月村 泰規 院長の独自取材記事
世田谷玉川整形外科内科クリニック
(世田谷区/上野毛駅)
最終更新日:2025/12/10
東急大井町線上野毛駅から徒歩3分、環状8号線沿いの4階建てビルが「世田谷玉川整形外科内科クリニック」だ。膝関節治療のエキスパートとして北里大学北里研究所病院で経験を積んだ月村泰規院長が2023年6月に開院。CTやMRIから手術室、入院病棟、リハビリテーション施設まで備えており、数多くの手術実績を持つ。高校時代、サッカー選手としてチームメイトのケガを目の当たりにした経験が、整形外科の医師を志すきっかけになったという月村院長。診断から手術、リハビリまで一貫した診療体制と、各部位の専門家によるチーム医療で地域医療に貢献する。患者ファーストの診療に努める月村院長に、開院の背景や診療体制、理念、地域医療への思いについて聞いた。
(取材日2025年11月19日)
診断から手術、リハビリまで一貫した治療体制を構築
まずは開院の経緯を教えてください。

当院は、医療法人社団慶晃会のクリニックです。当法人の大串整形外科には、私自身も医師として以前より関わっており、現理事長は私の後輩にあたります。グループ内には複数の整形外科クリニックがありますが、軽症の患者さんは診られても、手術が必要になると外部の病院に紹介していました。「整形外科的な治療は首尾一貫して、軽症から重症まで、どこの部位にしてもグループ内で最後まで診られる形にしたい」という思いが理事長と私の間にあったんです。私自身も大学病院に長く勤務していましたが、そろそろ次の世代に手術の機会を譲りたいと考えて、そのタイミングと慶晃会の構想が合致したこともあり、当院を開院することになりました。
月村先生が整形外科、特に膝関節を専門にされた理由は何ですか?
高校まで本気でサッカーをしていました。チームメイトにすごく上手な選手がいたんですが、膝にケガをしてしまったのです。当時はまだ手術できる病院も限られていた上、手術を受けたものの復帰はかないませんでした。その姿を見て「こういうケガを治す側になろう」と決意しました。実は親も整形外科の医師だったのですが、反発して医師にはなりたくないと思っていた時期もあって……。ですが、この出来事がきっかけで本気で医師をめざすようになり、大学入学時から膝を専門にすることを決めていました。卒業後は整形外科に進み、「膝を専門にしたい」とずっと言い続けていましたね。そして、北里研究所病院でスポーツ整形外科の経験を積みながら、膝関節の治療に特化していきました。
クリニックの診療体制の特徴を教えてください。

各部位の専門家によるチーム医療が最大の特徴です。膝、脊椎、股関節、肩、手など、それぞれの専門家が在籍しており、手術の適応を適切に判断しています。施設は1階にCTやMRIがあり、2階に手術室2室と診察室、3階に18床の入院病棟、4階にリハビリテーション室を備えています。2023年6月から2024年12月までで929件の手術実績があり、中でも膝は620件の手術を行っています。必要な時に専門の先生が診られる、かかりつけの医師が継続して診られる、その両方の利点を兼ね備えている点も特徴です。事務スタッフ、放射線技師、臨床検査技師、リハビリスタッフ、病棟・外来看護師と、病院と同等レベルを追求した体制を整えています。若手の医師は学術的な場にも積極的に参加し、新しい医療知識を積極的に取り入れてくれていますね。
循環器内科との連携で幅広い患者に専門的な治療を
「未病」という考え方も大事にされているそうですね。

はい。整形外科でも、悪くなる前からアプローチしていこうという「未病」の考え方があります。半月板が傷んでいるのに放置すると、10~20年後には変形性膝関節症で人工関節が必要になる可能性が高まってしまいます。ただし、若いうちなら骨切りや半月板修復で予防につなげられるケースもあるのです。そのため治療は「今」だけで判断せず、長期的視点で治療を提案するようにしています。こういった話もして、今治療するか、将来人工関節にするかを患者さんに考えてもらいます。「あの時知っていれば……」と後悔する人を減らしたいんです。
整形外科だけでなく内科もあるのは、どういった理由からですか?
循環器内科の配置は、開院前から必須条件としていました。なぜかといえば、人工関節手術を受ける高齢の患者さんは合併症のある方が多く、循環器系の合併症の管理となると高血圧や糖尿病の管理と違い、急な対応を迫られることもあります。循環器内科があることで、リスクの高い患者さんの受け入れが可能になりました。また診察から手術、術後までトータル的に診るとなると、内科の視点が欠かせません。当院は、アスリートからご高齢の方まで幅広く対応でき、格闘技やアメリカンフットボールの選手の治療も受け入れていますが、内科があることで、地域のかかりつけ医としての役割も果たせていると自負しています。
月村院長が診療において大切にしていることを教えてください。

「患者さんの声を聞くこと」と「膝の声を聞くこと」を大切にしています。患者さんの声とは、一人暮らしなのかご家族がいるのか、足が痛くて買い物に行くのも大変なのか、あるいは山登りに戻りたいのか、その方がどういう気持ちでどうしたいかを理解するということです。もう一つは「膝の声」。膝がどういった状態かを専門家として見極めます。痛みの原因、膝の状態、骨の変形などを照らし合わせて、最適な治療を一緒に考えていくのです。医療の進歩は毎秒で進んでいると感じるほど速いので、患者さんにより良い医療を提供するためには、常に新しい知識を取り入れることが欠かせません。手術にもさまざまな術式があり、合併症も多様化しているんです。外部の講師を呼んで院内で勉強会を開くなど日々努力ですね。
患者ファーストの精神で地域医療を支えたい
スタッフへの指導や地域医療機関との連携はどのようにされていますか?

スタッフには「患者さんファースト」と伝えています。例えば、予約が取れないといって痛がっている患者さんを断ることはせず、どうにか診られるように工夫する。手術後に傷が痛いなど心配事があれば、診察に来てもらいます。信頼できるリハビリスタッフも強みで、一般の患者さんからアスリートまで幅広く対応できます。地域医療機関との連携も大切にしていて、近隣クリニックからの紹介で来られた患者さんは、手術したところだけ定期的に見せに来ていただき、手術後はもとの先生のところで診てもらうようにしています。地域のクチコミも徐々に広がっているようで、知り合いからの紹介で来院される方も増えており、ありがたく思っています。
今後の展望はどのように考えていらっしゃいますか?
後進育成と技術継承は重要な課題です。クリニックの将来を考えると、若手医師にしっかりと技術を伝えていく必要があります。今も学術的な研鑽を積極的にさせていますが、手術技術も含めて次の世代に引き継いでいかなければ、と。スポーツ医療のさらなる充実も考えています。リハビリスタッフにもスポーツの現場を経験させてあげたいですね。地域の講演会や啓発活動も継続していきます。将来的には後進をサポートしながら、当院内やグループ内だけでなく地域全体で医療を支える体制をつくっていければと考えています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

軽症から重症まで、基本的にはどの部位の整形外科疾患でも診療可能です。手術が必要ない方には適切な保存療法を、手術が必要な方には専門家による適切な治療を提供します。セカンドオピニオンも積極的に受け入れていますので、ご相談ください。診断から手術、リハビリまで一貫した治療を当院で完結できるのが強みです。また、患者さん一人ひとりの生活背景を理解し、その方に合った治療選択肢を一緒に考えていきます。今すぐ手術するか、将来を見据えて保存療法を選ぶか、さまざまな選択肢があります。初診枠は別途確保していますので、痛みでお困りの方は気軽にご連絡ください。地域の皆さんの健康を末永く支えていきたいと思っています。

