歯のリスクを数値で「見える化」
口全体の健康を考えた予防歯科
いせき歯科クリニック
(京都市下京区/丹波口駅)
最終更新日:2025/06/13


- 保険診療
「歯がいい状態」であることは重要だとわかっていても、「どういう状態がいい状態なのか」まで理解している人はまだ少ない。嵯峨野線・丹波口駅から歩いてすぐの場所にある「いせき歯科クリニック」では唾液検査を導入。5分ほどで虫歯や歯周病、口臭のリスクについて調べられるという。また、歯ぎしりや食いしばりが強く、顎が痛いという人に対しては咬筋測定検査も行っている。「当クリニックのコンセプトである『一生咬めて一生健康』を実現するためには、まずはご自身の口腔環境について知っておくことが大事」と話すのは、院長の井関雅博先生だ。今回は、唾液検査や咬筋検査について、その検査内容やメリット、治療への生かし方について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月16日)
目次
唾液検査や咬筋検査で口腔内の状態を「見える化」。歯のリスクを知り、「一生咬めて一生健康」な歯をめざす
- Q唾液検査はどんなことをするのでしょうか?
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A
▲薬液で口をゆすぐのみの、早くて簡単な唾液検査
当院では、唾液を調べる事で簡単に虫歯や歯周病のリスクがわかる唾液検査を行っています。「口の中が悪い」と聞いても、具体的にどう悪いのかイメージが湧きにくい部分があるのではないでしょうか。そこで、口の中の状態を数値化することで、まずご自身の口に興味を持っていただけるきっかけになればと導入しました。検査は簡単で、試薬を入れた専用の水で約20秒口をすすぎ、その後専用のキットを使って測定するだけ。結果は5分ほどでわかるので、治療やメンテナンス前にお知らせできます。検査結果に影響を与えてしまうため、検査前2時間は飲食、喫煙、歯磨き、洗口液の使用を控えていただくようお願いしています。
- Q唾液検査ではどんなことがわかるのでしょうか?
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A
▲唾液を調べる事で簡単に虫歯や歯周病のリスクがわかる
唾液検査で測定きるのは「歯の健康に関する項目」「歯茎の健康に関する項目」「口腔清潔度に関する項目」の3つです。まず「歯の健康に関する項目」では、虫歯菌がどれだけ活性化しているかを測る「虫歯菌活性度」、口の中の酸性度を測定する「酸性度」、酸性に傾いた口の中を中性に戻す「緩衝能」を測定。「歯茎の健康に関する項目」では、歯茎が炎症を起こしているときに唾液中の白血球の数値が高くなることから「白血球の数値」と、歯茎から出血するとタンパク質が多く含まれることから「タンパク質」の数値を計測。「口腔清潔度に関する項目」では、口臭の原因になることが知られている「アンモニアの量」を測ります。
- Q唾液検査の結果はどのように生かされるのですか。
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A
▲虫歯や歯周病のなりやすさなど、目に見えない部分を数値化できる
唾液検査の目的は、虫歯や歯周病のなりやすさなど、目に見えない部分を数値化することにあります。当院では主に歯磨剤(歯磨き剤)や洗口液、ガムなど、セルフケアの補助のためにこれを活用したいと考えています。例えば、虫歯菌活性度が高い方でしたらフッ素が入りのものを、白血球の数値が高い方でしたら歯周病ケアに特化したものを……と、ケアグッズは種類が豊富にあるので、その人のお口の状態に適したものを提案していきたいと思っています。また、定期的に検査をすることで、今の予防方法が合っているのかを確認できます。お口の状態の変化が数値によってわかるので、より良くしていこうという意欲の向上につながるのもメリットです。
- Q噛む力を計測することもできるのですね。
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A
▲咬筋(こうきん)を計測するための装置を導入している
当院では、咬筋(こうきん)を計測するために神経筋電気刺激装置を導入しています。咬筋とは食べ物を咀嚼するときに使われる筋力のこと。睡眠中に歯ぎしりして朝起きた時に顎が痛い、頬が張って押さえると痛いという方、また、奥歯が欠けた、奥歯の詰め物が取れやすいといったトラブルが出てきている方は、咬筋が必要以上に肥大している咬筋肥大の状態かもしれません。神経筋電気刺激装置は、パッチを頬に貼って約20秒ぐっと噛みしめるだけで、即時に咬筋力の強さを数値化する装置です。噛みしめる時にかかる力を実際に測定しグラフで示すことによって、無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりを患者さんに視覚で認識していただけます。
- Q噛む力を知ることでどんなメリットがあるのでしょうか。
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A
▲「一生咬めて一生健康」をコンセプトとしている同院
噛みしめた時の計測値が100マイクロボルトを超えている場合は、咬筋が発達している状態であることがわかります。まずご自身の数値を知り、食いしばりに気づいたときに咬筋の緊張を緩めることで歯へのダメージの軽減を図ります。そして治療が必要と判断した方には、まずは就寝時にマウスピースの装着を提案。奥歯の詰め物やかぶせ物が取れやすいという方の場合は、強度な材質にする治療を提案することもありますね。気になる方は一度、咬筋の測定をお勧めします。