河島卓郎院長の独自取材記事

かわしま大人こども歯科クリニック

(東大阪市／八戸ノ里駅)

最終更新日：2025/04/23

近鉄奈良線・八戸ノ里駅から徒歩10分の医療ビル内にある「かわしま大人こども歯科クリニック」。同院は、東大阪で約10年間、地域医療に従事してきた河島卓郎院長が「まだまだ地域のためにできることがある」と、2023年8月に開業したクリニックだ。自身が父親となり感じた、幼い頃から予防歯科に携わる大切さを伝えたい、という思いからクリニック名に「こども」を冠したという河島院長。誰もが通いやすいクリニックをめざし、院内にはキッズスペースやバリアフリー対応の設備、プライバシーに配慮した個室などこだわりが光る。「体の健康は、口の健康から」をモットーに、地域の健康づくりに尽力する河島院長に、大切にしていることやクリニックの今後の展望について聞いた。

（取材日2024年2月7日／再取材日2025年3月24日）

クリニック名に込めたのは、父になって気づいた思い
幅広い年代にマウスピース型装置を用いた矯正を実施
信頼・納得して通えるクリニックをめざして

クリニック名に込めたのは、父になって気づいた思い

まずは、歯科医師をめざしたきっかけから教えてください。

昔から体が弱く、20歳頃までは年に数回高熱を出したり扁桃腺が腫れたりということを繰り返していました。髄膜炎にかかり、1週間入院したこともあります。医師にお世話になることが多かったので、医療に携わりたいと自然に思うようになり、長崎大学歯学部に進みました。卒業後は長崎で1年間研鑽を積んだ後、堺市にある香川新金岡歯科医院に入職。歯科医師の数が多いので、しっかりと指導してもらえると感じたこと、寮があったこと、大学の先輩がいたことも決め手になりました。生まれは福岡ですが、父親の転勤に伴い千葉、愛知、熊本など、子どもの頃から引っ越しを繰り返していたので、長崎から大阪という距離に抵抗はありませんでしたね。1年目から多くの症例を経験させてもらえたので、本当に感謝しています。

開業を決めた理由をお聞かせください。

2013年に香川新金岡歯科医院から香川花園歯科医院に移り、分院長を10年近く務めていました。そこで、全国的には子どもの虫歯は減っているといわれる中、虫歯で来院する子が多いことに驚きました。予防の意識が浸透しておらず「虫歯になってから治療すれば良い」と考えている保護者も多く、歯科医師としてまだまだできることがあると感じたのです。もともとまったく縁のなかった地域ですが、10年間関わってきた東大阪の方のために尽力したいと考え、開業を決めました。この場所を選んだのは、周辺にあまり歯科がなかったから。歯科の選択基準に「近いから」を挙げる人は多いといわれ、実際に「近くになくて困っていたから、良かった」というお声をいただいています。今まで歯の状態が気になっていたものの、距離を理由になかなか受診につながらなかった方が、気軽に通える場所になれればうれしいですね。

クリニックの名前には「大人」と「こども」が入っていますね。

歯科を選ぶときに「子どもでも診てもらえるのか」と悩まれる方は多いと思います。クリニック名に「こども」と入れることで、その不安を払拭できればと考えました。この思いに至ったきっかけは、分院長をしていた期間に息子が生まれたこと。私の父親は仕事で忙しく、一緒にいる時間が少なかったので、親になることへの不安を感じていたのですが、生まれてみると本当にかわいくて。休みの日には、朝から一緒にパンケーキを焼いたり、アーケードゲームを楽しんだりと、息子との時間を大切にしています。そうして自身の子どもと向き合う中で、早い段階から歯科医師として関わっていく重要性について深く考えるようになったのです。クリニックの名前には、多くのお子さんが通いやすいようにという思いを込めています。

幅広い年代にマウスピース型装置を用いた矯正を実施

クリニックでこだわったポイントを教えてください。

まずは大きなキッズスペースをつくったことです。丸太風のクッション材は、私が一つ一つ手作業で貼りつけました。お子さんに「治療を頑張ろう」と張りきってもらえるようにカプセルトイも用意しています。個室の処置室もこだわりの一つで、プライバシーの観点でも利便性を感じています。特に当院の場合はお子さんが多いので、泣いたり騒いだりという場面がどうしても出てきてしまいます。静かに落ち着いて処置を受けたい方からご希望があれば使っていただけますし、インプラントなどの手術をする場合にも役立てています。また機器設備にもこだわり、マイクロスコープを導入しています。80倍まで拡大できるので、精密な治療が望めることはもちろんですが、お口の中をモニターに映し出すこともできるので、患者さんの治療の納得感にもつながります。

マウスピース型装置を用いた矯正にも注力されています。

「矯正には興味があったけど、手間や見た目を考えるとできなかった。でもマウスピース型装置を用いた矯正ならできそう」といった患者さんは多いです。当院に来院する患者さんも20代といった若い方だけでなく、60代といった大人の方も少なくありません。やはり「見た目を美しくしたい」といったことが目的としては大半ですが、矯正は歯磨きのしやすさ、食べ物の詰まりにくさにつながったりと、虫歯予防や歯周病予防の面でも期待できます。また、この矯正はコンピューターが設計したマウスピース型装置を装着するため、どこの歯科医院で受けても同じと思っている方もいますが、実際はシミュレーションどおりに矯正が進まないことも少なくありません。当院では患者さんの歯を定期的に確認し、マウスピース型装置に修繕を施して理想の歯並びに近づけるようにするといった工夫もこまやかに行っています。

クリニックのめざすところを教えてください。

やはり一番はお子さんに、虫歯になるよりも前から歯を守る大切さを伝えていきたいということです。お子さんの治療をきっかけに、保護者にも予防の意識を持っていただければうれしいですね。実際にメンテナンスで通院される保護者の方は増えてきています。またクリニック内は全面バリアフリー設計で、待合室から治療室やトイレ、エックス線撮影室まで車いすのまま移動でき、そのまま撮影も行えます。新しくできた医療モールの中にあるので、駐車場や広々としたエレベーターも備わっています。めざすのは、お子さんから高齢の方まで、幅広い年齢層の方に気軽に通っていただけるクリニックです。また、仕事や育児で忙しい方から、休日に来院したいというニーズがあり、土曜日も18時半まで開業しています。地域の皆さんにとって、より利便性の高い診療を行っていきたいですね。

信頼・納得して通えるクリニックをめざして

先ほど「納得」というキーワードがありました。

治療を行うことも、予防のための定期的な来院も、患者さんに納得してもらわなければ実現しません。そこには、まず信頼関係が大きく関わってくると考えています。マイクロスコープやCTなどの機器を駆使しながら、歯の大切さを伝えることはもちろんですが、歯科衛生士の役割も大きいですね。歯の磨き方や歯周病の怖さ、普段の生活で気をつけることなど、歯科衛生士が一人ひとりに合わせた丁寧なフォローをしてくれています。チームで一丸となり、納得できる治療の提供や定期検診の啓発をしていければと思います。

患者さんともスタッフとも、大切なのは信頼関係ですね。

そうですね。これまでインプラント治療を数多く経験してきたので、技術には自信があります。とはいえ、やはり大きな手術なので、信頼関係がなければ選んでいただけません。子どもだけでなく、大人もまだまだ「クリニックは怖い所」と思っている方も多いので、接し方や丁寧な説明で「安心できる」「任せられる」と感じていただけるよう努めています。また、現在は成人用のマウスピース型装置を用いた矯正にのみ対応しており、お子さんの矯正をご希望される方には他院をご紹介している状態です。いずれは私自身がより高い技術を持って診療にあたる重要性を感じています。特にお子さんが多い地域なので、ニーズに合わせながら柔軟に診療の幅を広げ、患者さんとの信頼関係を築いていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

クリニックのモットーは「体の健康は、口の健康から」。長生きをする人が増えている中で、体が思うように動かなくなったときの楽しみは食事だと考えています。好きなものが食べられないのはつらいですよね。一生自分の歯で食べていけるよう、口から全身の健康のサポートをしていきたいと思っています。その重要性に小さな頃から気づいていただき、また通いたくなるような工夫も重ねています。ぜひ、ご家族で当院までご相談ください。