金沢 正幸 院長の独自取材記事
かなざわ整形外科・ 婦人科
(福岡市早良区/西新駅)
最終更新日:2025/04/08

西新駅より徒歩4分、城西3丁目の交差点からすぐのビル3階にある「かなざわ整形外科・婦人科」。金沢正幸院長は大学時代にウィンドサーフィン部で活躍、現在はマラソン大会に出場するなど、スポーツが趣味という親しみやすい人柄の医師だ。診療は首・肩・腰・足の痛みなど整形外科全般に対応。院内には広いリハビリテーションルームを備え、理学療法士・作業療法士による運動療法や物理療法に取り組んでいる。一方、婦人科では妻の金沢衣見子副院長が月経トラブルや不妊相談、子宮筋腫、更年期症状など、思春期から老年期まで女性の各ライフステージに関する診療を担当。「骨粗しょう症や更年期症状の関節の痛みなど、整形外科と婦人科は関連性のある疾患が多いんです」と話す金沢院長に、診療内容を中心に話を聞いた。
(取材日2025年2月13日)
利便性の高さと地域ニーズに合った診療を提供したい
まずは金沢院長のご経歴を教えてください。

高校卒業後、鹿児島大学医学部へ進学しました。当時ウィンドサーフィン部に所属し、国民体育大会出場も経験させてもらいました。大学卒業後は九州労災病院で研修医を経て、九州大学整形外科に入局。さらに関連病院でも勤務し研鑽を積んできました。研修医では、さまざまな診療科を回りましたが、もともと整形外科の医師になることを前提に在籍先の病院を選択していたため、そのまま整形外科の道を歩みました。整形外科入局後は、整形外科全般に対応した手術や外来の経験を積みました。途中大学院に進学し、股関節のグループで研究する機会もいただき、その後一般病院で勤務など、キャリアを重ねる日々を過ごしました。今思えば手術や外来診療にやりがいを感じたことも、この分野を長く続けてこられた要因の一つになっていましたね。
開業をされてからどのような患者さんがいらっしゃっていますか?
整形外科はお子さんから高齢者まで利用されますし、婦人科も女性の一生をサポートする診療科目です。この辺りはファミリー層が多いことからも、幅広い年代が多様な主訴で受診します。例えば小さなお子さんなら打撲や外傷、学生さんは部活でのスポーツ外傷、中高年は首・肩・腰などの痛み、高齢者は首・肩・腰・関節の痛みや転倒でのけがが多い印象です。婦人科では一般婦人科健診をはじめ、おりものの異常や月経困難症・不順、不正出血、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊相談。さらに避妊や性感染症、更年期障害など、女性の各ライフステージに起きやすいトラブルや悩みの相談が多いですね。また、キャッチアップ接種で話題になったように子宮頸がんワクチンの方や子宮頸がん検診の患者さんも多いです。
ちなみに、実際に開業をされた感想がありましたらお聞かせください。

思っていた以上に、結構前から症状があるのに受診せずに我慢してしまう方や、「マッサージに行ったけれど痛みが取れない」とクリニックに来られる方が多くて驚いています。「この程度で受診するのは……」と、受診のハードルを高く感じている方もいらっしゃるでしょう。ですが早めの診断と治療が予後に大きく関わります。実際、整形外科での検査を受けずに放置したことで症状が悪化したり、マッサージなどの施術によって状態の悪化や新たなトラブルが起きたりするケースが後を絶ちません。小さな気がかりでも気軽に受診していただければと思います。
骨粗しょう症や更年期症状など整形外科と婦人科で連携
こちらの婦人科についても詳しく教えてください。

婦人科を担当している金沢衣見子副院長は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医かつ日本生殖医学会生殖医療専門医です。院内では不妊の原因を探るホルモン検査やや卵管造影検査、タイミング療法と人工授精といった一般不妊治療に対応。予防医学的な観点から、ワクチンや検診にも注力しています。症状がない方でも婦人科を受診してほしいですね。衣見子副院長は女性医師のため、女性ならではの悩みも相談しやすいのではないでしょうか。また、コミュニケーションを重視している医師ですので、患者さんは通いやすさや相談のしやすさを感じていただけると思っています。また日頃から勉強会にも積極的に参加するなどして自己研鑽に励み、院内でできる範囲にはなりますが、常に先進の医療を提供しようと努めてくれているのも良さの一つでしょう。
整形外科と婦人科が連携しながら診療することもあるとお伺いしました。
整形外科と婦人科の組み合わせって珍しいですよね。整形外科に肩凝りなどで受診した際、実は更年期症状の一つということもあります。そんな時に簡単に相談できるのは心強いですね。また、更年期以降婦人科の患者さん気軽に骨密度検査を受けることができるのも強みですね。入口が整形外科で出口が婦人科の患者さんもいれば、婦人科が入口で出口が整形外科の患者さんもおられます。思っていた以上に関連のある診療科目の組み合わせだと感じています。整形外科と婦人科、それぞれの疾患がある場合は当院だけで完結できますので、通院のご負担軽減も図れると思います。お子さんが整形外科、お母さんが婦人科を受診するというパターンもあるでしょう。ちなみに同じ階には皮膚科のクリニックがあるので、同日に複数の診療科を受診することも可能ですよ。
今後さらに注力していきたい取り組みはありますか?

予防を目的とした検査やリハビリにも力を入れていきたいと思っています。中でも、先ほどお話しした整形外科と婦人科で共通する、骨粗しょう症の予防に注力したいです。骨粗しょう症は、骨折後に診断されることが少なくありません。女性であれば閉経後に骨粗しょう症になりやすいため、50歳を目安に一度検査を受けてほしいと呼びかけています。検査の結果骨粗しょう症であるとわかっても、適切な治療薬の選択によって、骨密度の上げたり骨折の予防などをめざせます。ですから、できる限りの早期の治療と骨折予防対策を開始が重要だと知っておいてくださいね。また高齢化が進む日本では、寝たきりや要介護にならないための予防が必須ですので、運動器機能の向上や維持に努めるリハビリにも力を入れています。理学療法士と連携を密に取り、さらに予防の強化に取り組んでいきたいです。
地域の人たちが交流を持てるようなクリニックをめざす
密な連携のためにどのような工夫をされているのでしょうか?

スタッフ同士が綿密にコミュニケーションを取れる環境づくりを重視しています。例えば毎朝ミーティングを行い、患者さんの情報などを共有し合っていますね。そして一人ひとりのスタッフが、患者さんや院内の様子を正しく詳細に把握した状態で、患者さんごとに適したリハビリの提供に努めているのです。私はリハビリが何よりも大事だと考えています。特に最近話題になっている変形性膝関節症。完治は難しいですが、リハビリによって症状のコントロールを図れる病気です。またリハビリをすることで手術の回避をめざせたり、たとえ手術になったとしても術後の早期回復につなげたりできます。リハビリが無駄になることはありませんので、少しでも膝に痛みや違和感があればすぐに受診して、リハビリに継続的に通っていただきたいです。
幅広い診療を提供される思いをお聞かせください。
特に高齢者の場合、複数の疾患の治療を受けるケースは珍しくありません。実際当院でも、リハビリを含めると週に数回来られる方もいます。これがもし各分野の診療を別々の医療施設で受けるとなると、患者さんはあちこちに足を運ぶこととなり大きな負担となるでしょう。幅広い診療を提供できる体制によって、そうした負担の軽減につながったら幸いです。また、現在通院中の方がご家族やご友人に当院をご紹介してくださるケースが増えていることから、さまざまな方がいらっしゃっています。そのことから、皆さんのコミュニティーとしての役割も担えたらと考えています。患者さんの中には、一人でさまざまな痛みに悩んでいる方や独居の方もいらっしゃいますからね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

整形外科に受診する方の中には、痛み以外にも不眠や倦怠感など、さまざまな不調を抱えている方も少なくありません。そういった患者さんには漢方薬も治療の選択肢の一つとしてご提案しています。リハビリ、注射、一般的なお薬、漢方薬、これらを上手く組み合わせることによって患者さんに一人ひとりにあった治療を一緒に探して行きたいと思っています。今後も治療の選択肢を広げていけるよう常にアンテナを張り、情報をアップデートしながら診療を行っていきたいですね。気になることがあれば気軽にご相談ください。