本田 浩一 院長の独自取材記事
西岐阜ほんだクリニック
(岐阜市/西岐阜駅)
最終更新日:2025/01/27

岐阜県の西側方面からも通いやすいようにと、西岐阜駅から徒歩7分の場所に2024年4月に新たに開院した心療内科・精神科の「西岐阜ほんだクリニック」。院内はグレーを基調にしたシックでゆったりとした造りで、患者が落ち着いた気持ちで診察を受けられるように配慮されている。本田浩一院長は、内科での経験も生かし「心と体の両面からのサポート」をモットーにする。また同院では、ショートケアや訪問看護などさまざまな診療プログラムを実施しており、臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士など多職種のスタッフとともに、患者一人ひとりに合わせた治療を提供できることが強みである。開院にあたり、クリニックのコンセプトや力を入れている治療など、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2024年4月1日/情報更新日2025年1月20日)
心身両面からのサポートで癒やしをもたらす診療を
新規開院のクリニックですが、開院までの経緯を教えてください。

私は、もともと2017年に「岐南ほんだクリニック」を開業したのですが、ありがたいことにたくさんの患者さんに来ていただいており、現状そちらだけでは新規の患者さんを受け入れるのが難しくなっています。患者さんからの問い合わせが多かったこともあり、この度西岐阜駅近くに、姉妹院として当院を開院することとなりました。駅からも徒歩圏内ですし、幹線道路からも近いので患者さんの利便性を考えても、良い場所に開院できたと思います。岐南のクリニックは岐南町をはじめとして笠松町、各務原市、関市など岐阜の東の地域の皆さまにとっては通いやすい場所だと思いますが、西岐阜にクリニックを開院することで、岐阜市をはじめ瑞穂市、大垣市、羽島市など岐阜の西側の地区の方々にも通っていただきやすくなると思います。
先生は2つの診療所を運営する法人の理事長でもあります。法人のコンセプトや貴院の特徴を教えてください。
法人としてのコンセプトは「Healing・Holistic・Harmonics」の3つを柱にしています。これは「患者さんが来院されたときに癒やしやくつろぎを感じることができるようにする」「心身一如という考えで全人的な医療を提供する」「地域の皆さまとの調和を大切にする」という考えです。また患者さんの来院しやすさを考慮し、院名にあえて心療内科と表記せず、院内もクリニックらしさを感じさせないような造りにしています。当院は、クリニック全体をグレー調でまとめており、ホテルのロビーのような落ち着いた空間になっているのが特徴です。待合室や廊下も広く、車いすも自由に動けるようにしました。大通りから1本奥に入った場所にあり、入り口は少し横側から入るような造りになっているので、患者さんにとって安心して来院してもらえるクリニックだと思います。
心と体の両面からサポートされているのですね。

「心身一如」という言葉がありますが、心と体はその両方がお互いに相関し合っています。皆さんも、体が不調だと気分も落ち込むといったことを経験されたことがあると思います。ですから、せっかく心の病気が良くなったとしても、体の病気が治療できていないと心の病気を再発してしまう場合もあるのです。その逆もまたしかりですね。特に心療内科を受診される方は、糖尿病や高血圧症、高脂血症などの生活習慣病や甲状腺の病気を併発されている方が多くいらっしゃいます。僕は、精神科に進む前に内科での経験を積んでいますので、そういった病気にもある程度対応できることが、当院の強みだと思います。
専門的なスタッフによる多様なプログラムを提案
最近では大人の発達障害の方も多いと聞きます。

大人の発達障害は、自分のコミュニケーション能力の不得手さ、例えば空気を読めないことで場の雰囲気を壊してしまい対人関係のトラブルになり「もしかして自分は発達障害かも?」と思われて受診される方が多いですね。それ以外にも仕事上での物忘れや不注意で注意されたことがきっかけで、うつのような状態になりクリニックに相談に来られ、問診や検査から大人の発達障害が背景に隠れていると診断されることもあります。以前はうつ状態や適応障害と診断されていた方の中にも、発達障害をベースとした生きづらさがある場合も。このようなことがテレビやインターネットで情報発信されることで、皆さんの中にも「大人の発達障害」というものが認識されるようになり「私も?」と思われる方は多いですね。一般的には、子どもの頃に診断されていないということはグレーゾーンの方が多いと思いますが、心配な方は相談してください。
具体的にはどのような治療をするのでしょうか?
まず心理教育というか、そういった生きづらさを改善させるための生活指導を行います。また当院の場合、ショートケアでコミュニケーションプログラムを行っており、作業療法士や精神保健福祉士が、患者さん一人ひとりに対しマンツーマンで対応しています。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の方は、現在は薬物治療が可能なので、心理教育と並行して行う場合もあります。また、デイケアやリワークプログラムを受けたほうが良い方は、「岐南ほんだクリニック」で受けられるよう連携体制を整えています。
さまざまな職種のスタッフさんがいらっしゃるのですね。

当院には、医師のほか、看護師、臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士など大勢のスタッフがいるので、まず月に1回全体ミーティングを行い、話し合いの場を持つようにしています。それ以外でも、個別の患者さんに対して気になることがあれば、その都度話を聞くようにしています。また、スタッフが、電子カルテ上で患者さんの情報を共有できるようなシステムを整えています。そして何より当院のスタッフは、僕が細かく指示しなくても、とても愛護的に患者さんを診てくれていると思います。患者さんのそばに寄り添い、医療的にも福祉的にもケアをしてくれている印象です。信頼し任せられるスタッフが集まってくれ、とても心強いです。
患者の価値観を大切に、オーダーメイドの治療を
診療ではどのようなことを大切にされていますか?

自分の価値観を、患者さんに一方的に押しつけることがないように気をつけています。患者さん個人個人の価値観を大切にして、その価値観に共感できるようにすることを常に心がけています。例えば、患者さんが「つらい」と訴えられたとき、つらくなったきっかけが一般的に些細なことだと思えるような場合でも、その患者さんにとっては非常につらかったりショックな出来事であったりすることはよくあります。ですから、そこは些細なことと捉えるのではなく、患者さんの気持ちに寄り添い「大変だったね」と共感する気持ちを持って診療を行うことを大切にしています。
最近増えていると思われる心療内科・精神科の症状はありますか?
最近はメディアなどで「新型うつ」といわれるような、従来のうつ状態とは違った症状の方が増えていますね。それから感染症がはやったことも影響していると思いますが、さまざまな不安を訴える方も増えています。不安神経症やパニック症候群といった症状の方が少しずつ増えてきていると感じます。また、当院はどちらかというと若い患者さんが多いですが、全体的には認知症の患者さんも増えていると思います。今の時代は情報過多なので、いろいろな情報を取捨選択できずに全部受容してしまいがちで、そうすると人間はどうしても不安に陥りやすいのです。心の病気も、早期発見・早期治療が大事なので、不調を感じたらためらわずに受診してください。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

心身に不調を感じているたくさんの患者さんの力になれるよう、将来的には医師の数を増やし、二診・三診制にしたいと考えています。また、当院では訪問看護も行っており、うつ病や統合失調症を抱えながら一人暮らしをしている方が、円滑に生活できるようなサポートも行います。また、デイケアやリワークプログラムが必要な場合には、姉妹医院との連携も可能です。こういった多種多様な方法でアプローチできるところが当院の強みです。通院が難しいときは訪問看護や、場合によってはクリニックへの送迎なども提案できますので、クリニックへ行くことを特別なことと考えるのではなく、どのような悩みでも迷ったらまずは相談してほしいと思います。