勝野 朋幸 院長の独自取材記事
勝野内科クリニック
(西宮市/夙川駅)
最終更新日:2024/02/08

阪急神戸本線夙川駅。有名ベーカリーなども点在する洒落た街並みのエリアだ。そんな夙川駅前すぐにオープンしたメディカルビル1階にある「勝野内科クリニック」。広々とした明るいフロアに、隣接する薬局とともにある。全バリアフリーの院内は、ゆったりとした空間の造りになっており、車いすのままでも余裕をもって診察室や処置室に入れるように設計されている。トイレの中の手すりの位置や、椅子の幅・高さ、配置場所、ものを置く高さなど、スタッフらによる細かな視点で整えられた院内は、患者の安全や心地良さを追求し、配慮されているのがよくわかる。この場所での開院の決め手も、患者の通いやすさだったという。患者を中心にと考えている勝野朋幸院長に、開業までの経緯や今後の展望など話を聞いた。
(取材日2024年1月27日)
患者が安心して通える場をつくりたい
まずは開業された経緯をお聞かせいただけますか?

医師になり30年弱。長く大学病院で勤務してきたのですが、ここ数年の感染症の流行で大学病院での診療は、少し患者さんとの距離が遠くなった、と感じていました。大学病院には大学病院の役割があり、その診療体制に納得しているつもりでしたが、例えば10年来診させていただいている患者さんが発熱で来られた場合、まず発熱者専用の外来を受診していただき、その後ようやく自身で診察ができるとか、一旦近隣のクリニックで診ていただいてから、とか。特に開業医の先生方に助けていただく場面がすごく増えたんです。自分も年を重ねる中で、あとどのぐらい医師としての役割を全うできるのか、自分の医者人生の残された時間の中で、どんな診療をしたいのか、ということを改めて考えたときに、「もっと患者さんに近い距離で接したい」「必要な人をすぐ診ることのできる環境で、診療をしたい」という原点を思い出し、今回の開業に至りました。
どのような患者さんが多いのでしょうか?
開業してまだ3ヵ月ですが、いろいろな方が来てくださって本当にありがたく思っています。今は、大学病院で担当していた糖尿病患者さん、兼業して勤務していたクリニックで担当していた糖尿病患者さんが、引き続き来てくださっていることが多いですね。新しい患者さんはまだ糖尿病の方は少なくて、発熱、消化器症状、めまいなどの方が多い印象です。今インフルエンザやコロナが流行していますが、通常のかかりつけ医の先生のところが混雑していてなかなか診てもらえないので、当院に初めて来ました、という患者さんも少なくありません。「はじめまして」の方にも頑張って信頼していただいて、その後継続して通院いただける地域の皆さんのかかりつけ医として根差していけたらと思っています。
清潔感があって、とても落ち着く院内ですね。

ありがとうございます。明るい雰囲気の空間のほうが、患者さんもいらっしゃりやすいでしょうし、待ち時間なども心地良く過ごせると思いますので、採光や内装にも気を配りました。また、私の専門は糖尿病内科なのですが、11月14日は世界糖尿病デーとなっていて、世界各地で糖尿病の予防、治療、療養を喚起し、日本でも各地で著明な建造物をブルーにライトアップして街頭での啓発活動が実施されています。ブルーは糖尿病のシンボルカラーとされているので、院内にもブルーを多く取り入れました。あとは、スタッフがとてもこまやかにいろいろなことを考えてくれて。車いすの方でも院内を移動しやすいように、椅子やものの配置を工夫したり。トイレの手すりの位置や、椅子の幅や高さなども、どなたにとっても使いやすいようにと考えてくれました。おかげで安全で安心なバリアフリー空間にできたのではないかと思っています。
困り事に寄り添い、いつも明るく迎え入れる
機器類など、開業にあたりこだわられたポイントはありますか?

クリニックレベルで対応が難しい患者さんは、迅速に専門機関や総合病院など適したところに橋渡しをしますが、当院でもできる限りの診療をしたいと考え、必要な機器類をそろえようと思っていました。当院では、エックス線、心電図、腹部エコー、頸動脈エコーの検査をすることが可能です。患者さんを無理に抱え込むことなく、必要なときには、素早く他院と連携するためにも、きちんと判断材料をそろえて適切に対処できるように、ということを心がけています。そのほかにも、糖尿病の患者さんは免疫力が下がっている状態の方が少なくないですし、ご高齢の患者さんも多くいらっしゃることもあり、感染症対策には注力しています。発熱の外来は動線を分けるなどして、発熱以外で来院している方にも安心して受診いただけるような体制づくりを心がけています。
フットケアに力を入れていると伺いました。
はい。フットケアは開業したら力を入れていきたかったことの一つです。幸い良いスタッフに恵まれて、その願いが実現していてとてもうれしいです。糖尿病の患者さんにとって、フットケアはとても大切なものですが、糖尿病の方だけではなく、ご高齢の方が認知機能を保ち、元気に生活していただくためにも足腰の健康はとても大切で、フットケアの必要性はこれからますます高まっていくと思います。もちろん、当院は皮膚科ではないので、基礎疾患と併せての診察・対応となりますが、もし、爪や足のトラブルで通院が途絶えてしまったなど、お困りの方がいたら、相談のためにご来院いただくことも可能です。困っている方にはできる限り寄り添いたいと思っています。
スタッフの皆さんも明るくて、笑顔がすてきな方ばかりですね。

ありがとうございます。本当に自慢のスタッフなんです。受付のスタッフさんは、いつも明るく丁寧に対応してくれていますし、看護師さん2人も糖尿病の知識が豊富で患者さんのことを大切に考えてくれて、いつも前向きに診療を支えてくれています。クリニックという所は、具合が悪いときに来ることが多い場所なので、やっぱり明るい雰囲気のほうがほっとして来院しやすいと思っています。私自身は、笑顔を心がけてはいるものの、元気はつらつ、というタイプではないものですから、私の分も、スタッフのみんなが患者さんを明るく迎えてくれているのが本当にうれしくて、心強くて、いつも感謝しています。
健康と安心を支えるための街のかかりつけ医として
診療で大切にしていることを教えてください。

患者さんが通いやすい場所、話しやすい場所でありたいなということをいつも思っています。診療の最初と最後に「困っていること、心配していることはありませんか?」と伺うようにして、できる限り患者さんの声をしっかり聞きたいと思っています。ご高齢の方の場合は「大丈夫」と言って、あまりご自身のことを語らない方と、不安の大きい方にわかれるような気がしますね。ご本人の見立てと、ご家族の見立ては少し異なることもあるので、可能であれば、たまにはご家族の方にも付き添いいただいて、お話を伺えたらな、と思ってお声がけしたりもしています。患者さんご自身はもちろん、ご家族の皆さんの不安を解消できるような診療ができたらいいですね。
開業してみて、今、感じられている課題などはありますか?
1番は「開業医としての在り方」を学ぶことでしょうか。ずっと大きな病院にいたので、開業してから今までより近い距離感で患者さんに接することができるようになって、うれしいと同時に戸惑うことも少なからずあるんです。多くの開業医の先生がしてこられたような、上手な患者さんへの寄り添い方というのを学んでいる最中ですね。それから、ご高齢の患者さんたちとお話をしていると、独居の方が多いことを改めて実感します。今は外来のみなのですが、今後は往診のニーズなども増えてくるのかなと感じるので、そのあたりも考えていかなければならないと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

ここで診療させていただいていることに本当に感謝をしています。患者さんも診療に協力的な方が多くて、いつも助けられています。医師としてのキャリアは長いですが、開業医としてはまだまだ新米で、学ぶことも多い毎日ですが、そんな中でも、今できることをしっかり積み重ねていきたいと思っています。患者さんの役に立てる、患者さんやそのご家族の方の安心を支えることができるようなかかりつけ医でありたいなと思っています。それと、糖尿病治療を得意としておりますのでの、糖尿病の患者さんにもたくさん来てほしいです。皆さんのご来院をお待ちしております。