酒井 毅 院長の独自取材記事
武蔵新城メディカルクリニック
(川崎市中原区/武蔵新城駅)
最終更新日:2025/09/02

JR南武線の武蔵新城駅の北口を出て、目の前の通りを渡るとすぐ「武蔵新城メディカルクリニック」が入るビルがある。院長の酒井毅(さかい・つよし)先生は、大学病院や総合病院の循環器内科で長年診療し、とりわけ不整脈の領域では多くの患者を診てきたドクターだ。一方で日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、循環器領域にとどまらず内科領域全般に精通する。その強みを生かして開業した同院は、内科全般を広く診る身近なかかりつけ医だ。患者のバックグラウンドまで考えた具体的なアドバイスを心がけ、開業から1年で早くも幅広い世代に愛されるクリニックになりつつある。「医師として患者さんと向き合うからには、その全身を診て適切な診療につなげたい」と話す酒井院長に、クリニックの診療内容や強みについて話を聞いた。
(取材日2025年7月1日)
専門の循環器を含め、内科全般を診療
開業から1年がたちますが、患者さんの傾向などをお聞かせください。

この1年で少しずつ患者さんが増え、私自身もクリニックでの診療に慣れてきました。患者さんは50代を中心に、若年層から高齢者まで幅広く受診されています。若い方は、風邪や健康診断で異常が出たところの再検査、高齢者は高血圧症や糖尿病をはじめとした生活習慣病が目立ちますね。内科全般の症状を気軽に相談してほしいという私の思いが地域に浸透しつつあるのか、「不調はあるが、何科を受診していいかわからない」「持病がいくつもある」といった方にも相談していただけるようになりました。もちろん、私の専門領域である不整脈の患者さんも少なくありません。
あらゆる症状を気軽に相談できるのは、とても心強いですね。
専門にとらわれず、内科全般の症状に対応したいと思って開業したので、こうしてさまざまな症状を相談してくださるのはとてもうれしいことです。総合内科専門医の資格も持っていますから、医療の入り口となる一次診療施設としての役目をしっかり果たしていきたいですね。予約制ではありますが、急に具合が悪くなった場合などは遠慮なくいらしてください。お待ちいただくかもしれませんが、臨機応変に対応いたします。9割以上の方が経験したことがある頭痛も、時に命に関わる疾患が隠れていることがありますから、ぜひご相談ください。
ご専門の循環器については、どんなときに受診してほしいですか?

動悸や息切れなどは心臓疾患の予兆の可能性があるため、初めて自覚した場合、また初めてでなくても「いつもより時間が長い」といった感覚がある場合は速やかに受診していただきたいです。検査をして、何もないことがわかればそれでいいわけですからね。緊急性の高い病気が見つかった際には、提携している日本医科大学武蔵小杉病院や虎の門病院、東邦大学医療センター大橋病院などにご紹介いたします。
一人の患者を包括的に診たいと思い、開業を決めた
なぜ、内科全般を診るクリニックを開業しようと思われたのでしょう。

これまでは、大学病院や総合病院の循環器内科で診療し、開業前に勤務していた病院では不整脈部門の部長を務めていました。やりがいはありましたが、専門領域しか診療できないことを少しずつもどかしく思うようになったんです。大きな病院では、各医師が専門領域のみを担当し、少しでも専門から外れる病気が見つかれば他科に診療を任せなければなりません。一人の患者さんを診ているのに、その一部しか診療できないことに違和感がありました。そんな時、病ではなく人を診る当院の理事長の方針を知り、院長として一緒にやっていくことを決めたのです。
患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。
必ず目を見て話をすることです。やはり、人として大事なのはあいさつであり、会話をする姿勢だと思うからです。会話の中で「言いづらいことがあるのかな」と感じたときには、「私のときはこうだったんですよ」と経験をお話ししたり、例え話をしたりして話しやすい雰囲気をつくることも。そうすると、不思議と心を開いてくださる方が多いんですよ。一人ひとりの患者さんとゆっくりお話できるのがクリニックの良さですから、時間の許す限り話を聞いて丁寧に診療したいですね。生活習慣病の患者さんには、そのバックグラウンドをお聞きした上で、行動に移しやすいよう「1食どれくらい減らせばいいのか」といった具体的なアドバイスをすることも意識しています。
患者さんとしっかり向き合おうという姿勢が伝わってきます。

大勢の患者さんが持っている決して珍しくない症状を診て、健康管理のお手伝いをするクリニックであるためには、患者さんが安心して悩みを打ち明けられるコミュニケーションが重要だと思っています。私の座右の銘は、「一歩先のことは一歩前にやる」。当院を信頼して受診してくださった方への対応が後手に回らないよう、あらゆる可能性を考え、早め早めの準備で日々の診療にあたっています。
じっくり話を聞き、その人にとって最善の治療を考える
先生は、どうして医師になろうと思われたのでしょう。

祖父が医師で、小さい頃から祖父の仕事ぶりを近くで見ていました。祖父は、往診から帰ってくるとよく「患者さんが自分の家族だったらどうするかを考えて診療している」と言っていたんですよ。その言葉と、働く背中の格好良さに憧れて、「将来はこんなドクターになりたい」と思うようになりました。無事医師の道に進んでからは、祖父の口癖と同じ「家族だったらどうするか」の視点で考え、納得できる治療のみを提供するようにしています。セオリーであっても、その患者さんにとって適切ではないと判断したものは決して勧めません。
病気を発症した患者さんにはどのように対応しますか?
薬である程度管理ができる不整脈の患者さんなら、通常時は薬を処方して経過観察、状態が変化したときはしかるべき施設にカテーテル治療などをお願いします。治療法を選択する際、内科の先生はカテーテル治療、外科の先生は手術を選択する傾向にありますが、私はニュートラルな立場ですから、どちらかに偏ることはありません。また、発症前の予防も重視し、心臓疾患を未然に防ぐ目的で睡眠時無呼吸症候群の診療も行っています。無呼吸の患者さんはメタボリック症候群の方が多く、大半が糖尿病や高血圧症を抱えておられます。これらの要素はすべて心臓に悪影響を与えますので、CPAP療法や生活改善指導に取り組んでいます。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

当院の治療は、患者さんの話を聞くことからスタートします。とはいえ、「医師には相談しにくい」という患者さんもいらっしゃるでしょう。当院は気さくで話しやすいコメディカルスタッフがそろっていますから、お困りの際は気軽にご相談ください。私たちも連携を今以上に強化し、患者さんのニーズやお悩みを取りこぼさないよう注意してまいります。心配事がありましたらお話をお聞かせください。私たちの家族としてお迎えし、可能な限り寄り添った医療をご提供してまいります。