三浦 陽子 院長の独自取材記事
おひさま歯科おとなこども歯科
(奈良市/学園前駅)
最終更新日:2023/12/11

2023年6月に開業した「おひさま歯科おとなこども歯科」。近鉄奈良線学園前駅から徒歩約10分の場所にあり、歯科、小児歯科、歯科口腔外科を標榜している。自らも1児の母である三浦陽子院長は、小さな子どもの診療を積極的に受け入れている。予防歯科に注力し、定期検診の大切さを啓発。また小児矯正では、歯並びが悪くなる原因に着目し、根本からの改善に尽力する。母親目線で通いやすい歯科医院をめざす院長に、小児診療にかける思いを聞いた。
(取材日2023年11月13日)
地域に根差した温かな歯科医院をめざして開業
開院までの経緯をお聞かせください。

九州歯科大学を卒業し、福岡の歯科医院で経験を積んだ後、大阪で歯科医師をしている父のクリニックに勤務していました。その時に父から与えてもらった影響は大きいと思います。父が開院したのは40年ほど前のことですが、患者さんの中にはずっと通ってくださっているご高齢の方も多く、幼い頃の私をご存じの方もいらっしゃいます。患者さんとともに年齢を重ねている父の姿を見て、私も長いお付き合いができる歯科医師になりたいと思いました。一方で、私はどちらかというと小児歯科に興味があり、また、子どもが小さいため、子育てをしながら勤務するには大阪は少し遠いなと考えていました。父のクリニックはいずれ弟が継承する予定でしたし、自宅のある奈良で開院しようと決意し、準備をしながら小児歯科でも1年ほど勤務し、勉強をさせていただきました。
こちらの名前の由来を教えていただけますか?
ロゴマークは太陽をモチーフにしようと思っており、名前も温かみがあるものにしたかったので「おひさま」としました。私が主役ではなく、スタッフにも一人ひとりに輝いてもらいたいという思いを込めています。実は「おとな」は後からつけ足したのですが、結果的に大人の患者さんも診させていただいているので、この名前にして良かったなと思っています。子どもさんにもたくさん来てほしいと思っていますが、内装にはキャラクターなどは用いず、女性が来院した時にちょっとほっとできる、居心地が良い空間をイメージしました。親しみやすさがありながら品が良い、落ち着く雰囲気にしたかったので、ベージュとピンクを基調にしました。
予防型の診療を推進されていますね。

歯科医院は怖い、痛いというイメージがあり、悪くなった時に「仕方ないから行く」という人が多いのですが、日頃からきちんとケアしていけば、歯をしっかり残していくことができます。特に日本人は、予防をせずに歯を失っていくケースが多いのでそうならないように、またこれ以上悪くならないようにケアができたらと思っています。定期的に通院していただければ、早期発見、長持ちする治療、そもそも治療にならないようにケアすることなどが可能ですし、そうすれば生涯にわたっての治療費も削減できます。院内の雰囲気やスタッフの対応を含め「あそこなら通ってもいいな」と思ってもらえるように気を配るとともに、患者さんに予防の大切さを知っていただけるよう取り組んでいきたいですね。
小さな子どもの予防歯科や小児矯正に注力
小児の診療についてお聞かせください。

当院では、小さなお子さんの診療を積極的に行っています。保護者の方からはよく「何歳から通院したら良いか」「歯並びが気になるが何歳から受診したら良いか」というご質問を受けることがあります。歯は生後半年くらいで生えてきますので、生えてきた時点でフッ素の塗布は可能です。もっと大きくなってからでないといけないと思っているかもしれませんが、生後5~6ヵ月のお子さんも診ていくことができますよ。最近の虫歯は、黒い穴ができた、という目に見えるものだけでなく、レントゲンを撮ってみなければわからないものも多いんです。ですから学校の歯科検診で問題ないと言われた場合でも、定期的に歯科医院でチェックしていただくのがいいと思います。レントゲンの影響に不安を持つ人もいますが、親御さんにはその安全性をお伝えし、許可を得られれば撮影するようにしています。
小児矯正についてはいかがでしょう。
5~10歳くらいのお子さんを対象に小児の予防的な矯正にも対応しています。生涯にわたって自分の歯で食べ、健康にしゃべって笑って過ごしていくために、子どものうちに歯並びを整えておくことの重要性は、自分が親になって改めて考えるようになりました。歯列矯正は永久歯列になってからでいい、乳歯では意味がないのではと思う人もいますが、小さいうちに矯正することは、見た目だけではなく歯の機能的にもとても大事なことです。歯並びが悪くなる原因の中には、乳歯が癒合歯だったりと永久歯の本数が少ない、過剰歯である、生えている位置に問題があるなどのケースもあり、その場合は将来的なケアを早い段階から考える必要があります。年齢が上がると抜歯矯正の確率も上がりますが、小さい頃から診させてもらっていれば介入も早く、治療する量が少なく済んだり、治療費も抑えることができる場合もあります。
歯並びが悪くなる原因にも着目されているとか。

歯並びには口腔内の骨の状態だけでなく、癖や疾病が影響している場合もあるんです。ですから小児矯正は、虫歯や歯周病が起こるリスクが下げられることの他に、お子さんの全身の健康を守るという点でも大きな意味があると考えています。例えば、いつも口がポカンと開いているいわゆる「口ポカン」の癖は歯並びに影響しますが、その原因はさまざまです。低位舌が原因の場合、母乳哺乳がうまくいっていない可能性もあります。また、慢性鼻炎で鼻呼吸ができなくて、仕方なく口を開けているというケースもあります。そういった裏に潜んでいる根本原因を見つけてそこから取り組むことが、口腔内の環境を整えることにつながると考えています。逆に永久歯列で矯正したとしても、根本原因が解消されていなければ後戻りしてしまうことはよくあります。
女性ならではの心配りで地域住民に愛される歯科医院に
診療で気をつけているのはどのようなことですか。

スタッフも全員女性なので、女性ならではの気遣いや目線を大切にしています。過去に歯科医院で怖い思いをしたとか、嫌な経験があったという方が「気持ち的に落ち着いて治療を受けられます」と言ってくださるような、リラックスできる雰囲気づくりを大事にしていきたいですね。お子さんの場合は無理に治療を進めるのではなく、慣れるまでの過程を大事にしています。まずは何回か通ってもらって診察室や器具に慣れ、シーラントをしたりと口の中を触られることに慣れてもらってから、虫歯があったら治療するという形です。親御さんにもその流れを説明し、通院回数が多くなることをご理解いただくようにしています。できれば治療が終わった後で、「ちょっと楽しかったな」ぐらいに思ってもらえたらいいですね。そして、悪くなってから来院するのではなく、定期的に通っていただくことで悪くなる前に治療する、というサイクルが作れたらいいなと思います。
開院して約半年たちますが、理想の歯科医院に近づいていますか?
思っていた以上にご高齢の患者さんも来てくださっており、少しずつでも地域の方に親しんでいただけるとうれしいですね。皆さんとてもお元気で、歩いて通って来られる方も多く、庭でとれた柿とか、置物や絵などご自分で作ったものを持って来てくださることもあるんです。とても温かい方が多いですね。当院は、靴のまま、ベビーカーをたたまなくてもそのまま入ることができるようにバリアフリー設計にしています。子ども専用の待合室やキッズルーム、おむつ替えスペースも用意するなど、女性や子ども目線で考えていますが、ある時男性の患者さんが「ユニットに靴を脱いで上がった後、靴ベラがないと不便だから」と、靴ベラを3本持って来てくださったことがあったんです。そんなふうに自分では気づけなかった部分を教えていだたくことも多く、ありがたいなと思っています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

地域の皆さんに「あそこに行ったら安心」と思ってもらえるような歯科医院にしたいですね。父のように幅広い年齢の方に来ていただけて、特にお子さんの健康に貢献できるような歯科医院にしたいと思っています。小さいお子さんの場合、治療で泣いてしまうのは仕方がないことだと思いますし、診療室は半個室になっていますので、気にしないで来院いただきたいと思います。保育士の資格を持つスタッフがおりますので、保護者の方の治療の際やご兄弟で順番に診療する場合も安心して預けていただけると思いますよ。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正:矯正前検査 5500円
検査説明 5500円
基本料金 55万円
毎回診察料 5500円