佐藤 大樹 院長の独自取材記事
燕三条すごろ脳脊髄クリニック
(三条市/燕三条駅)
最終更新日:2025/01/27

燕三条駅から徒歩8分ほど、三条市の須頃地区にある「燕三条すごろ脳脊髄クリニック」。近くには国道8号や大型ショッピングセンターなどがあり、市の中心エリアとしてにぎわう。2024年に開業した脳神経外科医の佐藤大樹院長は、大学卒業後は東京都内の大学病院や基幹病院などで研鑽を積み、脳だけでなく脊椎や脊髄に関する診療や外科手術も多数経験してきたエキスパートだ。10年間の医師としてのキャリアを経て、「自分が得てきたものを生まれ育った町へ恩返しするつもりで、新潟県での開業を決めました」と話す佐藤院長に、医師としての思いやクリニックのコンセプトなどを聞いた。
(取材日2024年12月10日)
豊富な経験と知見を故郷に還元したい
2024年3月に開業されましたが、そのきっかけを教えてください。

大学卒業後から、東京都内をはじめ首都圏の大学病院や基幹病院の脳神経外科の医師として、たくさんの経験を積んできました。大規模な病院ばかりでしたので開頭手術、脳のカテーテル手術はもちろんのこと、脳だけではなく脊椎、末梢神経の手術も多数の臨床経験があります。そういった自分の経験を将来的には地元の新潟県で生かしたい、恩返しをしたいという思いから開業に至りました。クリニックのコンセプトは、「訪れやすく話しやすい、家族のように寄り添うクリニック」であること。私自身が人と話すことが好きというのもありますが、患者さんの話を丁寧にお聞きし、診療についてはわかりやすい表現でご説明することを心がけています。
先生が脳神経外科の医師をめざしたきっかけは何でしょうか?
父が歯科医師をしていたこともあり、医療の現場は幼い頃から身近に感じていました。本格的に医師をめざしたのは高校生になってからでしたが、その頃には人の命を救うために働く医師の仕事の尊さがわかるようになっていましたので、迷いはありませんでした。脳神経外科を専門にすることを決めたのは、研修医の時。研修医はさまざまな診療科を回って現場を知るのですが、脳神経外科でのダイナミックな手術を目の当たりにしたことは非常に大きな経験でした。脳の疾患は重篤な患者さんも多く、時には救えないようなケースもあります。一方で、手術をしなくても薬物療法などで救うことも望める症例も経験しました。症例の見極めも重要である領域であるところに医師としてのやりがいを感じて、脳神経外科を専門にすることに決めました。
開業場所として三条市を選んだ理由を教えてください。

出身地である新潟市も検討しましたが、周辺のクリニックとの兼ね合いなども考え、県内の広いエリアで候補地を探していました。このエリアには当院の開業と同時期に基幹病院ができることもわかっていましたし、そのために幹線道路もできていました。さらには、大型ショッピングモールも建設予定だったため、タイミングはぴったりだと思いました。これまでの人生を振り返っても、人も場所もご縁は大切だと感じていたので、こちらでの開業を決めたんです。
院内にMRIを導入。ストレスのない検査に努める
クリニック名に「脳脊髄」とありますが、どのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか?

診療科としては脳神経外科と内科を標榜しています。当院は町のクリニックとして風邪や高血圧症、脂質異常症などの患者さんもたくさん診させていただいていますが、私自身が脳神経外科と脊椎脊髄外科の専門家であることから、クリニック名にあえて「脳脊髄」と入れました。脳と脊髄の不調は、頭痛やめまい、手足のしびれ、首や腰の痛みなど、体のさまざまな部分に影響を与えます。一例を申し上げると、腰が痛いという症状も、骨や筋肉だけが問題なのか、神経にも影響が出ているのかによって対応が異なることがあります。腰が痛いから脳神経外科に行くということは、患者さんからすると意外に感じられるかもしれませんが、多くの神経が通っている場所でもありますので、もし不調を感じたらまずはご相談いただきたいと思います。
クリニックの設備などでこだわった点をお聞かせください。
神経症状が現れている患者さんをはじめ、頭痛、めまい、物忘れ、頸部痛、腰痛など、さまざまな症状の患者さんに、院内でMRI画像を撮っていただくことができます。MRIがあるクリニックは県内でも多くはなく、空いていればできるかぎり当日に撮ることを心がけています。当院のMRIは患者さんがリラックスできるように、検査中にモニターで美しい風景などの映像やお子さん向けのアニメなどを見ていただくことができます。ヘッドフォンからは音楽も流れますので、閉所が苦手な患者さんの恐怖も軽減できます。また他には、骨に異常がある可能性がある場合はエックス線検査、血管狭窄や動脈硬化などが疑われる場合には超音波検査もします。さらに、当院にはめまいの症状で来られる方もいらっしゃいますが、そういった場合には重心動揺検査を行い、平衡感覚機能を調べます。
クリニックにはあまりないような機器も取り入れられていますね。

医療機器ではありませんが、高気圧酸素ルームを設置しています。これは通常の大気圧よりも高濃度の酸素を高気圧下で吸入するための設備です。患者さんだけでなくスタッフのリフレッシュにも使っているんですよ。これまでの研究だけでなく先進の報告にも目を向けて新しい取り組みも導入できるよう、これからも視野を広く保っていきたいですね。
手術ありきではなく、複数の選択肢を探り治療する
手術などが必要な患者さんには、どのような対応をされていますか?

患者さんそれぞれの身体状況に応じて、手術が必要な場合は近隣病院を紹介しています。私がこれまでさまざまな症例と向き合ってきた中で実感したことですが、脳の疾患は患者さん自身が手術が必要かどうかを判断することはできません。だからこそ、それを見極めることが脳神経外科を専門とする医師であり、町のクリニックの医師としての役割だと思っています。手術療法や薬物療法など、さまざまな選択肢を提示して、患者さんの思いも聞きながら一緒に計画を練るように、診療方針を決めていきたいと思っています。
先生が医師として、大切にされていることはありますか?
患者さんとしっかり対話を重ねることです。脳や脊髄の疾患というと、ただでさえ重く捉えられがちです。そのため、治療の説明はもちろん、それにかかる費用、進め方などについて、患者さんにご理解いただけるまでお話ししています。患者さんにとって、自分の症状を言葉できちんと説明することは簡単ではありません。とはいえ、頭痛やしびれ、めまいは自覚症状しかなく、外から症状を観察できるものではありません。そのため、外から見るだけではわからない患者さんが感じていることを言葉でゆっくりと引き出し、表情や答え方などを観察しながら診療するようにしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

脳神経外科というと専門に特化したイメージを持たれがちです。でも、頭痛やめまい、首や腰の痛みなど日常に割とよくある症状についても診察しています。もし気になる症状があれば、緊張なさらず検査にご来院ください。クリニックでも十分に回復が見込める症例も多いのです。検査をした上で気になる所見があれば、脳神経外科専門の医師としての知見を生かしながら診療をし、手術の必要があれば大きな病院への紹介もします。手術後は、当院で経過のフォローなどもさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。