スポーツ時に伴う歯へのアクシデント
マウスガードでリスク軽減を
よこたデンタルクリニック
(枚方市/枚方公園駅)
最終更新日:2024/06/03


- 保険診療
スポーツ競技を観戦していると、選手が口の中にマウスピースのような器具を装着しているのを目にすることがあるだろう。それは思わぬアクシデントによるダメージを防ぐための、マウスガードと呼ばれる医療器具。以前はボクシングなどの格闘競技で見かける程度だったが、今ではラグビーやバスケットボール、サッカーに野球にと、さまざまな競技で用いられるようになった。こうしたマウスガードの作製や治療に専門的に関わっている1人が「よこたデンタルクリニック」の横田啓太院長。マウスガードの技術的指導やスポーツ歯科に精通した歯科医師として、学童や学生から一般成人までを対象にスポーツに励む人のサポートを行っている。その広範囲なアプローチにスポットを当ててみた。
(取材日2024年5月15日)
目次
口の健康を守ることは全身の健康を守ることにつながる。あらゆる世代を対象にトータルサポートをめざす
- Qスポーツ中にマウスガードを着けるメリットは何でしょうか?
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A
▲患者の要望に合わせたマウスガードを提供する
競技中であれ練習中であれ、スポーツには思わぬ外傷がつきまとうもの。そんな中で口の周辺でいえば歯の破折や脱臼など、不意なアクシデントによるダメージをできる限り軽減するために用いられるのがマウスガードです。現在はボクシングやラグビーのような激しいコンタクトスポーツにとどまらず、国内でもさまざまな競技でマウスガードが義務化、あるいは推奨されています。また、ぴったりとフィットしたマウスガードを装着することで、体幹の中心がぶれることなく転倒防止につながり得ることも報告されています。若いうちに大切な天然歯を失ってしまうのは実にもったいないこと。そのような事態を少しでも防ぐのがマウスガードの大きな目的です。
- Q既製品とオーダーメイドの違いを教えてください。
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A
▲院内は落ち着いた雰囲気で、安心して治療を受けることができる
最近ではインターネット通販などで、ある程度まで整形されたマウスガードをお湯でやわらかくして口の中でフィットさせるという、安価で簡易的な商品が販売されています。ただ、整形が意外に難しく、不安定で思わぬ瞬間に外れるなど、外傷の予防には疑問符がつく印象が否めません。歯科医院で作製するオーダーメイドであれば素材から違いますし、一人ひとりにフィットした装置の提供がめざせます。まず最初にその方の口腔内をチェックし、噛み合わせなどの確認やメンテナンスをしてから本体の作製に入ります。自由診療なので既製品よりコストはかかりますが、安全性にしっかり配慮できる点ではご満足いただけると思います。
- Q買い替えのタイミングや寿命について教えてください。
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A
▲マウスガードのメンテナンス方法について話す横田院長
マウスガードは使用頻度や使い方、メンテナンスによって摩耗や変形の加減が異なり、耐用年数を一概に表すことはできません。毎日激しいスポーツをする方は、当然ながら寿命も早まります。ただし装着するのはあくまでスポーツ中だけ。オーダーメイド製であれば耐久性も高いため、短くて半年から1年、長ければ2〜3年ほど使えるケースもあります。いずれにしても安全性を最優先に考え、ぐらつきや違和感などがあれば交換する心構えが必要です。また、成長期の学童は歯や顎がどんどん変化していくため、個人の成長に合わせて作り変えが必要になる場合があります。ですので本格的に競技を始める中学生から装着するのが現実的といえるでしょう。
- Q万一、口の中をけがした場合はどのように対処すればいいですか?
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A
▲かかりつけの歯科医院でのマウスガード作製を勧めている
スポーツ中に激しくぶつかった衝撃で歯が抜けてしまう、脱臼と呼ばれる事故が学童期にはよく発生します。脱臼した歯は直後に処置すれば元に戻せる可能性がありますので、抜け落ちた歯を拾ってすぐに歯科医院に駆けつけてください。この際に大切なのは、歯の根っこにある歯根膜を土や砂と一緒に洗い流さないこと。専用の保存液に浸けておけば数時間くらいは保存が可能で、保存液がない場合は短時間だと牛乳で代用することもできます。ただ、いきなり見知らぬ歯科にお願いしても断られるケースがあるでしょう。こうした事態で慌てないためにも普段からかかりつけの歯科を持ち、何かあればすぐに相談できる関係をつくっておくことが重要です。
- Qスポーツ歯科において大切な視点は何ですか?
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A
▲駅からも近く、定期的な通院がしやすい
歯の健康に関わることは全身の健康にも関わり、普段の生活とも密着しています。正しい噛み合わせができていなければ、そもそも真っすぐに歩くことすら難しくなる場合もあります。また、身体機能の向上をめざすなら、やはりきちんと噛んで食べることが何よりの基本です。高齢になっても自分の足で元気に歩ける体づくりが健康寿命を大きく左右するわけです。そのために小さい頃からの習慣が大切ですから、私たちもスポーツ歯科という視点だけにとどまらず、栄養指導や唾液検査などを交えながら正しい歯科知識の定着に努めています。今後は地域連携をさらに深め、いろんな視点で地域の皆さんをサポートしていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはスポーツ用マウスガード/1万4300円~2万2000円、スポーツ用マウスガード(高校生まで)/1万1000円