気になったら早めの処置を
お尻やデリケートゾーンに多い粉瘤手術
うしじま内視鏡クリニック
(吹田市/江坂駅)
最終更新日:2024/01/29


- 保険診療
表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)やアテローマとも呼ばれる「粉瘤(ふんりゅう)」。皮膚の内部にできる“できもの”の一種で、普段は痛くもかゆくもないものの、放っておくと徐々に大きくなったり、しばしば細菌感染を起こして痛く腫れたりと厄介なことも多い。皮膚科疾患の中では一般的な粉瘤だが、どこで治療すればいいのか、そもそも本当に粉瘤であって悪い病気でないのかと悩んでいる人も多いという。「小さなうちに手術すればポロリと取れます。気になったら早めに専門のクリニックを受診してほしい」と語るのは「うしじま内視鏡クリニック」の牛嶋北斗院長。大腸検査や痔の治療ととともに、患者からの悩みで多いお尻やデリケートゾーンにできた粉瘤の除去にも力を入れている。今回は牛嶋院長に、粉瘤の治療について詳細に教えてもらった。
(取材日2024年1月29日)
目次
粉瘤の自己処置は高リスク。再発を防いで、傷痕を目立ちにくくするには、専門としているクリニックの受診を
- Q粉瘤とはどのようなものでしょうか?
-
A
▲粉瘤は幅広い年齢でできる可能性がある
粉瘤とは、皮膚の中に皮膚が入り込んで袋状になり、その中に皮脂や角質などの老廃物がたまってできた、しこり状のものを指します。通常であれば、古くなった皮脂や角質は皮膚から剥がれ落ちますが、粉瘤は出口のない袋状になっているため老廃物が蓄積して固まってできるのです。そもそも「なぜできるのか? 」といった原因はわかっていません。毛穴の多い所、汗をかきやすい所にできやすいといわれていますが、足やお尻、デリケートゾーン、背中、耳周りなど、全身のどこにでも発生します。ほかに粉瘤に似た皮膚疾患には、ニキビや脂肪種、神経鞘腫などがありますが、どれも見た目だけではほとんど区別がつきません。
- Q放っておいてもいいのですか?
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A
▲粉瘤は再発するケースもある
良性の腫瘍なので、できていること自体は問題ありません。ですが、基本的に一度できた粉瘤が小さくなることはありませんし、徐々に大きくなって、中にはゴムボールぐらいのサイズになってしまうこともあります。そうなると、できる場所によっては生活に支障が出ることも考えられます。また粉瘤は感染を起こして赤くなり化膿してしまい、痛みが出ることも少なくありません。炎症を繰り返すとだんだんと硬くなり、周辺組織と癒着するようになります。いざ取ろうと思っても手術に時間がかかったり、大きく切開したりする可能性もあります。気になるのであれば、早めに専門のクリニックで切除することをお勧めします。
- Q自分で取ることはできるのでしょうか?
-
A
▲きれいに取り除くには医師に相談を
中にはカッターや針を用いて自分で対処しようとする人もいるようですが、一見、内部の老廃物が出て平らになったように見えても、粉瘤は皮膚の内部にある袋状の組織まで取り去らないと再発してしまいます。また、袋ごときれいに剥がし取るには技術が必要です。細菌感染のリスクや手術後の傷痕が大きく残ってしまう可能性もあります。もし気になっても自分で対処することなく、粉瘤治療の経験豊富な医師やアフターフォローがしっかりしているクリニックで対処してもらいましょう。クリニックであれば、万が一癒着が強くて出血してもすぐに対処してもらえますし、麻酔を使って痛みをあまり感じることなく治療することもできます。
- Q治療において気をつけていることはありますか?
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A
▲しっかり検査し、診断を行ってから治療を行う
治療前には問診やエコー検査のほか、一部を切り取って生検検査を行い、それが粉瘤かどうかしっかりと診断してから治療するようにしています。中にはメラノーマなどの皮膚がんを発症しているケースもまれにあり、注意が必要だからです。また、下着や洋服で隠れるところであっても、傷痕をできるだけ残さないように縫合するように心がけています。一般的には、切開した後は内側を溶ける糸で縫合して終わりということもありますが、当院では外側をナイロンの糸で縫合します。そうすることで、より目立ちにくい傷痕をめざします。また、痛みにも配慮し、局所麻酔のほか、希望される方には静脈内鎮静法を用いた麻酔にも対応しています。
- Q治療法について詳しく教えてください。
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A
▲患者の状態や治療箇所に応じて、くり抜き法か切開法を選択
粉瘤の除去には手術が必要です。手術は10分~30分ほどで、方法にはくり抜き法と切開法がありますが、その人の状態や治療箇所に応じて選択しています。炎症を起こしている場合には、まず炎症を鎮める必要があります。皮膚を一部切開し、中にたまった膿を洗い流します。自宅での洗浄を数日続けながら、必要に応じて飲み薬や点滴などの抗生剤、痛み止めの服薬も行います。痛みが先に落ち着いていったとしても、感染を落ち着かせてからでないと手術はできません。炎症が残ったままでは、きれいに縫合ができないからです。術後も2日ごとに経過観察を行い、状態を確認。1週間後に抜糸を行って、問題がなければ終了となります。