谷口 誠 院長の独自取材記事
谷口歯科
(新宿区/神楽坂駅)
最終更新日:2024/12/27

神楽坂に開院して11年。「神楽坂通り谷口歯科」は、口腔外科の専門家である谷口誠院長の技術力と、すべての患者に対して「何ができるかを最大限考える」という誠実な診療姿勢によって、その存在感を増してきた。昼間は子どもや主婦、高齢者が、夕方や土曜は働き盛り世代の男女が多くを占めるという患者層から、いかに幅広い年代の人たちに愛されているかがわかるだろう。同院には、抜歯を望んで受診する人も多いというが、谷口先生は「抜歯はあくまで手段の一つ。安心安全に配慮された治療法の中から最善のものを選び、再治療にならない治療を常に心がけたい」と話す。よくある口腔内疾患や抜歯の注意点から地域のための歯科医院としての自負までじっくり語ってくれた。
(取材日2018年12月28日/情報更新日2024年12月25日)
難易度の高い症例にも対応する口腔外科のエキスパート
開院から11年がたちました。だいぶ地域にとけ込まれたのではないでしょうか。

この街に長く住んでいるおじいちゃんおばあちゃんを中心に、主婦の方、そして小さなお子さんとそのご両親まで、幅広い世代の方が来てくれています。都心にありながら下町情緒を感じさせる神楽坂の町に魅力を感じてこの場所を選び、町にとけ込んだ診療室になりたいと思っていたので、とてもうれしいですね。平日の診療日のうち水曜は19時まで、そのほかの曜日も18時30分まで診療していますし、土曜も10時から16時30分まで診療しているので、働き盛りの年代の方も多くいらっしゃいます。以前、企業内の診療所で勤務していたこともあって、「歯を診てもらいたいけど、昼間はなかなか時間を調整できない」「勤務時間内は席を空けられない」という会社勤務の皆さんのお気持ちもよくわかるんですよ。会社勤めで忙しく平日なかなか時間が取れない方たちに、仕事帰りや休みの日を利用して受診していただけたらと思っています。
先生は口腔外科のエキスパートでいらっしゃいます。
東京歯科大学大学院で口腔外科学を専攻し、同大学水道橋病院で口腔外科助手として医局に10年、非常勤講師として16年間勤務しました。口腔外科は歯科における外科ですから、大学病院時代は本当に毎日手術していましたね。多かったのは顎変形症や口腔がん、口唇口蓋裂などの手術ですが、外来でも親知らずの抜歯をはじめとする小手術をたくさん行いました。難しい状態にある親知らずなど口腔外科の領域に含まれる症状で悩んでいて、「ちょっと大学病院は敷居が高い」という方のお役に立てたらと思っています。また、研究室での研究テーマが「創傷治癒(そうしょうちゆ)」といって傷が治っていく過程を見るもので、専門である神経修復を中心に骨、軟骨、粘膜、血管などについて学べたことも現在の臨床に生きています。
歯を残すための治療について教えていただけますか。

保存療法は、歯の神経の近くまで達するような虫歯であっても、可能な限り神経を残す治療法です。虫歯が悪化したからと言って安易に神経を抜いてしまうと、歯の質が落ちて寿命が短くなり、いずれ歯を抜かざるを得ない状態になるリスクが高まります。歯科用マイクロスコープを使って根管までしっかり見て治療し、神経を残すことによって、歯を良い状態で残すことが期待できるのです。当然ながら時間がかかりますが、虫歯が再発しないこと、再治療にならないことをめざして、丁寧に治療をしています。
親知らずの抜歯の重要性とタイミングを知ってほしい
親知らずを抜く必要があるのはどういった場合でしょうか。

親知らずは歯の一番奥に生えてくる永久歯のことですが、きれいに生えず他の歯に悪影響を及ぼしたり、歯周病や歯肉炎の炎症の原因になったりすることがあります。現在既に悪い影響がある、もしくは将来的にそのリスクがある場合は抜いたほうが良いでしょう。抜歯のしやすさやその後将来の口腔内の健康を考えると10代後半~20代の若いうちに抜歯をすることが望ましく、抜いた後の傷の治りも若い方のほうが早い傾向にあります。親知らずの抜歯についてもそうですが虫歯や歯周病のチェックも含めて、歯科医院で定期的に口の中のチェックをしてもらうことをお勧めします。また、留学など海外に長期に住まれる方も国内にいるうちに見てもらうと安心だと思います。
こちらのクリニックではどのように抜歯を行っているのでしょうか。
親知らずの抜歯、特に下顎の埋伏している親知らずは抜歯といえども小手術になります。相談いただいて抜歯の必要がある場合は、基本的に後日しっかり時間を取れる日にあらためて予約をとっていただいています。親知らずの抜歯は処置後に後遺症として蓄膿症や唇の知覚麻痺などを起こす可能性もありますので、術後の変化に対応できるようなるべく手術は16時までとしています。それらを踏まえ当院では抜歯のリスク、術後の症状経過や注意事項を併せて説明して患者さんに納得していただいた上で抜歯を行っています。リスクを伴なうことから、未成年の方には保護者の同伴をお願いしています。また、当院で対応できないケースは大学病院等に紹介しているということもご承知おきください。
虫歯や親知らずなどのほかに、目立つ疾患はありますか?

口の中の粘膜に炎症が起きて変色したり、水疱ができたりする口腔粘膜疾患で受診される方は多いですね。最も一般的なのは口内炎やカンジダ症です。カンジダ症には、口の中に白い苔が付着する場合と赤くなる場合があり、後者は痛みを伴います。口の中が赤くなり、食事をしている最中に痛みを感じる場合は、カンジダ症の疑いがあるので受診をお勧めします。帯状疱疹による水疱もよく診ますね。口腔粘膜疾患はストレスや疲れが原因で引き起こされていることも多いので、十分な滋養を取って休養することが一番の治療です。ただし、中には白板症のようにがん化の可能性を含むものもあるので、気になることがあれば早めにご相談ください。
「地域のための歯科医院」として診療にあたる
先生は歯科医師会でも精力的に活動されておられますね。

歯科医師会では、成人保健委員として主に公衆衛生活動に従事しています。歯周病と糖尿病や生活習慣病には深い関係があり、口腔内の健康を守ることは全身の健康を守ることにもつながります。ぜひ、定期的に検診を受けていただきたいですね。また最近では、がんの治療をする時に起きやすい口の中のトラブルを未然に防ぐため、治療前および治療中の口腔ケアが推進されています。歯科医師会でもこうしたケアに対応している歯科医院をお伝えしていますが、まだご自身で調べて受診される方が多いのが実情です。当院にもそうした患者さんがよくおいでになるので、歯科医師会とうまく連携を取り、必要としている人にきちんと情報が行き届くようにしたいと考えています。
患者さんとの印象的な出会いがあれば教えてください。
大学院時代に受け持った患者さんです。その方は、口腔がんが肺にまで転移している状態で、気管切開をして生体監視モニターをつけておられました。当時はろくに眠らずに論文を書いていたのですが、体が許す限りはつきっきりで診ていたんです。そんなある日、実験の合間にその方の病室の窓が見える研究室の椅子で仮眠をとっていたところ、誰かが僕を呼んでいる気がしました。周りを見ても、それらしき人はいません。「ひょっとして」と思いその方の病室に駆けつけ、酸素チューブが外れているのを発見しました。急いでつけると、にこっと笑みを浮かべておられました。声を出して呼べる状態ではないはずなのに、不思議な出来事ってあるものですね。まるでテレパシーを使って僕を呼んでくれたような気がして、その出来事は今でも心に残っています。
今後の展望をお聞かせいただけますか?

基本はこれまでと変わらず淡々と、地域のための歯科医院として務めを果たしていきたいと思っています。いずれはこの診療室で、若い先生を育てたいという気持ちもあります。真面目に歯科医療に取り組みたいという人がいたら、一緒に切磋琢磨していきたいですね。また、口腔内の状態と全身疾患との関係をより多くの方に知ってもらえるよう、歯科医師会の活動とも連携しながら知識の普及に努めていくつもりです。日頃のケアの重要性を多くの方に知っていただき、地域の方の健康に寄与していきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/54万円~