竹腰 信人 院長の独自取材記事
たけのここどもクリニック
(松原市/河内松原駅)
最終更新日:2023/10/31

松原市の松原新堂クリニックビル1階にある「たけのここどもクリニック」。2023年8月1日に開業したばかりの小児科・アレルギー科のクリニックだ。広く、清潔感にあふれる院内には、授乳室や電車が走るショールームを備え、小さな子どもやその親世代が通いやすいクリニックをめざしている。院長の竹腰信人(たけこし・のぶひと)先生は、明るく親しみやすい印象。「小児科医はお子さんの代弁者であるべきだと思います」と、語るように、診療においても「親だけでなく患者本人である子どもにとってどうか」という姿勢を大切にしている。日曜日も診療を行い、子育て世代を応援する竹腰院長に、開業に際しての思いや診療のモットーについて聞いた。
(取材日2023年9月21日)
子育て世代の支援がしたいと日曜も診療
ご開業おめでとうございます。クリニックの特徴について教えてください。

ありがとうございます。当クリニックの最大の特徴は、日曜診療を行っていることです。松原市は2歳以下のお子さんを持つ子育て世代が多いのですが、多忙な共働きのご両親は、どうしても平日にお子さんを受診させるのは難しいもの。そんな方々を支援したいという思いで日曜診療を行っています。「たけのここどもクリニック」の名前は、私の名字である「竹腰」の「たけ」から取りました。たけのこは縁起の良い食べ物ですし、「子どもがすくすくと育ってほしい」という意味も込められています。これまで私は大学の付属病院などの高次医療機関に勤務してきました。開業して感じることは、患者さんと接する頻度も多くなり、患者さんとの距離が近くなったということ。標榜科目は小児科とアレルギー科ですが、感染症では大人の方だけで受診してもらっても構いませんし、患者さんにとって気軽に相談できるクリニックでありたいです。
クリニックづくりで特にこだわった点はありますか。
授乳室はライトの色を調整できるので、小さなお子さんやお母さんにリラックスして過ごしていただけると思います。隔離スペースとして使うことも想定していて、発熱がある患者さんにはこちらで待機してもらうことで、一般の患者さんとなるべく接触しない工夫をしています。小児科クリニックではプレイルームを設置しているところが多いですが、あえて作りませんでした。多くの方が触ると清潔に保つのが難しいからです。最近は衛生面を心配されるご両親も多いですし、不安要素があるならいっそないほうがいいという考えです。その代わりに電車やおもちゃを飾っているショールームなどを設け、お子さんがなるべく退屈せずに過ごせるように工夫しています。
この場所で開業に至った経緯を教えてください。

私自身は堺市で育ったのですが、松原市は小さなお子さんをお持ちの子育て世代が多いこともあって、こちらで開業しました。最近は共働きの世帯が増えていて、子育ての負担が大きい環境になっていると思います。ですから、クリニックでの診療を通して、少しでも子育て世代を支援できたらという思いです。また世界的な感染症の拡大をきっかけに、発熱があると受診ができない状況が生まれました。その受け皿としても気軽に頼ってほしいという気持ちもあります。この場所に開業する決め手となったのは、私の理想とするクリニックの条件に当てはまったからですね。ベビーカーでも入りやすいように1階であること、ゆくゆくは祝日の診療も見据えて駐車場が広いこと、通いやすいように幹線道路が近いこと。今後の展開を見据えて良い物件にめぐり会えたと思っています。
小児科医は子どもの代弁者
診療のモットーを教えてください。

ご両親のご希望を聞くことも大切ですが、小児科医は子どもの代弁者であるべきだと思います。ですから、お子さんの視点に立って診療や治療をご提案することを心がけています。たとえご両親のご希望があっても、それが本当に必要なのか、大切なのかを考え、お子さんにとって最良の選択をするのが小児科医の役割ではないでしょうか。もちろんご両親のお話や要望にもしっかり耳を傾けますが、あくまでも小児科医は子どもの代弁者。その立場で、「なぜこの治療をするのか」をきっちりご説明して、ご両親にも納得していただくようにしています。
お子さんとのコミュニケーションの工夫はありますか。
お子さんの年齢によって対応も違いますが、緊張している子にはあえて距離を保ったり、様子をよく観察して接するようにしています。そうはいっても、嫌なことは嫌なので、例えば、注射だったらテキパキと終わらせて、頑張ったことをしっかり褒めてあげるのがコツだと思います。診療や処置を頑張ったお子さんにささやかなご褒美を用意しています。それを楽しみに来てくださるお子さんも多いですね。少しでも治療への不安を和らげて、なるべく楽しい気持ちで帰ってもらえたらうれしいですね。
力を入れている治療について教えてください。

乳幼児期は肌が荒れやすいので、スキンケア指導に力を入れています。男女問わず昔に比べて肌を気にするケースが増えてきました。小児科医のガイドラインでも重視するようになっていますし、困っているお子さんやご両親のお力になれたらと思います。当クリニックのアプリでは日々の肌の様子などを写真で記録できます。アプリを活用しながら、スキンケア指導をもとにご自宅でのケアも大切にしてほしいです。
スタッフや周辺のクリニックとの連携はいかがでしょうか。
まだ開業したばかりなのでスタッフの人数も少ないですが、熱意を持って仕事に取り組んでくれていて助かっています。想定よりも患者さんが増えているので、今後もスタッフやドクターの増員を考えています。複合テナントのクリニックビルということで、今後内科さんや整形外科さんが入ってくださった場合には、連携することで小児科クリニック単独ではできなかった検査や治療のご提案もできると思います。
診療内容や皮膚の記録にアプリを活用
医師をめざしたきっかけをお伺いします。

きっかけは祖父が亡くなったときに、「自分が病気を治してあげたかった」という思いから。高知大学医学部に進学し、学んでいく中で、次世代を担う子どもを診たいという気持ちから小児科を志すようになりました。実際に小児科医として診療していてとてもやりがいがありますし、すてきな職業だと感じますね。初めはつらい症状で受診されたお子さんが、治療を通して笑顔になっていくのを見られたとしたら一番うれしく感じます。
クリニックのアプリではどのようなことができるのですか。
専用のアプリで、予約とウェブ問診、診察券、診療の記録の機能があります。ウェブ問診は待ち時間の短縮にもなりますので、できるだけ記入をお願いしています。例えば、お子さんのことを一番よく知る保護者が付き添えない場合でも、しっかりとした診療ができるように、かなり詳しい内容になっています。さらに皮膚の写真を撮って記録する機能もあるので、言葉だけでは説明しにくいことも、診療の時に写真を見ながら一緒に確認しています。診療内容も記録されるので、ご自宅に帰ってから見返すこともできます。子育ての負担を少しでも軽減できたらいいと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

地域の皆さんにとって、気軽で親しみやすいクリニックをめざしています。今後は祝日も診療時間を設けたり、病児後保育の分院を出すことも検討しています。そうなるともっとドクターやスタッフが必要ですから、採用も積極的に行う予定です。理想は信頼できる皮膚科のドクターに来てもらって、もっと皮膚のお悩みやご相談に応じられる体制の構築。また、小児科医は感染症の患者さんを診ることが多いので、感染症が心配な症状がある場合は大人の方も受診していただいても結構です。提携している薬局もありますから、検査や治療薬をご希望の方はまずはご相談ください。