全国のドクター13,899人の想いを取材
クリニック・病院 156,698件の情報を掲載(2025年7月30日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 北九州市若松区
  4. 折尾駅
  5. コールメディカルクリニック若松
  6. 大垣 拓郎 院長

大垣 拓郎 院長の独自取材記事

コールメディカルクリニック若松

(北九州市若松区/折尾駅)

最終更新日:2025/05/15

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松 main

「コールメディカルクリニック若松」は北九州市営バス「青葉台交差点」停留所から徒歩4分の場所にある。若松区・八幡西区・遠賀郡を中心に在宅医療を提供。院長の大垣拓郎先生は日本専門医機構認定救急科専門医の資格を持ち、救急医療と緩和ケアを柱に、エビデンスに基づいた優しくて温かい医療の提供をめざす。がん末期、難病、障害など、幅広い疾患に対応しており、自宅で血液検査、心電図、エコー、カテーテル交換などの医療処置が可能だ。また、多職種連携による「在宅救急緩和ケアone team」を構築し、患者と家族に寄り添った医療に注力している。「優しさと温かさが、とりえです」と朗らかに語る大垣院長。患者・家族との心のふれあいを大切にする大垣院長に、これまでの経緯や地域に対する想いについて聞いた。

(取材日2025年4月22日)

救急医療の精神を在宅医療へ

救急医療から在宅医療へ転換されたと伺いました。その経緯を教えてください。

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松1

私は健和会大手町病院の救急科で、多くの命と向き合いながら「目の前の命から逃げない」という姿勢を徹底的に学び、救急科専門医の資格を取得しました。ただ、搬送されてくる患者さんの中には「本当に救急車で運ばれてくる必要があったのか?」と思うケースもあって、住み慣れた家で家族に囲まれていたほうが、その人にとって幸せだったのではないかと感じることも多かったんです。そんなジレンマを感じるうちに、「自分が在宅医療の医師になって、住み慣れた場所で安心して過ごせる医療を届けることで、救急の経験を生かせるんじゃないか」と思うようになったんです。そして在宅医療を専門にすることを決意しました。

救急科専門医の資格は、在宅医療でどのように生かされているのでしょうか?

在宅医療では命に関わるような場面に直面することも少なくありません。そんなとき、即座に「これは在宅で対処できるのか、それとも病院へ搬送すべきなのか」と判断する力は、救急で培った経験が役立っていると思います。例えば、大腿ヘルニアを起こして嵌頓(かんとん)してしまった場合、そのままにしておくと腸が腐って命に関わる状態になります。ただ、ご家族が「どうしても病院には行かせたくない。住み慣れた家で、最後まで過ごさせてあげたい」と強く望まれたとき、リスクを理解してもらいながらも慎重に在宅でヘルニア整復をすることができます。そういった緊急の判断や処置は、救急の現場でたたき込まれたものだと思っています。

在宅医療では具体的にどのようなことができるのでしょうか?

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松2

大きな機器を使った検査や手術以外、基本的にほとんどのことが在宅でもできます。例えば肺炎になったときも、抗菌薬を使った治療は在宅でも可能ですし、酸素濃度が下がってきたら、在宅酸素療法も対応できます。また、皮膚の縫合、褥瘡の電気メス切開、出血への凝固止血も在宅で対応できます。痛みが強くなりやすいがんの終末期には、ポンプを使った注射も使用可能です。もちろん、私が救急で働いていた経験を生かして対応できていることもありますが、在宅医療でできることは予想以上に多いんですよ。

どのような患者さんに対応されているのでしょう。

ほとんどが75歳以上の後期高齢者の方々です。最近増えてきているのが、40代〜50代のがん末期の患者さんです。また、20代〜40代の医療的ケア者の方々もいらっしゃいます。これからは神経難病の方々も支援したいと思っています。パーキンソン病などは若いうちから発症するケースもあり、病気と向き合いながら在宅で暮らしている方の力になれたらと考えています。

在宅医療における2つの柱、救急医療と緩和ケア

こちらのクリニックは救急医療と緩和ケアを柱にしていると伺いました。

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松3

はい。重症度にかかわらず、患者さんやご家族が「早く救ってほしい」、「急いで来てほしい」と思うときは救急医療。一方で、命に関わる病気でも、命に関わらない病気でも、痛みやつらさを軽くするのは緩和ケアです。この2つはどちらも在宅医療に欠かせないと思っています。そういった考えから、私は「在宅救急緩和ケアone team」と命名し、外部の多職種の方々とチームを組み、患者さんを支える体制をめざしています。訪問看護師、訪問歯科医師、訪問薬剤師、在宅酸素療法のメーカー、ケアマネジャー、相談支援専門員、訪問リハビリテーションのセラピスト、訪問介護、訪問入浴、福祉用具、訪問理美容、それぞれが専門性を生かして患者さんとご家族を支えます。特に大切にしているのは、専門職が根拠に基づいて現場で判断することです。経験も知識も豊富なプロフェッショナルなので、根拠に基づいた判断は、できる限り尊重するようにしています。

在宅救急緩和ケアone teamではどのようなことを意識されていますか?

報告・連絡・相談を心がけています。できるだけ直接会って話すようにしていますが、専用のアプリも活用し情報交換しているんです。単なる報告だけではなく、私が考えていること、治療方針も発信するようにしています。病気のことをわかりやすく伝えるためにイラストや写真も添付して、ちょっとしたミニレクチャーもしています。

在宅医療を行う上で先生が大切にされていることは何でしょうか?

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松4

優しさと温かさです。私はよく「優しさと温かさが、とりえです」と言っているんです。在宅医療では、本当にいろんな患者さんと関わります。話をじっくり聞いているだけで涙を流される方もいますし、私自身も一緒に涙してしまったことが3回ほどあります。在宅医療に携わるようになってから、患者さんやご家族の想いに心を動かされることが増えました。何より、患者さんやご家族の優しさ、温かさにふれる度に、学ばせてもらっているなと思う毎日です。

患者さんとご家族それぞれの想いを大切にしていると伺いました。

「思いをくみ取る」という言葉を理念に掲げていて、まさにそこからがスタートだと思っています。患者さんやご家族の思いをしっかりと受け止めた上で、押しつけにならない医療を提供したいと思っています。想いとは、その方が本当に大切にしていること、どうしてもかなえたい願いだと思うんです。もちろん、患者さんだけでなく、ご家族が抱えるストレスや不安にも気を配ることも忘れてはいけません。患者さんやご家族とのコミュニケーションは、本当に異文化交流だと思うんです。私の医療の考え方と、患者さんやご家族が大切にしている価値観はそれぞれ違うものですよね。なので、まずはお話をじっくりと伺うことを大切にしています。

患者と家族の想いをかなえる在宅医療をめざして

地域貢献に対する想いをお聞かせください。

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松5

私は産業医科大学で学ぶことができて、本当に感謝しています。医学を好きになって、医師という仕事の面白さも教えてもらった、私にとっては成長させてもらった特別な場所です。だから今でも産業医科大学が大好きです。本当に心からそう思っていて、実は、このクリニックの外壁の色も産業医科大学の外壁と同じ色にしているんです(笑)。入学させてもらった恩もありますし、無事に卒業させてもらった、育ててもらった恩返しというか、この地域に貢献したいという気持ちは人一倍強いですね。この地域で30年近く生活しているので、愛着も深いです。

今後の展望について教えてください。

地域の在宅医療における最後の砦になりたいという想いは強いです。さまざまな病院で難しいと言われた患者さんもいらっしゃいます。救急の現場にいたときから、どんな状況でも最後の砦だという気持ちで臨んでいました。究極の判断を求められるようなときに目を背けず、ひるまずに向き合う。そういう姿勢を持ち続けることが大事だと思っています。また、他の事業をやろうという気持ちはまったくなく、在宅医療一筋でやっていきたいと思っています。それを深く深く掘り下げて、在宅医療に力を注いでいこうと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大垣拓郎院長 コールメディカルクリニック若松6

この地域にしっかりと根を下ろし、優しさと温かさにあふれる在宅医療を提供できるよう、これからも研鑽を深めていきたいと思っています。在宅医療は、言葉としては知られるようになってきましたが、実際には「よくわからない」という声も少なくありません。ですから、まずは気軽にお電話でご相談いただければと思います。直接お越しいただいても状況によってすぐに対応できないこともあるので、事前にご連絡をいただけるとスムーズです。少し複雑なご相談にも私自身が責任を持って対応いたしますので、どうぞご安心ください。

Access