上田 大輔 院長の独自取材記事
福住向ヶ丘通整形外科
(札幌市豊平区/福住駅)
最終更新日:2025/05/26

札幌ドームから直線で約1kmの場所にある「福住向ヶ丘通整形外科」。札幌市営地下鉄東豊線福住駅、札幌市営地下鉄東西線南郷18丁目駅から無料シャトルバスも運行している。2022年の開業以来、整形外科・リハビリテーションを中心に、地域のかかりつけ医として、ケガや骨粗しょう症などの一般整形外科疾患の診療を行ってきた院長の上田大輔先生は、膝疾患のスペシャリスト。膝関節専門の医師として20年以上の経験を持ち、スポーツ整形の分野では多くの選手の治療や復帰に携わってきた。「専門性を生かしながら、かかりつけ医として患者さんに寄り添う診療をしたい」と穏やかに話す上田院長に、医師になったきっかけや開業までの経緯、診療の特徴などたっぷり語ってもらった。
(取材日2025年4月1日)
職人のような手術に衝撃を受け、関東から北海道へ
上田先生はなぜ医師になったのですか?

学生時代にずっとサッカーをしていて、ケガをして入院したときの出来事がきっかけです。僕が入院した病院は、第一線で活躍するスポーツ選手たちも行くような整形外科だったのですが、その病院の医師は、手術の後、選手のところには顔を出すのに、僕のところには一度も来てくれませんでした。その時から選手だけでなく、一般の患者さんを大切にする医師になりたいと思うようになりましたね。それ以前から、サッカーのブラジル代表で医師でもあった選手に憧れていたことや、高校に入って3回手術を受けているといった経験も重なって、医師になるという気持ちが強くなった感じです。
ご専門分野はどの部位ですか?
専門は膝です。僕自身が膝をケガしていたので興味があったのですが、勉強してみると非常に面白い分野だとわかりました。肘は蝶番関節で動き、股関節は受け皿にボールが入っていて動くのですが、膝は靱帯などが複合的に動いて機能する関節で、他と違って面白い関節なのです。実際に治療でめざすところは、「ナチュラルな動きの膝」です。手術の内容にもよりますが、元通りの動きにするのは簡単なことではありません。
開業までの経緯を教えてください。

関東の大学病院に勤めていた頃に、八木整形外科病院で行われた勉強会で、実際の手術に参加して勉強できる機会がありました。そこで八木先生の手術を見て驚き、衝撃を受けました。八木先生の手術はまるで職人のような手術でした。それは、言葉では伝えられない感覚的な部分があって、宮大工のようでした。それで「八木先生に習えばもっと手術がうまくなるのでは」と思って大学病院を辞めてこちらに来ました。それまでも尊敬する先生はいたのですが、とにかく八木先生の手術のやり方に衝撃を受けました。
実際に八木整形外科病院での経験はいかがでしたか?
人間的にも技術的にもオリジナリティーがあるというか、他では学べないことが多く、とても勉強になりました。基本的には、僕は八木先生のコピーだと思っています。もちろん、完全にコピーはできていませんが。八木先生から学んだ感覚と理論がベースになっていることは確かで、その上で自分のオリジナリティーを加えていくような感じですね。
患者にとことん寄り添う診療をめざし開業
医学部卒業後は大学病院に勤務されていましたが、いつ頃から開業をお考えでしたか?

開業については学生の頃から考えていました。大学時代は周囲と違うこと、例えば、患者さんのことが気になって朝早く行ったり、夜遅くまでいたりするとあまりよく思われず、「お前の病院じゃないんだから」と言われることもあって、スタンドプレーのようになってしまう感じでした。でも、自分の病院だったら、そういうことを気にせずに、自分の思うように診療できるので、その頃から開業したいと思うようになりました。ただ、開業しても手術をしないというのが嫌で、患者さんには手術を受ける選択肢、受けない選択肢がありますから、どちらかを選べるような体制で診療したいと思っていました。
開業医で手術をするということは難しいのですか?
手術可能な体制で開業するとなると非常に大がかりになり、そもそもベッドを持つ(有床)ということが非常に難しく、かつ手術もするとなると相当にハードルが高くなるのです。それを満たすような医療機関をずっと探してはいたのですが、なかなか見つかりませんでした。関東ではいろいろな理由からほぼ不可能で、北海道でも札幌では厳しい。法律で地域あたりのベッド数は制限されていますので新たに増やすことはできません。そのため、もともとベッドを持っている人から譲り受けるしかありませんから、辞める人から譲り受けることになるのですが、たいていの場合、ベッドを返してしまうか、あるいは大規模病院に吸収される、いわゆるベッドを売ってしまうのです。そのため、条件を満たす医療機関を見つけることはほぼ無理だと思っていました。でも、ずっと探していたら、ご縁があり、もともと産婦人科だったここに決まりました。
どんな患者さんが多く来院しますか?

お子さんから年配の方まで幅広い年齢の患者さんに来ていただいています。当院は、専門である膝を診ますが、それに特化することなく、地域のかかりつけ医として地域医療に貢献できたらと考えています。近くの人が気軽に来院でき、そして膝のスペシャリティーも生かしたいですね。今は近隣の患者さんと、膝の治療を目的に遠方からいらっしゃる患者さんもいて、ちょうど良いバランスだと思います。
専門性を生かし、地域のかかりつけ医として幅広く診療
診療の特徴などお聞かせいただけますか?

当院には「膝の痛み」「スポーツ整形」「かかりつけ医」の3つの特徴があります。膝の痛みについては、膝関節が専門の医師としての20年以上の経験に基づいて、保存療法から手術療法まで幅広い選択肢を提供しています。MRIなどの画像診断の結果、生活スタイルなどを総合的に考慮し、患者さんとしっかり相談しながらで治療法を決定します。スポーツ整形の分野では、長年スポーツの現場と関わり、アスリートだけでなく、幅広い年齢層の治療・スポーツ復帰に数多く携わりました。スポーツ復帰に際してもざっくりとした説明ではなく、可能な限り具体的な復帰プログラムを提案いたします。かかりつけ医としては、一般整形疾患の治療についても、保存療法・手術療法ともに十分な経験があり、骨粗しょう症の治療や研究も行っていた経験を生かした診療を行っています。
手術対象となる部位やリハビリテーションについて教えてください。
骨折などの外傷の手術は膝以外も当院で行いますが、年齢的な変化で生じたものについては基本的に膝のみ手術を行っています。加齢が原因で肩や腰の手術が必要な場合は専門の医師に紹介します。リハビリテーションについては、理学療法士がマンツーマンで全身のバランスを考慮して行います。例えば、膝や足首が悪いケースでもその部分に限ることなく、体幹の問題まで踏み込んでリハビリテーションを行い、医師と密に連携しながら回復をめざします。現在5人のリハビリテーションのスタッフがいますが、「部分を診るのではなく、全体を診る」という僕の考えと自然に一致ししていて、ありがたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

足を痛めていた患者さんが、普通に歩けるようになったり、元気に旅行に行ったり、スポーツをしたりできるようになったとしたら、整形外科の医師になって良かったと思います。僕自身、膝を3回、肩を1回と手術を受け、さらにはがんの手術、放射線・化学療法も経験しましたので、整形外科以外のことも気軽に相談してもらえる医院をめざしています。医療については、聞けばすぐに解消されるかもしれないことを抱え込んで、さらに不安が募るようなことが多いように思われますので、わからないことや不安なことがあったら何でもご相談ください。