所 利惠子 院長の独自取材記事
ところ内科クリニック
(堺市東区/初芝駅)
最終更新日:2024/08/09

堺市東区の住宅街にある「ところ内科クリニック」。以前同じ場所にあった山尾内科クリニックの後を継ぎ、2023年10月に新たに開院した。大きな窓から光が差し込む明るい待合室の先で迎えてくれたのは、優しく穏やかな雰囲気をまとった所利惠子院長。内科・消化器内科の医師として研鑽を積んだ後、訪問診療にも従事し、その後介護老人保健施設の施設長を経て現在に至る。これまでの経験を生かし、開院後は内科での診療の他、各種健康診断や上部内視鏡検査、訪問診療にも対応している。「病気の治療だけでなく、心身の健康を促進できれば」と、地域交流カフェの開催やリラクゼーションの導入にも積極的に取り組み、新しい形のクリニックをめざす院長に、同院の特徴や今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2024年6月3日)
地域のかかりつけ医として、心のこもった診療を
病院の待合室というより、家庭のリビングような雰囲気ですね。

はい。患者さんに家庭で過ごしているようなホッとする場を提供したいと思い、木目を取り入れた温かみのある待合室にしました。皆さんおうちのリビングでは、お茶を飲みながらリラックスして過ごされますよね。それをイメージして、当院でもゆったりとくつろいでお過ごしいただけるよう、待合室には掲示物を置かず、コーヒー・紅茶・お茶やキャンディーをご用意して患者さんをお迎えしています。また、空間だけでなく、内面的な部分でもおもてなしの心を大切にしたいと思っています。当院のスタッフは私と同世代で、長年一緒に医療に携わってきたメンバーでもあります。温かく優しい人柄のスタッフばかりで、何でもお聞きしますよという姿勢で患者さんに接してくれています。
設備面では、バリアフリーや発熱患者さんの外来診療の導線にも配慮されたとか。
患者さんの平均年齢が70歳前後なのですが、車いすを使われているなど体が不自由な方でも安心してご来院いただけるよう、院内はすべてバリアフリー設計です。発熱患者さんの外来診療に関しては、入り口から導線、トイレに至るまで、一般の外来患者さんと空間を隔てていますので、お熱のある方とそうでない方が同時に同じ空間にいることはありません。一般の外来診療や予防接種の患者さんには、院内での感染を心配することなく受診していただけます。発熱がある場合も、待合室に入れる人数が限られているためお車での待機をお願いすることはありますが、お断りすることなく診療させていただきますので、安心してお越しください。
先生のこれまでの経歴や開院に至る経緯を教えてください。

大阪医科大学を卒業後、奈良県立医科大学第三内科や中核病院などで経験を積み、訪問診療にも長年従事していました。その後、介護老人福祉施設の施設長に就任したこともあり、患者さんのご家族とも深く話す機会が増えまして。介護の悩み、ご家庭の事情、お子さんのことなど、ご家族が抱えていらっしゃるさまざまな悩みにふれ、もっと幅広い世代の方の健康もサポートしていきたいと思うようになりました。地域のかかりつけ医として、プライマリケアからターミナルケアまで、つまり、身近で何でも相談できるところから介護の予防や終末期医療まで、周辺地域の方々の健康を総合的に支えていきたいと思っています。
内科、内視鏡検査、訪問医療の3つの柱で患者を支える
どのような患者さんがお越しになりますか。

女性の患者さんの割合が多く、全体の6~7割を占めていますね。学生さんからご高齢の患者さんまで、幅広い世代の方にお越しいただいています。風邪などの身近な病気から高血圧症・糖尿病といった生活習慣病など、症状もさまざまです。消化器内科の分野では、腹痛や胃腸炎といった胃腸の病気でお越しになる方も多いですね。内科と消化器内科で幅広く診療ができますので、健康診断で異常が見つかった方や、近隣の医療機関からの紹介の方もいらっしゃいます。また、私の専門外の治療が必要な場合には、他院への紹介もさせていただきますので、どんなお悩みでも気軽にご相談いただけたらと思います。
こちらで健康診断を受けることも可能だと伺いました。
はい。上部内視鏡、超音波検査装置、心電計、エックス線検査装置など検査機器を充実させていますので、堺市の特定健診や胃がん検診などもお受けいただけます。また、胃の痛みや不調でご来院された場合にも、必要に応じて上部内視鏡検査を行います。内視鏡検査というと痛い、苦しいといった経験や印象を持たれている患者さんも多いのですが、当院では身体的負担の少ない外径5mm程度の細径内視鏡を使用し、鼻からの挿入を基本として、お体への負担に配慮しています。全身麻酔も不要ですので、お一人で自動車や自転車でお越しいただいても、そのまま運転してお帰りいただけます。
先生は訪問診療にも力を入れていらっしゃると伺いました。

介護施設の施設長を担っていた経験から、施設に入所するまでの期間に訪問診療は必要だと強く感じていました。また、以前勤めていた病院でも訪問診療を中心に従事し、開業後も訪問診療に携わりたいと思っていました。訪問診療は病気の治療だけが目的ではありません。お一人での通院が困難な患者さんのご自宅を訪問し、転倒や寝たきりの予防、肺炎や床ずれなどの予防、栄養状態の管理など適切な医療を提供し、入院が必要な状態を未然に防ぐことも重要な役割です。患者さんご本人だけでなく、ご家族からのご相談にも対応させていただきます。まずは堺市の地域包括支援センターにご連絡ください。
病気を治療するだけではない、癒やしの空間をめざして
第1回地域交流カフェ「みらいカフェ」を開催されたとお聞きました。

はい。地域の皆さんでお茶を飲みながら、健康・介護・美容など未来について考えてみましょうという企画で、当院の待合室を利用して開催しました。数十人の方がお集まりくださり、みんなで介護予防体操や認知症クイズ、リラクゼーション体験などを楽しみました。私も料理が好きなので、手作りのシフォンケーキを用意し、飲み物と一緒におもてなしさせていただきました。とても楽しかったですよ。介護施設にいた時もレクリエーションを考えるのが好きだったので、その時の経験が生きていると思います。皆さんにもたいへんご好評いただき、第2回以降の開催も予定しています。クイズ以外にも、エコバッグ作りなどの手芸や、さまざまなレクリエーションを取り入れていきたいですね。
第2回も楽しみですね。また日頃から診療だけでなく、リラクゼーションも意識されているとか。
現代を生きる皆さんは、勉強や部活動、仕事、家事、育児、介護、睡眠不足などさまざまなストレスや疲れを抱えていらっしゃいます。また、肩凝りや腰痛といった慢性的な痛みに悩まれる方も多いです。病気じゃないけれど体がつらい、そういった症状を癒やすための方法はないかと模索する中で、リラクゼーションの要素をクリニックに取り入れることが心身のケアにもつながるのではと考えるようになりました。予約制での取り組みのほか、待ち時間や診察終わりに気軽に利用していただけるリラクゼーションを提供し、それが患者さんの心や体を癒やし、またちょっとした通院の楽しみにもつながっていくとうれしいです。
今後の展望についてお聞かせください。

患者さんの待ち時間の負担を減らせるよう、7月ぐらいをめどに予約システムを導入する予定です。また同月下旬には、慢性疾患や花粉症、ニキビといった問診で診断できる症状に関しては、オンライン診療を始められるよう準備を進めています。それに伴い、カード決済や電子処方箋の発行も可能になり、お薬もお近くの薬局でお受け取りいただけるようになります。通院の負担を減らすことができますので、若い方だけでなく、ご高齢の患者さんにもぜひご活用いただければと思います。オンラインと聞くと難しそうと思われるかもしれませんが、ご来院いただいた際に丁寧に説明もさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
最後に読者へメッセージをお願いします。
アットホームな雰囲気で患者さんにくつろいでいただけるようなクリニックでありたいと思っています。何でも相談できる親しみやすさを心がけ、ご自身の症状だけでなく、ご家族皆さんの健康まで幅広くサポートさせていただきます。今後は予約システムやオンライン診療を導入し、より便利に、気軽に受診していただけるようになりますので、そちらもどうぞご活用ください。リラックスして過ごせる空間とおもてなしの心でお迎えいたします。