エコーで原因の特定へ
ハイドロリリースやブロック注射にも活用
にしぎふ整形外科リハビリクリニック
(岐阜市/西岐阜駅)
最終更新日:2025/02/17


- 保険診療
エコー検査という言葉を聞いたことのある方は多いだろう。しかし、腹部や妊婦健診などで使われるイメージが強く、整形外科で利用されると言われても、ピンとこない人も多いのではないだろうか。近年、エコー検査は整形外科領域でも広く活用されるようになっている。2024年3月に開院した「にしぎふ整形外科リハビリクリニック」の院長である山本孝敏(やまもと・たかとし)先生も、診療に積極的に取り入れている整形外科医の一人だ。患者の痛みや不調の原因を明らかにし、適切な治療やリハビリテーションへとつなげるために必要なツールだという。エコー検査が整形外科でどのように使われ、どのようなメリットがあるのかについて、山本院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2024年12月11日)
目次
原因特定から治療まで、リアルタイムで状態確認でき、妊婦や乳幼児にも使えるツール
- Qエコー検査のメリットは何でしょうか。
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A
▲妊婦や小さな子どもにも安心して使用可能
最大のメリットは、静的な画像だけでなく、動きのある状態をリアルタイムで確認できる点です。例えば、エックス線検査だけでは異常が見つからない場合でも、エコーで検査をすることで「骨折はないけれど軟部組織の炎症がある」といった原因の特定につながります。また、持ち運びができるため、診察室だけでなくリハビリテーション室など、必要とされる場所で検査ができるのも便利な点です。さらに、被ばくのリスクが一切ないため、妊婦さんや小さなお子さんにも安心して使用できます。万能ではありませんが、患者さんの状態を、これまで以上に詳しく適切に評価できるツールとして重宝しています。
- Qどのような疾患を見つけるのに有用ですか?
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A
▲診察中にその場で検査できる
疾患に限らず幅広く使えますが、今のところ当クリニックでは、肩関節の痛みや動かしにくさを評価するのに特に多く使っています。例えば肩の腱板の状態を詳しく確認しようとするとMRI検査が提案されますが、MRI撮像には少なからず時間やコストがかかります。その点、エコー検査は簡便で患者さんの負担が少なく、診察中にその場で気軽に確認できるのが大きな利点です。また、動きに伴う状態変化もリアルタイムで確認できるため、「特定の動きをした時だけ痛くなる」といったケースの確認にも非常に役立つので、当院では幅広く活用しています。
- Q治療の流れを教えてください。
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A
▲状況に応じてCT検査やエコー検査を行う
まずは症状について問診し、痛みの場所や関節の動きなどを確認していきます。必要に応じてエックス線検査をし、その結果でそのまま診断がつく場合もありますが、原因がわかりにくかったり、組織の損傷の程度や場所のさらなる詳細な確認が必要であれば、状態に応じてCT検査やエコー検査を行います。エコーは、検査する箇所にジェルを塗ったプローブを当てるため、皮膚を露出する必要がありますが、それ以外の特別な準備や処置は必要ありません。
- Q痛みの原因の特定以外に、どのような使い方をしていますか?
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A
▲正確な場所に注射を打つためにも活用
診断だけでなく、治療する際にも使っています。例えば注射をより正確な場所に打つために、靱帯や神経血管などの位置をエコーで確認しながら、薬液を注入できるようにします。また、より良い位置を見つけるために、患者さんに体の向きを変えてもらったり、関節を動かしてもらったりしていても画像が描出できます。当院では、ハイドロリリースや神経ブロック注射といった治療の際にもエコーを用いています。
- Qハイドロリリースやブロック注射も行われているのですね。
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A
▲痛みを取り除くための注射も積極的に取り入れている
ハイドロリリースは、症状のある部分の筋膜間に薬液を注射して、痛みの緩和を図る治療です。ブロック注射にはいろいろな種類がありますが、主に痛みの原因となる部分に麻酔薬や鎮痛薬を注入する治療法です。いずれもエコーを用いると、組織を観察しながらピンポイントに薬液を注入することができるので、原因となる部分により精密に薬液が届き、より効果的な症状緩和が期待できます。