八木 正聡 院長の独自取材記事
やぎ歯科医院 口腔外科
(大田区/鵜の木駅)
最終更新日:2025/09/01

鵜の木駅から徒歩4分、閑静な住宅街に佇む「やぎ歯科医院 口腔外科」。3面を窓に囲まれた院内は、自然光が差し込む明るく清潔な空間で、車いすやベビーカーでもスムーズに移動できるバリアフリー設計となっている。院長を務める八木正聡(まさとし)先生は、口腔外科を専門とし、大学病院や専門機関で扱うような難しい症例にも対応できる体制を、地域に根差したクリニックで実現することをめざす。一人ひとりの生活背景まで含めて診る「全人的な診療」を大切にし、「幅広い世代の口腔内の健康を守り、地域医療の維持・安定に貢献していきたい」と語る八木院長。今回は、同院の特徴や診療にかける思い、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年7月2日)
地域住民の口の健康を支えたい
まず、歯科医師を志した理由を教えてください。

神奈川県秦野市で産婦人科を開業していた父の背中を見て育ったことが、医療の道を志す原点になりました。365日24時間体制で地域医療に尽くす姿は、幼い私の脳裏に強く焼きついています。社会福祉に長く携わった母や、大学の学長や教授を務める親族の存在もあり、自然と「先生」と呼ばれる仕事に就くことを意識するようになりました。そのなかで私自身が惹かれたのは、「病院という現場で、患者さんの役に立てる仕事」です。鶴見大学の歯学部を卒業後、病院の口腔外科を専門分野として、複数の大学病院や総合病院で経験を重ねた後、2023年に当院を開業しました。2017年に父が亡くなる直前、「患者さんの話をしっかり聞いて、しっかり頑張れよ」と声をかけてくれました。その言葉を胸に刻みながら、日々誠実な診療を心がけています。
クリニック名に「口腔外科」と掲げたのは、どのような想いからですか?
大学卒業後、長年にわたり口腔外科分野の診療に携わってきた経験を生かし、地域の方に質の高い外科的処置を提供したいという想いから、「口腔外科」をクリニック名に掲げました。一般的な虫歯や歯周病などの治療に加えて、親知らずの抜歯や外傷歯の治療、顎関節の不調、粘膜疾患など、お口に関わるすべての症状に対応できる体制をめざしています。また、病理検査が必要と判断される症例については、提携する病院に速やかに検査を依頼することが可能です。「大きな病院に行かないと難しい」と思われがちな治療も、地域のクリニックで完結できる場合があることを、ぜひ知っていただけたらと思います。
クリニックのコンセプトについてお聞かせください。

当院のコンセプトは、年齢を問わず、お子さんからご高齢の方まで幅広くお口の健康を支えることです。そのためには、誰もが通いやすく、安心して受診いただける環境づくりが欠かせないと考えました。設計段階では「院内移動のしやすさ」に特にこだわり、バリアフリー設計を採用。足元に不安のある方や車いすの方、ベビーカーをご利用の方にも配慮しています。また、建物の3面がガラス張りという利点を生かし、外光が差し込む明るく開放的な空間づくりにも注力しました。圧迫感を感じにくい診察スペースは、患者さんの緊張を和らげるだけでなく、スタッフの動線にもゆとりがあり、安全な診療にもつながっています。すべての世代の方にとって、安心して通い続けられる存在でありたいと願っています。
「その人全体」に向き合う診療を大切に
地域の印象や患者層について教えてください。

当院のある大田区は、下町の温かさを残しながらも、落ち着いた雰囲気のベッドタウンとして発展しており、とても暮らしやすいエリアだと思います。都心へのアクセスも良好で、どこへ行くにも30分から1時間ほどと利便性に恵まれています。患者さんの年齢層は幅広く、お子さんからご高齢の方まで、さまざまな世代の方にご来院いただいています。中でも親知らずの抜歯については、口腔外科を専門としていることもあり、近隣はもちろん、遠方のクリニックからご紹介をいただくこともあります。そうした患者さんは、事前に抜歯の必要性について説明を受けていることが多く、私自身も治療内容をある程度想定した上で準備を整えられるため、スムーズに診療を進めやすいと感じています。
クリニックの強みは何ですか?
当院では、基礎疾患をお持ちの方の抜歯にも対応しています。その際には心拍数や血圧、体温などを継続的に管理する必要があるため、生体管理モニターを導入しました。病院の歯科口腔外科では一般的な設備であり、私にとっても「これがなければ安心して処置に臨めない」と感じるほど、必要不可欠な存在です。有病者の方がわざわざ大きな病院まで足を運ばずとも、専門的な処置を当院で完結できる体制を整えることで、患者さんやご家族に安心していただけたらと思っています。また、お子さんや歯科恐怖症の方に対しても、できるだけ負担の少ない麻酔法を取り入れるなど、安心して治療を受けていただけるような工夫を大切にしています。
患者さんと接する際にどのようなことを心がけていますか。

歯科診療では「一口腔一単位」という考え方が大切になります。つまり、1本の歯だけを診るのではなく、口全体の状態を診るという視点です。さらに口腔外科の分野では、口腔だけでなく「その人全体」を診ることが求められます。体調や病状はもちろん、ライフスタイルや年齢、治療に対する考え方なども踏まえて診療を行うようにしています。例えば、会社勤めをしているのか、主婦の方なのか。同じ職業でも、昼間働いているのか夜勤があるのかによって生活リズムは大きく異なります。そのため、一人ひとりに合わせて治療がベストな形になるよう努めています。診療の際には、生活背景などについてさまざまな質問をさせていただくことがありますが、すべてはより良い治療をめざすためとご理解いただけると幸いです。
「慈愛の心」で寄り添い、「結果」で応える
学生時代に得られた学びについて教えてください。

大学時代にはラグビー部に所属していました。そこでの経験は、さまざまな面で現在の私の支えになっていると感じています。チームの一員として自分の役割を考え、全力で努力しても、すぐには結果が出ない場面も多くありました。それでも「やり遂げなければならない」「やり抜くことでしか結果にはつながらない」という姿勢を学び、精神的な強さを育むことができたのは、ラグビー部での経験があったからこそだと思います。一方で、母が長年社会福祉の仕事に携わっていた影響もあり、「慈愛」という言葉の持つ力を強く意識するようになりました。一見すると相反するようにも思える「たくましさ」と「優しさ」の両面を生かしながら、地域に根差した医療に貢献していければと考えています。
今後力を入れていきたい治療はありますか?
マウスピースの作製、特にスポーツマウスガードの普及に力を入れていきたいですね。コンタクトプレーの多いスポーツでは、歯や口腔内を保護するためにマウスガードを用いることで、口腔内の負傷の心配も減り、思いきり実力を発揮できるでしょう。私自身もラグビーの経験がありますので、歯科医師としての視点と、プレーヤーとしての体験の両面を生かし、競技や個人に合わせたアドバイスができればと思っています。また、今後は訪問診療にも対応していく予定です。通院が難しい方のもとへこちらから伺うことで、地域医療に貢献したいと考えています。さらに、治療後の再発を防ぐには予防ケアも欠かせません。定期的なプロケアに加え、歯磨きなどの日常のセルフケアについても丁寧にお伝えし、長くお口の健康を保てるようサポートしてまいります。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

世の中にはさまざまな医療情報があふれていますが、「親知らずの抜歯」に関しては、まだ十分に伝わっていないことも多いと感じています。私の見解としては、可能であれば若いうちに親知らずを抜いておくことをお勧めしています。年齢を重ねるほど回復には時間がかかり、高齢の方の場合は入院が必要になるケースも少なくありません。もちろん、すべての親知らずが悪さをするとは限りませんが、リスクを理解した上で選択肢を考えることが大切です。抜歯に限らず、お口の中に気になることや不安がある際には、どんなに小さなことでも構いません。どうぞお気軽にご相談いただければと思います。一人ひとりにとって最適な治療につながるよう、丁寧で誠実な診療を心がけてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはスポーツマウスガード/8000円~
※詳細はクリニックまでお問い合わせください。