喉の腫れは甲状腺疾患のサイン?
耳鼻咽喉科に相談するメリット
藤巻耳鼻咽喉科医院 行徳分院
(市川市/行徳駅)
最終更新日:2025/03/17


- 保険診療
この頃、喉の辺りが腫れているような気がする……という時、甲状腺疾患の可能性もゼロではない。女性に圧倒的に多く、20代、30代でも罹患する疾患でもある。心配ならば耳鼻咽喉科の相談するのも一つの方法だ。意外に思う人も多いかもしれないが、耳鼻咽喉科は、耳・鼻・喉だけを対象とすると思われがちだが、頭頸部外科疾患も領域とする診療科だ。そもそも、喉や首の病気も診療範囲としているのだ。特に大学病院の頭頸部外科で甲状腺疾患の手術を数多く手がけてきた、「藤巻耳鼻咽喉科医院 行徳分院」の藤巻充寿院長ならば、安心して任せることができるだろう。同じビルの中にある内分泌を専門とする内科クリニックとも緊密に連携しているという藤巻院長に、甲状腺疾患について詳しく聞いた。
(取材日2024年11月29日)
目次
甲状腺疾患は手術に至るケースも多いので、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に相談を
- Q甲状腺疾患にはどのような自覚症状がありますか。
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A
▲専門機器がそろい、清潔な診察室
甲状腺疾患は首の腫れで気づく人も少なくありません。良性の甲状腺腫瘍、甲状腺がん、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症、橋本病などの甲状腺機能低下症いずれにも見られる症状です。その他、バセドウ病ならば動悸・イライラ・眼球突出、橋本病ならば倦怠感・不安感・脂質異常症などがあらわれることもあります。うつ病、更年期障害、認知症、脂質異常症の治療をしていても改善が見られないようならば、橋本病の可能性も考えられますので、一度甲状腺ホルモン値を検査することをお勧めします。その他、甲状腺が一時的な炎症が起こす亜急性甲状腺炎との診断が多いと実感していますが、バセドウ病や橋本病のように一生続くものではありません。
- Q甲状腺疾患を発症する原因はありますか?
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A
▲丁寧な触診でしこりの有無を確認
原因はこれといってありません。患者さんの大部分が女性なので、強いていえば「女性であること」ともいえるかもしれません。遺伝的要素が大きいので、バセドウ病や橋本病の家族歴がある方は注意してください。バセドウ病は20代から30代の女性に比較的多く見られる病気で、服薬は妊娠・出産・授乳に大きな影響を与えるため甲状腺摘出が推奨されることもあります。一方、橋本病は自己免疫異常が原因ですが、なぜ自己免疫異常が起きるのかは解明されていません。ただ、自己抗体を持つ橋本病予備軍は存外多いことがわかっています。発症まで至っていないとしても、誰にとっても身近な病気といえるでしょう。
- Q甲状腺疾患の検査や治療について教えてください。
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A
▲検査や治療法について真剣に語る
甲状腺疾患の検査としては、主に血液検査と甲状腺超音波検査があります。血液検査では甲状腺ホルモンの血中濃度を調べ、甲状腺超音波検査では甲状腺の腫れや腫瘍の有無を確認します。腫瘍があれば超音波ガイド下で細胞を採取し、顕微鏡で良性か悪性かを調べるための細胞診に進み、要手術と診断されることもあります。バセドウ病や橋本病は服薬治療を行いますが、水がたまる甲状腺嚢胞ができることも多く、穿刺・吸引治療を行うこともあります。当院は同じビルの中にある内分泌専門の内科クリニックと緊密に連携しているので、複雑な症例にも対応可能です。
- Q耳鼻咽喉科でも甲状腺疾患を相談できるのですね。
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A
▲エコー機器も備え、安心安全な診療を心がける
耳鼻咽喉科では頭頸部外科の領域も扱い、喉や首の疾患も診療対象としています。私自身、順天堂大学医学部附属順天堂医院で甲状腺疾患に対する外科治療に長年にわたり携わってきました。実際、甲状腺疾患は手術が必要となる例も多々あります。腫瘍はもちろんバセドウ病でも手術適用となる例はあるので、適切な判断ができる頭頸部外科の研鑽を積んた耳鼻咽喉科の医師のもとを訪ねるメリットは大きいとのではないでしょうか。手術を要する患者さんには順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センターなどを中心に専門施設を紹介することもできます。
- Q甲状腺疾患を予防することはできるのでしょうか。
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A
▲症状との付き合い方を伝え、患者の生活を守っていく
予防は難しいかもしれません。しかし、例えばバセドウ病や橋本病になったとしても、日常生活の制限が多いわけではないんです。昆布など甲状腺ホルモンの合成に関わるヨウ素を含む食品の過剰摂取を避けるくらいでしょうか。ただし、生涯にわたって経過観察していく必要があるので、定期通院は欠かさないようにしてください。耳鼻咽喉科だからこそ花粉症やアレルギー性鼻炎なども併せて診ることもできますし、のどの痛みから風邪と思い込んで来院してみると、甲状腺疾患と診断されることもあります。今後、ますます診診連携も進めていく予定ですので、糖尿病などの生活習慣病を患われている方もご相談ください。