生活にまつわるあらゆる悩みに対応
精神保健福祉士が在籍する医院
やまぐちメンタルクリニック奈良真美ヶ丘
(北葛城郡広陵町/五位堂駅)
最終更新日:2024/10/15
- 保険診療
うつ病、パニック障害、適応障害などをはじめとした心の不調に苦しんでいる人も少なくない昨今。経済面や仕事などの悩みが重くのしかかり、病気の治療に専念できないという人もいるかもしれない。そんなときに相談に乗ってくれるのが精神保健福祉士だ。国家資格である精神保健福祉士は、行政や介護福祉、教育など関係各機関と連携し、患者の生活を支援する。「やまぐちメンタルクリニック奈良真美ヶ丘」にも精神保健福祉士が在籍し、患者のさまざまな悩み相談に対応。適切な関係機関につなげ、患者が地域の中で生活を送れるようサポートしている。精神保健福祉士が常駐することによるメリットやどのような相談ができるのか、同院の山口泰成院長と精神保健福祉士の鈴木啓介さんに話を聞いた。
(取材日2024年9月26日)
目次
経済面の不安から仕事、介護福祉、教育まで、さまざま相談できる「精神保健福祉士」とは
- Q精神保健福祉士としての鈴木さんの役割を教えてください。
-
A
【鈴木さん】まずは山口院長が診察し、症状の診断・見立てを行います。併せて、患者さんが何に困っているのかを把握し、今後の大まかな方向性を話し合ってもらいます。その後、必要に応じて精神保健福祉士が引き継ぎ、より具体的な内容を詳しくお聞きします。どのような関係機関から支援を受けられるかを患者さんにご提案しながら詳細にお話を重ね、ご納得いただいたら、実際に各機関への橋渡しをします。その際、各機関とも密にコミュニケーションを図り、患者さんに有益な情報を提供するのも私の役目。仕事やお金の悩み、入院、介護、学校、家族に関する問題など、日常生活の不安なことは相談していただきたいです。
- Q具体的にどのような相談ができるのでしょうか。
-
A
【鈴木さん】例えばお金の問題を抱えている場合は、生活保護や年金など各種制度の情報提供、生活費のやりくりや衝動買いを抑えるためのアドバイスを行い、それ以外にも住まいの確保はどうするか、金銭管理を誰がするのか、債務整理が必要か否か、認知症の場合は成年後見人をつけるかどうかなど、さまざまなご相談に対応しています。独居のご高齢の方であれば、行政とその方の情報を共有したり、介護関連機関に連絡したり、別の疾患でかかっている病院と連携して入院につなげたり、さまざまな支援が可能です。このほかにもお仕事に関するご相談、学校など教育機関との連携など、関係各所とつながり患者さんをサポートしています。
- Q精神保健福祉士が在籍するメリットは?
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A
【山口院長】とにかく相談がしやすい点です。限られた時間で診療を行う中で、医師には相談をしづらいということもあるかと思いますが、患者さんが生活する中での具体的な悩みをより気軽に相談をしてもらえます。ただ話を聞くのではなく、今後の治療につながるよう鈴木さんがしっかりと話を引きだしてくれることは非常に心強く感じています。 【鈴木さん】ただ、精神保健福祉士は「よろず相談員」ではありません。どんなご相談でも、その方の治療・自立の手助けとなるように、言葉を返していくことを大切にしています。当院では院長と私、1対1の体制なので、よりスムーズな連携が取れ、還元できることもメリットではないかと考えています。
- Qご家族が関わる上で注意すべきことはありますか?
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A
【山口院長】患者さんご本人とご家族の考えが一致していないケースは少なくありません。まずは「誰のために、何をするのか」という原点に立ち返り、通院されているご本人を主語にしてお話をしていきたいと考えています。これは決して「ご家族のお悩みは聞きません」ということではありません。誰のためなのか、誰にとって良いことか、誰のために必要なのかを大事にしながら、しっかりと話し合っていくことが重要です。また悩んでいらっしゃることを紙に書き留めるなど整理して持ってきていただけると、同じ診療時間でもスムーズに話を進めることができるのではないかと思います。
- Q精神保健福祉士としての患者さんへの思いを教えてください。
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A
【鈴木さん】以前、ご相談を受けて何年かたった頃に「あの時、こう言ってもらえて良かった」と言いに来てくださった方がいて、そのことが今も励みになっています。相談をお受けする中には、なかなかすぐに状況が改善に向かわないケースもありますが、改善の兆しが見えるタイミングがくるはずなので、どんなに困難な状況であっても、そのタイミングに備え、準備をすることが私の役目です。良い方向に変化していくまでを見届けるのが、精神保健福祉士としてのやりがいです。楽しいことも苦しいこともすべて含めて、その方らしく生活できるようサポートしたい。その方の人生に伴走できたらいいなと思いながら、毎日患者さんと向き合っています。