金属アレルギーは歯科治療にも影響する
不安な人は皮膚科で検査を
ながい歯科皮ふ科クリニック
(春日井市/神領駅)
最終更新日:2025/04/08


- 保険診療
原因不明の全身のかゆみや、手足のブツブツ。「これらの症状は、金属アレルギーの可能性があります」と教えてくれたのは、「ながい歯科皮膚科クリニック」の永井晶代副院長だ。日本皮膚科学会皮膚科専門医である副院長は、日本アレルギー学会アレルギー専門医でもあり、アレルギー疾患に詳しい医師だ。同クリニックの歯科医師で院長の永井秀典先生は「歯科治療ではさまざまな金属を使います。金属アレルギーが不安な人は、事前に検査をしておくと安心して治療が受けられます」と語る。院長と副院長に、金属アレルギーについて、そして歯科と皮膚科の連携のメリットについて解説してもらった。
(取材日2025年3月13日)
目次
アクセサリーでかゆくなるのは、必ずしも金属アレルギーではない。正しい診断に基づく対処を
- Qまずは、金属アレルギーについて教えてください。
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A
▲患者に寄り添い話を聞く副院長
【副院長】金属アレルギーとは、金属に触れることで、かぶれやかゆみなどのアレルギー反応が起こることをいいます。アクセサリーなど金属が肌に直接触れることによって起こるかぶれなどのアレルギー反応は、わかりやすい例でしょう。その他、歯の詰め物の金属が原因になることもあります。歯科金属が劣化などの理由で溶け出してイオン化し、それが体内に吸収されることで、全身にかゆみが出ることがあるのです。歯科金属によって引き起こされる金属アレルギーは、治療後すぐに発症するとは限りません。かなり時間が経過してからかゆみなどを発症することがあり、このようなケースは金属アレルギーだと特定されるまでに時間がかかります。
- Q金属アレルギーは皮膚にどのような症状が出るのでしょうか?
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A
▲落ち着いて話すことができる診察室
【副院長】金属に触れた部分が赤くなったり、かゆくなったり、湿疹が出たりするのが典型的な症状です。アクセサリーやベルトのバックルなどが触れる部分に症状が出ることが多いですね。ただし、かゆみなどの症状がアレルギー反応ではなく、汗に反応しただけの場合もあります。そのため、金属アレルギーかどうかを診断するためにはパッチテストによる検査が必要です。また、頻度は低いですが、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)といって、手や足に膿を持ったブツブツができる病気も、金属アレルギーが関係しているといわれています。歯科金属が原因でアレルギー症状が出る場合、口の中だけでなく、全身にかゆみが出たりすることもあります。
- Q金属アレルギーは、歯科治療にも弊害があるのでしょうか?
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A
▲患者へのさまざまな配慮を行っている。
【院長】はい、金属アレルギーがある場合、歯科治療で使う金属に注意が必要です。詰め物やかぶせ物には、さまざまな種類の金属が使われていることが多く、アレルギーの原因となる金属が含まれていると、皮膚症状が悪化する可能性があります。そのため、歯科金属アレルギーが心配な方は、事前に皮膚科でパッチテストを受けて、どの金属にアレルギーがあるのかを調べておくことが大切です。当院では、皮膚科と連携して金属アレルギーの検査ができるので、ご不安に思われている方にはその旨を説明しています。
- Q金属アレルギーによる日常生活での制限はありますか?
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A
▲各種機器も充実
【副院長】金属アレルギーは、一度発症してしまうと、原因となる金属を避けるしか根本的な解決策はありません。つまり、完治をめざすことが難しい疾患といえます。日常生活においては、アクセサリーや日用品に含まれる金属に注意する必要がありますし、歯科治療や、場合によっては整形外科の手術など、医療の場面でも、金属アレルギーが制約となることがあるでしょう。事前にアレルギーの有無を知っておくことで、治療で適切な素材を使うなどの対策ができます。
- Qこちらのクリニックでの取り組みを教えてください。
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A
▲協力しながら患者へ医療を提供するながい歯科皮ふ科クリニック
【院長】皮膚科と歯科が連携することで、金属アレルギーの患者さんに対して、より適切な診断と治療が提供できる体制を整えています。当クリニックの皮膚科で実施しているパッチテストでは、17種類の金属に対してアレルギーの有無が検査できます。その結果に基づいて、歯科では樹脂やセラミックといったメタルフリーの素材を使った治療を行います。また、他院で歯科治療中の方でも、当クリニックの皮膚科でパッチテストを受けていただくことも可能です。皮膚科と歯科、それぞれの専門性を生かして、患者さんの不安を解消し、安心して治療を受けていただけるよう努めています。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。