工藤 紗也子 副院長の独自取材記事
ことり歯科クリニック
(高崎市/北高崎駅)
最終更新日:2024/07/09
北高崎駅から車で約7分、住宅街を抜ける県道28号沿いに2023年4月に開院した「ことり歯科クリニック」。工藤洋院長と工藤紗也子副院長が夫婦二人三脚で、家族みんなで通える歯科クリニックをめざして診療を行っている。健康に過ごすためには自分の歯でおいしく食べることが重要だと考え、できるだけ歯を残す治療に注力。また、0歳からの小さな子どもの診療に対応しているのも特徴だ。生涯自分の歯で食べて健康に過ごすためには、小さい頃からどのようなことに気をつけていけば良いのか。自らも2児の母であり、主に赤ちゃん・子どもの診療を担当する紗也子副院長に聞いた。
(取材日2024年4月26日)
生涯自分の歯でおいしく食事できるための診療を
こちらの診療の特徴を教えてください。
家族みんなで元気に食べたり話したりできることをめざして、赤ちゃんからご高齢の方まで、家族で通っていただけるクリニックをめざして開院しました。歯科医師2人体制で診療を行っており、基本的に、院長の洋先生は大人の診療を、私は主に赤ちゃんと子どもの診療を担当しています。大人の治療は、虫歯治療をはじめ一般歯科や予防歯科、インプラント治療、マウスピース型装置装置を用いた矯正などの矯正歯科、ホワイトニング、審美面に配慮した治療などを行います。また、つわりで歯がうまく磨けない、ストレスで噛んでしまうといった出産前後に起きる問題に対応するマタニティーの外来も設けています。赤ちゃんや子ども向けに、治療や矯正だけでなく離乳食や食べ方などについてのアドバイスを行えることも特徴です。私は火曜と木曜を中心に勤務していますので、ご指名いただく場合には予約が必要ですが、ご希望に応じて診療後にご相談に乗っています。
どのような患者さんが多いですか?
年代も主訴もさまざまです。全体ではもちろん大人の患者さんが多いのですが、0歳児から3歳児くらいまでの患者さんも多いのは当院の特徴かなと思います。ご家族皆さんで来られている方が多いですね。当院では食事へのアドバイスにも力を入れており、離乳食相談も実施していますので、赤ちゃんの食事がうまくいかなくてその理由が知りたいというご相談もありますね。また、保護者の方自身が歯並びに不安があったり矯正をした経験があったりと、口腔環境への関心が高い方はお子さんのために早めに受診される印象です。当院のSNSを見て来院される方も多いようです。
治療方針をお聞かせください。
洋院長は歯の神経を守るための⻭髄温存療法の専門家として、できるだけ生きた歯を残す、つまり神経を残す方針で診療しています。歯の中には神経と血管が走っているので、神経がある生きている歯は強くて折れにくいんです。逆にいうと、神経を取ると歯は弱くなりますから、治療ではできるだけ残したいと考えているんです。神経を残すために少しずつ歯を削っていくのは正直時間がかかりますが、それでも慎重に削ってそれ以外のところをなるべく残すようにと努めています。また、私が担う赤ちゃんと子どもの診療では、口周りの筋肉に着目し、将来を見据えて筋肉が正しく育つようなアプローチを行うことが治療方針です。間違った口の使い方の癖などに対して知識をお伝えし、子どもの歯を守るためのお手伝いができたらと思っています。
赤ちゃんの診療では口元の筋肉に着目。離乳食の相談も
0歳からの診療で特に口元の筋肉に焦点をあてたきっかけを教えてください。
以前の勤務先で、唇や顎が割れて生まれてきた口唇裂口蓋裂の患者さんを診ることが多く、口元の筋肉と顎の形や歯並びの関係について追究したことがきっかけでした。顎や歯は、口周りの筋力と舌の筋力が釣り合った位置に並びます。小さい頃から舌を突き出すような間違った癖があると、その間違った癖により歯並びも変わってしまい、噛むことにも影響します。筋肉が正しく育っていないと大人になってから改善をめざすことは難しいでしょう。ですから、幼少期のうちにバランスの良い筋肉を育て、正しい食べ方や飲み込み方を身につけ、間違った癖は正しいタイミングでやめたり直したりすることが、歯並びや、健康で長持ちする歯をめざすために大事だと考えています。
やはり0歳から歯科医院を受診したほうが良いのでしょうか?
何歳でもご心配なことがあれば受診していただければと思います。ただ、1歳半くらいになると歯がたくさん生えてきますし、保護者が歯磨きをうまくできていないなど、問題に思っていなかったことが原因で虫歯になることもあります。ですからそうなる前に一度来ていただきたいですね。先ほどもお話ししたとおり、離乳食相談もご希望される方に行っています。一般的な育児書には、月齢に合わせた離乳食の硬さなど基準が書かれていますが、お口の中の状況には個人差があります。歯が早く生える子もいれば遅い子もいますし、筋肉のつき方も違いますから、飲み込むという動作一つとっても一人ひとり違うんです。当院では月齢ではなく、歯の本数や筋肉のつき方によって食事の形態を変えるアドバイスも行っています。
それ以外では、どんなアドバイスがいただけますか?
最近は離乳食も進化して、やわらかいパウチ製品も出て便利になりました。またこぼさないで食べられるように一口サイズの離乳食や幼児食を用意する保護者の方が多いように感じます。一方で準備されすぎているために、自分の前歯でかじることで一口の量を知る経験が不足している子が多いと感じます。「詰め込み食べ」をしていてうまく噛めない、口が開けたままくちゃくちゃと食べてしまうなどの原因は圧倒的な食事の経験不足や食べ方の癖にあるので、離乳食を選ぶ時や準備の際に注意することなどをお伝えしています。既製品がいけないということではなく、ちょっとした心がけで子どものためにできることはたくさんあると知っていただきたいですね。また、舌で食べ物をまとめてから飲み込むことがうまくできない子は、舌をうまく動かせていない可能性があるため、舌を動かす訓練や、筋肉を育てるための食べさせ方のアドバイスも行っています。
家族そろって通える院内づくりにも注力
院内の設計でこだわったことはありますか?
広い年代の方が通えるように配慮しました。ヘルパーさんと一緒に車いすで来られる患者さんや、ベビーカーを車に乗せて来院する方もいらっしゃるので、楽に乗り降りできるよう駐車スペースにゆとりを持たせています。院内も車いすやベビーカーごと入れるように、バリアフリーの環境です。小さな子ども連れの患者さんが治療を受ける場合、お子さんはベビーカーに乗ったまま患者さんの隣で待つこともできますし、キッズルームで遊んでいることも可能です。また、6つある治療ブースのうち1つは、お子さんが保護者の膝の上に座ったり寝転んで歯磨き指導ができるよう、診察台のないやわらかいマットのスペースにしました。
設備の他に、診療で配慮していることはありますか?
小さいお子さんの場合、歯科医院に慣れるまでに時間がかかり、すぐに治療できないことが多いので、なるべく怖く感じさせないように、治療ブースをかわいらしくデザインするなどの工夫をしています。1歳でも虫歯の治療ができる子もいますが、怖がって泣いたりする子もいます。そういう時は、親御さんから恐怖心を和らげるような言葉をかけていただくなど、協力してもらうこともありますね。家族みんなで来ていただいたり、保護者の方が私たちを信頼してくださったりしていると、お子さんも安心するようです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
よく噛めるようになって食事をおいしく食べられ、元気になっていただけるようにとの思いで治療しています。私たち自身が食べることが好きなこともあり、皆さんの「食べること」について手助けして、全身の健康につなげたいと願っています。長く通っていただき、虫歯がなくてよく噛める、家族全員よく食べられるという状態になってもらえたらうれしいですね。自分では大丈夫だと思っていても、さまざまな方向から専門家のチェックを受けることで、自分では気がつかないトラブルや癖がわかる場合もありますので、ぜひ一度ご相談いただけたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/8万8000円~
インプラント 約35万円~
アライナー矯正 一期45万円~ 成人90万円~
ホワイトニング ホーム10回分 2万4000円 オフィス1回 1万2000円~