市橋 卓 副院長の独自取材記事
市橋眼科
(大阪市淀川区/塚本駅)
最終更新日:2024/12/02

塚本駅から徒歩5分の住宅街にある「市橋眼科」は、1956年の開業以来、地域の発展とともに歩んできた歴史あるクリニックだ。現在は2代目院長の市橋進先生と、副院長の市橋卓(まさる)先生の二診体制で、幅広い眼科疾患の診療を展開している。2023年3月に院内を全面リニューアルし、手術が行える環境を整備した同院では、白内障・緑内障・眼瞼下垂などの日帰り手術を受けることが可能だ。卓副院長は、現在も東近江市立能登川病院昴会アイセンターに所属しながら、白内障手術や硝子体手術のさらなる研鑽を積んでいる。「先進レベルの治療を患者さんに提供していきたいです」と、語る卓副院長に、手術への想いや今後の展望を聞いた。
(取材日2024年3月28日)
目に不安を感じた時に安心して相談できるクリニックに
60年以上の長い歴史があるクリニックなのですね。

当院は1956年以来、3代にわたりこの地で医療を提供してきました。開業当初は内科と小児科を標榜し、1983年より眼科の医師であった伯母が加わり、眼科の診療を開始。そして、1987年に現院長である父が眼科を引き継ぎ、さらに2021年からは長男である私が副院長として診療に加わりました。祖父の時代から3世代にわたって通ってくださっている患者さんもいて、当院はこの地域の皆さんとともに育ってきたのだとつくづく実感しています。ちなみに2023年3月に手術を行えるように院内を全面リニューアルし、現在は私が白内障・緑内障・眼瞼下垂などの日帰り手術を担当しています。祖父の代から築いてきた地域との信頼を礎に、お子さんからご高齢の方まで幅広い世代の患者さんが、目に不安を感じた時に安心して相談できるようなクリニックでありたいと願っています。
先生のこれまでのご経歴をお聞かせください。
川崎医科大学を卒業後、大阪医科大学付属病院や大阪回生病院、大阪府済生会吹田病院などで白内障、緑内障、網膜硝子体、眼形成、眼窩底骨折など一通りの眼科疾患の手術を経験しました。その後、徳島県の藤田眼科で、さらなる症例を積みました。現在は、当院での診療の傍ら、滋賀県にある東近江市立能登川病院昴会アイセンターに所属しています。昴会アイセンターは、地方にありながら都会と同等レベルの眼科医療を提供することをめざして設立された部門です。白内障手術や網膜硝子体の難症例の手術に対応しているので、私はそこで同僚と切磋琢磨しながら、一般のクリニックでは対応が難しい症例等の手術に取り組んでいます。
クリニックでは白内障の治療に力を入れていらっしゃいますね。

はい。白内障の原因はほとんどが加齢で、特に「光をまぶしく感じた」「運転がしづらくなった」というきっかけで来られる方が多いですね。緊急性のある病気ではありませんが、放置すると見えづらさが進行して生活に不都合が多くなるでしょう。また、きちんと治療しないと、目からの情報が少なくなり脳への刺激も減るため、認知症のリスクが高まるともいわれています。ですので、できるだけ早めに治療されることをお勧めしています。当院では、患者さんに少しでも苦痛なく手術を受けていただけるよう、また術後の炎症のリスクを極力抑えられるよう、短時間で無駄のない低侵襲な治療に努めています。併せて、効率的で安全性の高い処置をするための先進の機器も導入し、細心の注意を払って行います。白内障手術は私が得意とするものですし、数多くの手術を行ってきましたので、ぜひ安心して受けていただけたらと思います。
豊富な手術実績を持つ副院長が日帰り手術に対応
白内障の手術はどのように行われるのでしょうか?

濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する日帰り手術となります。当院で白内障と診断され、手術を希望される方には、まず手術日を決めていただきます。手術前に一度来院いただき、挿入するレンズの度数を決定するための検査と、感染症を調べるための採血を行います。この時にビジュアルを使って処置の内容を詳しくご説明していますので、遠慮なくご質問していただければと思います。手術当日は、開始時刻の30分から1時間ほど前にお越しいただき、瞳孔を開くための目薬と麻酔の目薬を7~8回点眼します。手術室に入られてからは約10分程度で手術は終わります。瞳孔を開くための目薬をさすので、帰路に自転車や車の運転はお控えください。室内でのデスクワークや軽い家事であれば翌日からしていただけますが、感染症を防ぐため、力仕事やほこりや砂ぼこりが立つような作業に関しては、1週間ほど休んでいただくようお願いしています。
硝子体の手術についてはいかがですか?
黄斑前膜や網膜剥離など、網膜硝子体疾患の治療のために行う手術です。白内障を疑って受診した際に異常が見つかる場合が多いことから、白内障の手術と併せて行われることが多いです。放置すると、視力が低下してゆがみが強くなり、手術をしても視力の改善が見込めないこともあり得るため、適切な時期の手術をお勧めしています。手術では、目に小さな穴を3ヵ所あけ、そこから細い器具を眼内に挿入し、内部の濁りや出血を硝子体と一緒に取り除き、網膜の機能の回復を図ります。これは非常に細かい作業を必要とし、眼科領域でかなり高度な手術の一つです。当院では、現在この手術が行えるよう体制を整えている最中になります。
その他、クリニックで多い治療を教えてください。

まずは、緑内障です。目から入ってくる情報を脳へ伝える視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気で、治療が遅れると失明に至ることもあります。ただし、検査で早期に発見できれば、一部の急性の症状を除いてほとんどの症状は点眼薬での改善が望めますので、やみくもに恐れる必要はないでしょう。点眼薬を続けていても進行する場合には、眼圧を下げるための手術をご提案します。ただし、最近は白内障の手術と併せて緑内障の手術をしておきたいと希望される患者さんも増えていますね。一方、加齢黄斑変性は、網膜の黄斑という部分に障害が生じて、ぼやけたりゆがんだりして見える病気です。当院では硝子体に注射をする治療を行っています。注射自体はすぐに終わりますが、持続性が一定期間になるため、定期的に注射が必要になる場合が多いですね。
40歳を過ぎたら定期的に目の検査を受けてほしい
今後の目標を教えてください。

お伝えしたように、私は現在昴会アイセンターで、さらなる高みをめざして研鑽を積んでいる最中です。それもひとえに、このクリニックに通ってくださる皆さんに、より高い水準の治療や手術をして差し上げたいとの想いがあるからです。地域に根差した身近なかかりつけ医でありながら、先進の眼科医療も提供できる、そんなクリニックをめざし、一層皆さんに信頼していただきたいと願っています。そして、一人でも多くの患者さんに「治療を受けて良かった」「手術が楽だった」と喜んでいただけたらうれしいですね。
ところで、副院長と院長はお二人ともスポーツがお好きなのだとか。
ええ。私も父も大学時代はラグビー部に所属し、2人ともポジションはフロントロー(スクラムの一列目)を担当していました。今は小さな息子が2人おりまして、その子育てに奮闘中です。休みの日は息子と走り回って遊んでいます。もともと子どもが好きなので、お子さまをお持ちのお母さまやお父さまにもご安心して受診していただけると思っております。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

院長と私は、いつも「目の前の患者さんが自分の家族であったら」と考えながら診療にあたっています。そして、大切な患者さんの病気を見逃すことなく、より良い治療に導いて差し上げたいと願っています。その想いから、目の病気を一通りチェックできる検査も皆さんに提案しています。保険の範囲内で受けられますし、リスクが高まる40歳以降には、ぜひ年に1回定期検査を受けていただけたら、と思っています。また、手術は想像しているほど怖いものではないですし、初診でいきなり手術をお勧めすることはありません。今の症状や治療の選択肢を把握しておくだけで、気が楽になることもあるかと思います。まずは些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談いただければ幸いです。