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園田 薫 院長の独自取材記事

そのだクリニック

(茨木市/総持寺駅)

最終更新日:2025/01/17

園田薫院長 そのだクリニック main

長年にわたり認知症診療を専門としてきた園田薫院長が、2024年4月にオープンした「そのだクリニック」。一見、クリニックとはわからないノスタルジックな外観が印象的で、奥には古民家や中庭もあり、まるで自宅で過ごしているかのような安心感がある。こういったアットホームなクリニックにしたのも、「治療へのハードルを下げたい」という思いからだという。「認知症があってもなくても、地域の人がつながるような場所をめざしたい」と話す園田院長。患者への治療はもちろん、家族へのサポートや、患者や家族の生活面での充実にも気を配る診療スタイルから園田先生の人柄が感じられる。今回は開業した理由や、同院の特徴、地域への思い、今後の展望などたっぷりと話を聞いた。

(取材日2024年5月18日/更新日2025年1月14日)

クリニックを作ろうとした理由

こちらは認知症専門のクリニックだそうですね。

園田薫院長 そのだクリニック1

私は認知症を専門として20年、これまで数多くの認知症患者さんと接してきました。認知症診療の鍵は、いかに外来診療を継続させるかということです。認知症の症状を自分で自覚することは難しい場合が多く、ドロップアウトされる方も少なくありません。ですが、治療を中断してしまうと、精神状態が不安定になったり、「リロケーションダメージ」ともいい、入院などの環境の変化で認知機能障害が進行したりすることもあります。多くの人にとって医療機関に行くのは楽しい体験ではありませんが、くつろげる環境があれば通院も続けやすいのではないかと思いました。さまざまな工夫や取り組みを通して治療のハードルを下げ、患者さん自身もご家族も通院を楽しみにできる、そんなクリニックを作りたいと思い開業しました。

「環境づくり」の面で、こちらのクリニックはとても特徴的ですね。

ええ。クリニックの外観もその一つで、以前商店をされていた雰囲気をそのまま残しています。このお店はずっと昔から地域の人たちの集いの場所であったそうです。「地域の人も昔を思い出して、ふらっと扉を開けてくれるかもしれない」、そう思ってあえて昔のままの外観を残しました。一方で、院内はあらゆる方が通院しやすいようバリアフリーに改装し、診察室まで車いすで入れるようにしています。待合室は落ち着いたオレンジの照明とゆったりとした音楽が心地良い空間になっていますので、ぜひ気軽に訪れてほしいですね。

院内には中庭があり、古民家スタイルの診療室もあるとか。

園田薫院長 そのだクリニック2

こちらを見せていただいた時に気に入ったのが、昭和の懐かしい雰囲気と、古民家にある中庭の緑、樹齢100年近いザクロの木でした。駅前にこんな環境が残っていることに驚き、ここで開業したいと強く思いました。奥の古民家ではご自宅にいるような雰囲気でお話を聞けるので、通院に抵抗がある患者さんも安心して来院いただけています。また患者さんの中には花を育てるのが好きな人も、大工仕事が得意な人もいらっしゃいます。診察の前後には縁側に座り、ご家族と一緒に昔を思い出したり、土いじりをしたりするのも良い体験になりますし、それが家族との関係の再構築につながれば、この懐かしい空間も生きるのではと考えています。そして認知症のある人もない人も、地域の人たちが庭や古民家に手を加え形を変えながら、たくさんの人にとって安心できるつながる場所にしていくことが夢ですね。

クリニックで行う認知症診療

クリニックでの認知症診療について、具体的に教えてください。

園田薫院長 そのだクリニック3

まずはその人が、正常老化か軽度認知障害(MCI)か認知症の状態かを評価します。MCIは「認知機能障害はあるが生活機能障害はまだない状態」、認知症は「認知機能障害により生活に支障をきたした状態」です。状態を評価後、改善の望める疾患を見逃さないように検査します。例えば甲状腺機能低下や慢性硬膜下血腫などが原因の場合は、早期に適切な治療をすることで認知機能障害の改善が見込めます。まずは血液検査や画像検査といった医学モデル的なアプローチから改善の望める原因を探り、それが除外されれば次にアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症……と原因疾患を絞っていきます。原因疾患により予後や対応方法、治療方法など異なります。また最近はMCIの段階で使える薬も出てきましたので、認知症専門の医師の介入はますます重要になっています。当院では薬による治療だけでなく社会モデル的アプローチを大切にしています。

社会モデル的アプローチについて教えてください。

先ほど述べましたように認知症は「認知機能障害により生活に支障を来した状態」ですので、その方にとって生活しやすい環境をつくっていくことで、認知機能低下があっても安心して生きがいを持った生活をすることが可能になります。これを考えていくのが社会モデル的なアプローチです。このアプローチをするには、患者さんに関わる多職種スタッフが情報を共有してチームとして有機的に動く必要があります。ご本人ご家族、ケアマネジャー、看護師、公認心理師など多くの人の意見を聞いて、コミュニケーションツールなども活用しながら、プロセスを見える化し、治療プランをつくり上げていくようにしています。また当院では、地域の多職種スタッフを支援するために、見立ての勉強会や、事例検討会なども定期的に行い、ICTを活用した情報共有も積極的にしています。

開業は茨木市にこだわって探したそうですね。

園田薫院長 そのだクリニック4

私は1995年に医師となり、2005年から茨木市の藍野病院で認知症を専門に診療してきました。認知症が専門の医師としての研鑽は茨木市で重ねてきましたので、これからは地域の人々に認知症診療で還元したいと「開業するなら茨木市で」と決めていました。また勤務医時代にはあいの認知症プロジェクトを立ち上げて、認知症クリニカルパスの作成や家族教室、地域講座などさまざまな活動を多職種のスタッフとつくり上げてきました。そのプロジェクトは現在は茨木市の事業として委託されるまで成長しているんですよ。他にも、茨木市医師会での活動や茨木市役所の認知症初期集中支援チームにも参加してきました。茨木市で出会ってきたさまざまな人々を中心にさらにネットワークを広げていき、さまざまな垣根を外して、地域の人々をサポートしていくことが私の役割だと感じています。

認知症を知り、皆で支え合える地域をめざす

今後の展望についてお聞かせください。

園田薫院長 そのだクリニック5

少しでも多くの人に認知症について知っていただけるよう、いろんな取り組みをしたいと思っています。地域の多職種スタッフはもちろん、一般の地域の方々とも勉強会や出前講座などで交流を深めてていきたいです。たくさんの人が認知症についての理解を深めていくことで、認知症があっても助け合い人生を楽しみながら生活できる街になるのではないでしょうか。また引き続き医師会や行政とも連携し、誰もが過ごしやすい街づくりのお手伝いができればと考えています。古民家のスペースでは患者さん同士の集まりや家族の集まり、認知症カフェなども開催しています。ご興味のある方はぜひお越しいただければと思います。

患者さん、そのご家族に向けたメッセージをお願いします。

90歳を超えたら6割の方が認知症になるという報告もあり、現在認知症は誰もがなり得る病気です。しかし認知症への先入観から、受診することをためらわれている方も多くいらっしゃいます。私が医師になった頃と比べて認知症の症状の進行を抑えるための新しい薬も出てきましたし、最近ではMCIの段階から使える薬も出てきています。また、サポート体制も充実し、通院しながらご自宅で過ごすこともできるようになってきました。認知症は早期の介入が重要です。身近な人に「めんどくさがることが増えた」「これまで日課としていたことができにくくなった」「いつも探し物をしている」など、気になることが見られた時には、お早めにご相談にお越しください。適切な認知症に対する知識と対応方法を、ご本人、ご家族と一緒に考え、笑顔で過ごすためのお手伝いができればと思います。

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