中村 悟士 院長の独自取材記事
大宮歯科・口腔外科クリニック
(さいたま市大宮区/大宮駅)
最終更新日:2025/12/15
大宮駅東口から徒歩7分の場所に、2024年に開業した「大宮歯科・口腔外科クリニック」がある。中村悟士院長は、埼玉医科大学総合医療センターで10年以上研鑽を積んだ日本口腔外科学会口腔外科専門医だ。同院は口腔外科専門医が常勤で診療する歯科医院として、虫歯や歯周病の治療はもちろん、口腔がんの早期発見・早期治療、患者自身の歯を残すための移植手術、スポーツマウスガード作製、持病がある人の歯科治療まで幅広く対応する。「身近な存在の歯科口腔外科医でありたい」と語る中村院長は、大学病院勤務時代には休日も往復3時間かけて患者の様子を見に行くなど患者に寄り添う診療姿勢を貫いてきた。「生涯にわたって患者さんのお口の健康を守る」を理念に、予防歯科から高度な口腔外科治療まで提供する同院について中村院長に詳しく聞いた。
(取材日2025年11月21日)
町の身近な歯科口腔外科クリニック
開業に至った経緯を教えてください。

これまで大学病院の口腔外科で診療してきました。口腔外科を専門としたのは、難しい手技を身につけたかったから。また、口腔がんのような重大な疾患を見極めて治療できるようになりたいとも考えたからです。一般的に歯科医師が生涯で口腔がんを見つける回数は2回ともいわれていますが、埼玉医科大学総合医療センターで10年以上研鑽を積む中で、数多くの口腔がんを診てきました。もっと早く発見できていれば、と悔しく思うことが何度もありました。町の歯科医院と違って、大学病院の口腔外科は受診のハードルが高い。それが課題だと感じて、それなら自分で「町の身近な歯科口腔外科」として開業しようと決めました。開業当時、大宮区には口腔外科専門医が常勤で診る歯科医院が珍しかったので、この地域なら自分の経験が存分に生かせるという確信がありました。
大学病院での経験が今の診療にどう生きていますか?
がんはステージ1から4で語られることが多いですが、経験豊富な歯科医師が診れば、かなり初期のステージ0で発見できるケースもあります。今、早期発見する技術があると思えるのは大学病院で数多くの口腔がんを診てきた経験があるからです。また、救急医療にも携わってきましたから、スポーツ中のお口周りの外傷、交通事故による顔面骨折、上下顎周りの重度の炎症など、緊急を要する症例にも対応することができます。以前の勤務先で、夜間に炎症で腫れがひどい患者さんを受け入れて、切開と排膿を行ったケースがありました。また、地域の歯科医院からも歯科口腔外科で診るべき患者さんをご紹介いただくこともあり、町の歯科医院ではありますが、大学病院の口腔外科でやっている診療とほぼ同様の対応や役割を果たせているのかなと思っています。
大宮という場所を選んだ理由と、現在の患者さんについて教えてください。

私の地元に近いエリアでの開業を考えていた中で、大宮駅は多くの路線が乗り入れる場所なので、少し遠くからでも患者さんが通院しやすいのではと考えました。そもそも、さいたま市と近隣市町村を含めた周辺エリアの人口は多いのに、口腔外科専門医が少ないという地域医療の課題があります。埼玉県内にある大学病院は治療内容によっては予約が数ヵ月待ちという状況で、親知らずの抜歯もすぐには対応できません。患者さんにとって身近な歯科医院で口腔外科的な治療を提供して、大学病院に集中する負担を少しでも軽減させることも、地域医療への貢献だと考えています。現在、患者さんは地元の方、他の歯科医院からの紹介の方、遠方から来られる方、それぞれ3分の1ずつという感じです。インターネットで調べて1時間かけて来られる方も多いです。
日本口腔外科学会口腔外科専門医が行う専門的治療
歯の移植手術が専門分野だそうですね。詳しく教えてください。

お口の健康を考える上で、まず大事なのは自分の歯で噛めることで、できる限りご自身の歯を残すのが基本方針です。予防やメンテナンスに力を入れていますが、口腔外科的な取り組みとして知ってほしいのが歯の移植手術です。歯を一度抜いて必要な処置を施した後に元の位置に戻す治療や、歯を失った場所に親知らずなどを移植する治療を行っています。歯の移植は経験と技術が必要な難しい治療でしたが、今は3Dプリンターを活用し、精度の高い設備を導入することで以前より治療の精度が上げられるよう整えています。もちろんインプラントも良い治療ですが、自分の歯を活用する選択肢があることを知っていただき、「町の歯科クリニック」でも高度な治療が受けられると伝えたいです。この分野は私の一番の強みで、講演をしたり、論文を書いて発表したりしています。
他にどのようなことで相談ができますか?
顎関節症の疑いがある場合は、口腔外科を専門とする先生に早めに相談してほしいですね。顎関節症は口腔外科の専門領域で、治療が遅れると元に戻らなくなる可能性もあります。顎関節で気になることがあれば、ぜひ早めに相談にいらしてください。また、スポーツに取り組む方向けの専門的な歯科治療・歯科コンサルティングも私の得意分野です。これまでスポーツ中の外傷で緊急手術を必要とするケースを数多く担当してきた経験から、スポーツに取り組む人のお口の安全と安心のために、マウスガードの重要性を実感しました。アスリートから一般のスポーツ愛好者まで、競技レベル・特徴・ポジションなどに応じて、適切なスポーツマウスガードを作製します。
持病がある方への歯科治療についてはいかがでしょうか?

有病者の歯科治療についても深く学んでいますので、持病がある方の歯科治療も安心して治療を受けていただきたいと思います。日本は高齢で持病のある方が非常に多くなりました。糖尿病やがんなどの持病がある方は、歯科治療をするにあたって、特別な配慮が必要ですが、医科と連携している当院であれば、歯科治療を安心して受けていただけるかと思います。持病が理由で、地域の歯科医院で治療を受けられなかったという方に、ぜひ一度、相談しに来てもらいたいです。
患者に寄り添い生涯にわたって口の健康を守る
予防歯科についてはどのようにお考えですか?

「生涯にわたって患者さんのお口の健康を守っていく」これが最も大事な理念です。そのファーストステップが虫歯と歯周病の予防なんです。予防は口腔ケアを継続していくことが非常に大事なので、まずは患者さんの話をしっかり聞いて信頼関係を築き、定期的に通ってもらえるようにしたいと考えています。口腔がんなどは口腔ケアをしっかりやっていたとしても、突然出てくることがあります。でも定期的に通っていれば、口腔外科専門医の経験を生かして早期発見することもできるでしょう。お口全体の管理を任せていただきたいと思っています。
診療において大切にしていることを教えてください。
キャリアが浅い頃、技術が未熟で経験も少ない私は、患者さんのために何ができるんだろうと考えました。考え抜いて、寄り添うことで誠意を示そうというところからスタートしました。当時は休日であっても、自分が手術した患者さんの顔を見るために往復3時間かけて病院へ行きました。私がベッドの横から「朝と夕方は様子を見に来ますから、何かあったら言ってくださいね」と伝えると、患者さんはすごく安心した表情を見せてくれたんですね。それ以来、患者さんの不安をできるだけ軽減してあげたい、そう考えるようになりました。今でもその気持ちは変わりません。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私はまだ41歳で、口腔外科専門医としても比較的若いほうです。この先まだまだキャリアは続いていきますので、大宮エリアだけに限らずより広いエリアを担うつもりで、口腔外科専門医としての使命を果たしていきたいと思っています。努力を怠らず全力を尽くして成長を続けて、医療を提供していきます。地域の方々の生涯にわたるお口の健康を守っていくことが私の目標。虫歯・歯周病を予防したい方はもちろんのこと、口腔外科の専門家に相談したい方、先進の移植手術などの選択肢で自分の歯を残したい方、スポーツをされている方、高齢で持病がある方も、ぜひ一度ご相談ください。「町の歯科クリニック」でありながら、大学病院レベルの治療を提供し続けるため、これからも邁進していきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはスポーツ用マウスガード/1万5000円~

