水本 加津子 院長の独自取材記事
みずもと内科・糖尿病クリニック
(和泉市/和泉府中駅)
最終更新日:2024/07/26

大阪府南部、阪和線の和泉府中駅から徒歩2分という好立地にある「みずもと内科・糖尿病クリニック」。昔から住む高齢者が多いが、近年は若い世代も増えてきているこの地で院長の水本加津子先生が2024年5月に開業した。糖尿病や甲状腺疾患の治療を得意とし、一般内科、肌のケアやAGA(男性型脱毛症)治療にも対応する。水本院長は日本糖尿病学会糖尿病専門医として大学病院で研鑽を積んできた経験を生かし、患者が糖尿病治療に前向きに取り組めるような診療をモットーにする。明るく人情味あふれる人柄で、地元の患者に寄り添って診療をしていきたいという熱い思いを持つ水本院長に糖尿病治療や治療でのこだわりなどについて詳しく聞いた。
(取材日2024年6月19日)
患者が前向きに取り組める糖尿病治療をめざして
こちらのクリニックの開業を決意された理由を教えてください。

患者さんともっと近い距離感で診療にあたっていきたいという思いから、愛する地元での開業を決意しました。糖尿病は日常生活の中で長年にわたってコントロールをしながら付き合っていくという病気です。しかし、これまで私が勤務していたような大きな病院では、待ち時間などもありますから「何かあったらいつでも来てください」と言うわけにはいかなくて、患者さんの悩みにすぐに応えることが難しい環境でした。しかし開業してからは、患者さんにも気軽に通っていただけるようになり、距離感がぐっと近くなりました。また、かねてから看護師や受付スタッフと一丸となってチーム医療で糖尿病治療をしていきたいと思っていたのですが、それもかなえられつつありますね。
そもそも先生が糖尿病を専門にしようと思われた理由は何だったのでしょう。
糖尿病治療の基本的なことは学生時代に教わっていたのですが、当時はまったく興味が湧かなくて。でも、医師になってすぐの頃、指導してくださった、とてもすてきな女性の先生の言葉をきっかけに関心を持つようになったんです。「糖尿病は生活習慣病だから、一般の医師と患者さんとの関係性とは違う。薬を出したからといって治る病気ではなく、患者さんの食事や運動など生活面を良い方向に導き、モチベーションを引き出してあげてこそ良い治療につながる」とおっしゃっていたんです。さらに、「治療をしないと言っている患者さんを治療に前向きにさせることができたら、その人にとってあなたはどんな有名な大学病院の先生よりも名医なんだよ」と言われて、糖尿病治療に魅力を感じました。
先生が糖尿病治療で大切にされていることは何ですか?

患者さんが皆、楽しく治療に取り組めたらいいなと思っています。数値が非常に悪いときには、「この1、2ヵ月はとにかく我慢して、頑張って」という言い方をすることもありますが、基本的に私は「あれは駄目、これも駄目」とは言いたくないんです。生活習慣はすぐに変えられるものではないので、年単位で患者さんのモチベーションを少しずつ上げて、それを維持してあげるのが大切だと考えています。
スタッフとともに全員で患者をサポート
糖尿病治療で印象的なエピソードはありますか?

勤務医の頃、血糖値の状態がかなり悪い高齢の女性を担当しました。その方は食べるのが好きでご家族の方も「年も年だから好きなものを食べさせてあげたい」とおっしゃっていました。私としても好きなものを食べさせてあげたいという気持ちはありましたが今はとてもしっかりされているのに合併症になってしまったらもったいないという思いもあり少しずつ生活面で大切なことを話しながら治療を進めていきました。すると2年くらいたった頃にはその方が「私こんな工夫をしてこんなふうに食べてるの」と頑張ったことを受診のたびに報告しに来てくださるようになりました。ひとしきりお話をして「先生もお元気でね」と帰って行かれます。最初に「食事の管理が治療の基本だ」と言い切るのではなく徐々に良い方向にもっていってあげることで食事を工夫することが楽しみになり、それがご自身の自信につながってより良い方向になっていくということを実感した経験です。
他のスタッフとはどのように情報を共有されているのですか?
朝の朝礼とお昼の休憩時に情報を共有しています。あとはリアルタイムで情報を伝えたいときは共有のSNSで発信し合っていますね。「この患者さん、診察ではこんなことをお話しされていたけれど、受付ではどんな様子だった?」とか「あの患者さんはこんなことを気にしている様子だったよ」など、互いに伝え合って、全員で患者さんのことを診ている感じです。先ほどもお伝えしたように、チームで患者さんを支えるのが、私のめざしていたクリニックの姿なので、それがかないつつあるのがうれしいですね。
若い女性に妊娠糖尿病や甲状腺疾患の方が多いと聞きました。

妊娠前に糖尿病がなくても妊娠中は血糖値が高くなりやすくなります。妊娠中の高血糖は母体、胎児、新生児の合併症を引き起こしやすいため、食事療法、産科の先生と相談しながら運動療法と、インスリン注射でコントロールを図ります。妊娠糖尿病になった方は将来的に糖尿病になりやすいため、定期的な検査を受けてほしいですね。このほか、妊娠中ではなく、育児に追われているうちに糖尿病になってしまったという方もいらっしゃいます。一方、甲状腺疾患については、男性よりも女性の罹患者が多いのが特徴で、中にはお子さんもいらっしゃいます。症状としては、甲状腺ホルモンが多いときは、食べても痩せていく、手の震え、脈が速くなるといったものがあります。甲状腺ホルモンが少ないときには、むくみやすさ、寒がり、便秘がちなどがあります。思い当たることがあればすぐ当院にお越しください。
内科のさまざまな悩みにも対応し、地域医療に貢献する
糖尿病に限ると、どういった症状のときにクリニックへ行くのが良いのでしょう?

健康診断で血糖値が高いと指摘された場合に、すぐ受診していただきたいです。血糖値がかなり高いからといって、すぐに慢性の糖尿病合併症になるわけではありません。でも、微妙に高い場合でも長く放置していると、目や腎臓、神経や心臓などの合併症が進んでいくことがあります。まずは定期的に検診を受けましょう、と呼びかけたいです。
先生の今後の展望をお聞かせください。
将来的には管理栄養士に来てもらいたいと思っています。今のところはまだ具体的な予定がなくて、栄養面については食品サンプルなどを使って私が説明している状況です。また、連携している病院からは「患者さんに栄養指導を受けていただくことが可能です」と言っていただいているので、ご希望の方はご紹介します。そのほか、講座を開講したりみんなでウォーキングをするようなイベントを開催したりして、地域の方と楽しく健康をめざしていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

糖尿病や甲状腺の方はもちろん、それ以外の内科のお悩みのある方は、なんでも気軽にご相談ください。今の時代、医療の世界は細分化されていて、幅広くなんでも診る医療そのものが難しくなっています。私自身も、自分が診られる範囲を越えていると判断したら、泌尿器科や循環器科など専門の先生を紹介しますし、大きな病院での治療が必要な場合は速やかにおつなぎします。そのためにも、地域の病院やクリニックと病診連携、診診連携を大切にしていきたいですね。そして、地域の皆さんに「まずはここに相談すれば大丈夫」と思っていただけるようなクリニックをめざしたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみケア(内服薬)/1ヵ月分1500円、AGA(男性型脱毛症)治療/1ヵ月分5500円