比嘉 頴秀 院長の独自取材記事
ZERO100クリニック
(北九州市小倉北区/旦過駅)
最終更新日:2024/10/08

小倉駅から徒歩10分ほどの場所にある「ZERO100クリニック」は、2024年5月に誕生したばかりのクリニックだ。同院を束ねるのは、穏やかな語り口が印象的な比嘉頴秀(ひが・えいしゅう)院長。九州医療スポーツ専門学校の1階にあり、運営も同法人が行っている。その理念は「0歳から100歳まで動ける身体づくり」。予防を含め、健康的な体づくりを行うことで、健康寿命の延伸へとつなげていきたいとの考えだ。また同院では「生体信号反応式運動機能改善装置」という装着型ロボットを取り入れるほか、関節の可動域を広げるためのトレーニング機器も導入し、誰もが気軽に、そして楽しくリハビリテーションを続けられる環境づくりにも注力している。今回は比嘉院長に、同院の特徴やめざすところなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年8月1日)
「0歳から100歳まで動ける身体づくり」をめざす
クリニックの特徴についてお聞かせください。

当院は2024年5月に開業したばかりの新しいクリニックで、整形外科、リハビリテーション科を中心に診療を行っています。大きな特徴はやはり、九州医療スポーツ専門学校が運営するクリニックであるということ。学校の1階にあるのは、「学生が通いやすいように」という当法人の理事長の考えがあるからです。理学療法学科、作業療法学科など、医療を学ぶ学生のごく身近な場所に、実際に理学療法士や作業療法士が働いている医療のリアルな現場があり、そこでギプスの使い方やエコーの見方などを直接教えてもらうという実践さながらの勉強ができる点は、学生さんにとっても大きな財産になると感じています。
クリニック名の由来は何でしょうか?
法人の理念である「ゼロ100プロジェクト」が由来です。「0歳から100歳まで動ける身体づくり」をめざし、健康寿命を延ばしていくという考えで、0歳から100歳まで、年齢や性別を問わず、さまざまな方に当院を利用していただきたいと考えています。治療やリハビリテーションを通じ、ケガをされた方の社会復帰、スポーツ復帰などにも大きく貢献していくつもりです。お仕事で体を傷めた方、部活に取り組む学生さん、スポーツ選手など、こちらも患者さんを限定することなく、幅広い患者さんの健康に寄与していきたいと考えています。
若年層の患者さんにも来院してほしいとお考えなのですね。

もちろんです。30代、40代の若い方でも、お仕事による腰痛や肩凝り、痛みなどもあるでしょう。痛みが持続している場合はブロック注射もありますし、理学療法士、作業療法士によるリハビリテーションで症状の改善もめざせます。実際に患者さんと接していて感じるのは、ご高齢の方であっても健康意識がかなり高いこと。山登りがしたい、旅行に行きたいなど、皆さんやりたいことをたくさん抱えておられます。そのためにも予防的な医療はとても重要になってくると考えています。例えば「熱中症にならないように水分を多めに取りましょう」ということも予防医療の一つ。患者さん一人ひとりのやりたいことやご希望に合わせた医療を提案していく必要があると感じています。
患者の言葉をヒントに症状を細かく見極め、治療を提案
診療で心がけていることは何でしょうか?

まずはやはり、患者さんをしっかり診ることですね。問診だけではなく、痛みなどがある部分に触れ、動かしてしっかりと様子を診ること。そして患者さんのちょっとした言葉からヒントを得ることも重要です。例えば膝が痛いとなると変形性膝関節症などが頭に浮かぶ方もおられるでしょう。ただ、同じ疾患であっても、症状は患者さんによってさまざまです。膝が痛いといっても、振り向いた時に痛みがあるのか、階段の昇り降りで痛みがあるのか、正座ができないのか。肩であれば常時痛みがあるのか、例えば洗濯物を干す動きをするときにピキッとした痛みが走るなど、そういう細かい情報を聞き漏らさないよう、常に心がけています。
症状などに応じて、検査を行うこともあるのでしょうか?
もちろん必要に応じて行います。ご高齢の女性であれば骨粗しょう症が知らないうちに進行していることもありますから、検査をして服薬治療になることもあるでしょう。ただし骨粗しょう症の場合は、服薬だけに頼るような治療はあまり勧めていません。当院がめざすのは「0歳から100歳まで動ける身体づくり」ですから、やはりリハビリテーションなどを通じた運動と、食事も大切です。私や理学療法士などから運動・食事のアドバイスなどを行いますので、そういったことも取り入れながらぜひ改善に向けて取り組んでほしいと思います。
リハビリテーションではどんなことを行うのでしょうか?

理学療法士による個別のメニューはもちろんですが、「生体信号反応式運動機能改善装置」という装着型のリハビリテーション用ロボット機器も導入しています。この機器は脳から筋肉に送られる生体電位を読み取り、四肢に麻痺があっても手足の運動や歩行ができるようにするための先進の技術です。また、運動においては関節の可動域を広げるためのトレーニング機器を導入しています。この機器を用いたトレーニングは、柔軟性を引き出しながら、力まずに大きなパワーを発揮できるようにすることをめざすアスリートも実践する運動療法です。さらに、疲労回復のための機器を設置しています。リハビリテーションスタッフは、理学療法士や作業療法士などの国家資格に加え、上記の指導をできる技術を持ったスタッフが従事しています。
患者のニーズや、時代の流れに応じた医療を提供したい
年齢に関係なく、どなたも続けやすいリハビリテーションを心がけておられるのですね。

めざすゴールは患者さんによって異なります。膝に同じように痛みがあったとしても、部活のサッカーの試合で活躍できるまで回復したいと考える人もいれば、日常生活を問題なく送れるなら十分だと考える人もいるでしょう。その患者さんが何を求めているのかをしっかりと私たちが把握し、それに応じた治療やリハビリテーションメニューを組み立てることが大切なのだと思います。当院の理学療法士や作業療法士は、リハビリテーションに関してしっかりフィードバックをくれるので、私もまた一緒にメニューや治療を考えていくことができます。そうやってお互いの知識や経験を持ち寄り、患者さんが求めるゴールへと導いていきたいですね。
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
私は沖縄県出身で、学生時代に病院へ行くことがあったのですが、当時は病院も医師も不足しており、ずいぶんと待たされた記憶があります。救えるはずの命が救えない状況だったというニュースも何度も目にしました。そういったことが医師をめざしたきっかけになったのだと思います。福岡大学医学部に進み、整形外科に入局し、さまざまな関連病院を回る中で手術などの研鑽も積みました。印象的だったのが北海道の病院へ赴任したときで、そこの院長が毎週末スキーに連れて行ってくださったんです。その中で先生が転んで腰を骨折してしまったのですが、ご自分でギプスを巻き、翌日から「患者さんが待っているから」としっかりと診療に出ておられました。まだまだ私も若い頃でしたから、院長の強い思いや医療への姿勢に大きく感銘を受けたのを覚えています。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

現在は土曜日のみになりますが、内科の先生にも来ていただいています。これまであまり内科に行ったことがない方、気になるからリハビリテーションのついでに行ってみようという方も、ぜひ活用していただければと思います。当院がこれから注力したいのは予防医療。それはつまり病気になる前から行動を起こすということです。単純に「運動をしなさい」というのではなく、いま現在の体調や症状を考慮した上で予測を立てながらアプローチをしていくということも含まれるでしょう。「まだ若いけれど、数十年後を考えてどうしたらいいか聞きたい」という方などにもぜひいらしていただきたいと考えています。山登りがしたい、旅行がしたい、運動がしたい、もっと健康になりたい。そういうお気持ちを医療の面からサポートしていきますので、ぜひお気軽にいらしてくださいね。