしてくれるため、筋力が低下して歩行に介助が必要な人であっても歩行練習が行えるのだという。その先進性の高いリハビリテーションの流れについて、作業療法士の秋永洋平さんが解説してくれた。
(取材日2024年11月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q生体信号反応式運動機能改善装置について詳しく教えてください。
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A
ロボット型のスーツを装着して行うものなのですが、人が体を動かそうとしたとき、脳からの指令により神経を通じて筋肉に信号が流れます。その体の表面にもれ出る微弱な生体電位信号を、このスーツを装着している患者さんの皮膚に貼ったセンサーがキャッチし、意思に従った動作の実現を図ります。パーキンソン病や脳疾患などにより、体を自由に動かせなくなった方でも、脳からの信号をもとに繰り返し動かすことを促すため、脳神経系のつながりが刺激され、機能改善や機能再生につながることが期待できます。事故などで下肢が動かしづらくなった方に有用となるリハビリテーションだと言えます。
- Qどのような方が対象者となるのですか?
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A
装着するスーツは、下肢タイプ、肘などの単関節タイプとありますが、どのタイプも脳疾患による麻痺、脊椎損傷による下半身不随、パーキンソン病、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー、整形疾患、脳血管障害などで、体幹・下肢筋力低下により起立や歩行困難な方が対象。身長が140cm以上あれば、お子さんも適応となります。単関節タイプは、肘膝、足首などに使用。小型で軽量であることから、ベッドで横になったままの状態や座ったままの状態で使用できるのが特徴。このように、多くの可能性が期待できるリハビリテーションであると言えるでしょう。
- Q保険適用となる治療になりますか?
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A
医療保険の適用が認められている治療機器で、緩徐進行性の神経・筋疾患において保険適用が承認されています。その対象となるのは、脊椎性筋萎縮症、球脊椎性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー、HTLV-関連脊椎症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺の10疾患です。保険診療として、歩行・移動に関する日常生活の質の改善を図れることを考えると、日本の保険診療の制度は素晴らしいと思います。そして、今これだけのことができるようになったのも時代の進化を感じますが、さらなる可能性も強く感じさせてくれる機器だと実感しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1予約
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基本的には電話にて予約受付。その際にリハビリテーション歴、身長・体重、介護保険受給の有無、アレルギーの有無、リハビリテーションの目的などを伝えるとスムーズだ。身体サイズや抱えている疾患によっては対象とならないケースもあるため、予約の際に相談を。妊娠中や心臓ペースメーカーを装着している人は適応外だそう。来院時には難病指定受給証、情報診療提供書などのかかりつけ医の紹介状を持参しよう。
- 2問診・診察
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生体信号反応式運動機能改善装置を用いた治療を受けるためにはスーツの他にシューズを装着する必要があるので、足のサイズを確認。可動域や筋力、反射力、麻痺の程度など身体評価、障害の症状や障害部位を特定し、治療指針の決定を目的として行う整形外科的テストなど、身体評価に必要な検査を受ける。医師に限らず、理学療法士や作業療法士も運動障害の評価のために理学的検査とも言われる整形外科的テストを応用することも。
- 3治療開始
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疾患によって、適したタイプの機器を選択。安全に配慮した状態でロボット機器のスーツを装着。皮膚にセンサーを貼るため、静電気が発生するような服装やストッキングやタイツなどの着用は控えること。下肢タイプであれば、起立練習や歩行練習を実施。慣れるまではぎこちなく感じることもあるが、理学療法士や作業療法士が患者に適した設定となるようしっかりフォローするため、少しでも気になることがあれば遠慮なく伝えよう。
- 4治療回数・治療期間
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遠方からの患者は来院数が限られてくることもあるが、基本的には週1回~2回を目安に実施。状態によってはその限りではないため、希望等があれば相談を。電極を使用するため、STEP3での注意点同様、通院時の服装はウールなど静電気が発生するような素材は着用しないことを忘れずに。治療期間に関しては、まったく動かせないか否かなど、開始時の状態によって異なるので、最初に医師やスタッフより説明を受ける。
- 5評価・判定
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治療判定の基準は患者によって異なるが、脊椎損傷などで足がまったく動かせなかった場合は、その状態から動けるようになったというのが一つの基準。歩ける状態からスタートした場合は、ロボット機器を外した時の歩行スピードを計測。開始当時とのスピードに変化が見られているかどうかが主な評価・判定基準となるそう。ポイントは、体を動かせるよう脳に学習させること。そのため、少なくとも2ヵ月は続けることが望ましいそう。