山本淳史院長の独自取材記事

やまもとファミリークリニック

(江南市／江南駅)

最終更新日：2024/11/08

江南駅からバスで約5分、パイナップルの愛らしいキャラクターの看板が目を引くクリニックがある。2023年8月に開業した「やまもとファミリークリニック」だ。院内は木のぬくもりと落ち着いたアースカラーを基調としており、見上げるほど大きいガラス窓からは明るくやわらかな光が差し込む。「気軽に話せる先生だと思ってもらえたらうれしいですね」と気さくに話す院長の山本淳史（やまもと・あつし）先生は外科出身だが、救急科外来の経験もあるという。現在はその経験を生かし、柔軟な初期対応ができる町のかかりつけ医をめざし診療にあたっている。今回は山本院長に開業の背景や力を入れている分野について話を聞いた。

（取材日2023年9月11日）

外科と救急科外来での経験を生かして地域医療に貢献
幅広い診療内容と充実の検査体制が強み
親しみやすく気軽に通える町のクリニックでありたい

外科と救急科外来での経験を生かして地域医療に貢献

まず開業のきっかけを教えてください。

20年以上外科の医師として病院に勤めていた中で、どんな症状でもすぐに診て相談に乗る身近な医師による医療、プライマリケアの重要性に気づいたからです。私が勤めていた病院は、救急科外来で24時間患者を受け入れ、外科でも緊急手術を頻繁に行っているような病院でした。急な病気や事故以外に、近所のクリニックに通っていたけれど検査が不十分で適切な診療が受けられず、病状が悪化してしまい来院される患者さんも多くいたんです。町の医療機関は設備がそろっていないところが多い。でも初めから大きな病院にかかるには、診察や検査の予約が取りづらく待ち時間も長くハードルが高い。それなら病気を早期発見して治療していくための十分な設備をそろえたクリニックを自分でつくろうと思いました。そして自分が10年以上住んでいて、交通の便の良さから小さいお子さんから高齢の方まで気軽に通いやすいと肌で感じていた江南駅の近くに開業を決めたんです。

勤務医時代はどんな生活を送られていたんですか。

岐阜大学医学部附属病院第一外科で研鑽を積んでいた際は、2日に1回は病院に泊まり、泊まらない日は日付をまたいで帰り、朝6時に出勤する生活を送っていました。その後、外科の勤務医として郡上市民病院から静岡医療センター、豊橋医療センター、中部国際医療センター（旧・木沢記念病院）、さくら総合病院で勤務しました。自分が担当している患者さんの調子が悪くなれば休日でも様子を見に行きますし、24時間365日病院から電話がかかってくる状態で、丸一日ゆっくり休むことはなかったですね。外科の医師として主に消化器のがんの手術を行っていましたが、当直時にはどの病院でも救急科外来の手伝いもしていました。そこで小さいお子さんの急な病気やケガをはじめ、さまざまな年代の患者さんの症状を診ていました。体力的に大変でしたが、昔からやるからには徹底的に取り組みたい性分だったので、やりがいも大きかったですね。

当時の経験が現在のクリニックでどのように生きていますか。

「スピーディーで適切な診断」と「外科でも内科でも体のことは何でも診る」というクリニックの方針は、救急科外来での経験が大きく影響しています。救急科外来では限られた時間でさまざまな判断を求められます。当院では体の不調がある時に、今まで私が医療現場で培った経験と必要最低限の検査からまず診断をつけ、今ある症状に対処していくことを大切にしているんです。また勤務医時代に「肩凝りだと思ったら心臓の病気だった」など、ある部位の症状の原因が思わぬ部位から来ていたケースが多々ありました。当院では一つの診療科目にとらわれず、さまざまな可能性を横断的に考えて必要な検査や治療を行います。

幅広い診療内容と充実の検査体制が強み

こちらではどのような診療を受けられるのでしょうか。

幅広い疾患に対応していますが、例えば内科では高齢の方が多い地域なので、生活習慣病である糖尿病、高血圧の患者さんが多いですね。外科では、ほくろやイボなどの処置・日帰りの小手術を実施しています。消化器内科では胃腸炎の治療、肛門内科、肛門外科では痔の手術のほかに注射でイボ痔の改善を図るための硬化療法を取り入れたり、美容皮膚科では医療脱毛、小児科では予防接種などを行っています。また、メンズヘルスケアの外来を設け、男性更年期障害などの診療を行っていることも特徴の一つです。もし専門的な検査や入院が必要だと判断した場合には、提携病院または患者さんが希望する医療機関へ迅速に紹介できる体制も整えています。

設備が充実している印象ですが、特に全身CT検査を導入している町のクリニックは珍しいですよね。

開業するなら必ずCT検査機器を導入したいと考えていたんです。やはりエックス線検査や超音波検査では発見できない病気があり、より詳しい検査となるとCT検査が役立つためです。例えば肺がんや虫垂炎の早期発見、どこかぶつけた時に見えない箇所で出血していないか確認する際に、CTが大いに役に立つんですよね。ただわざわざCT検査のためだけに大きな病院をご紹介して行っていただくのは、患者さんにとって大幅なタイムロスになりますし費用もかかります。私は外科出身でCT画像を診てきた経験も多く、CT画像を読んで診断に生かす力にも自信があります。その経験を生かして自分のクリニックですぐに診られるよう、CT検査機器を導入しました。またCT検査では被ばくが懸念されていますが、当院では被ばくの線量が非常に少ない機器を使用しています。

専門である消化器系の病気を診る時には、どのような点に気をつけていますか。

消化器系の病気、特に胃がんに関しては定期的に内視鏡検査で異常がないか診ていくことが重要なので、そのことを診察時に丁寧に伝えるようにしています。胃がんは早期発見・早期治療ができれば完治が望める反面、早期の段階では自覚症状が出にくいがんです。勤務医時代、内視鏡検査をしていて良好な結果だと安心してしまい、パタリと来なくなってしまう患者さんが多かったんですよ。江南市の人口は約10万人ですが、江南市内で内視鏡検査を実施している町のクリニックは、当院を含めて数軒と非常に少ないんですよね。少なくとも2年に1回、必ずがん検診を受けていただければと思っています。

親しみやすく気軽に通える町のクリニックでありたい

パイナップルのモチーフや開放感あふれる待合室がとても印象的ですよね。

患者さんに当院を親しみやすく感じていただきたいと思い、クリニックのイメージキャラクターを考えることにしたんです。そこで妻がパイナップルの親子を考案して、デザイナーさんに仕上げていただきました。実はパイナップルの花言葉には「歓迎」という意味があって、「患者さんが困った時に、いつでも気兼ねなく来ていただけるように」という意味も込めています。待合室の内装も天井が高くて窓が大きいほうが患者さんの気分が明るくなるはずと、妻が提案してくれたんですよ。既製品の中で一番大きなサイズのガラスを使用していて、昼間は自然光で十分なほど明るいんです。あと妻が細かい作業が得意なので、受付や待合室に季節感のある飾りや小物も置くようにしています。患者さんにとって居心地良く、いつでも通いたくなる空間になっていたらうれしいなと思います。

奥さまのご協力があったとはすてきですね。休日はどのように過ごしていますか。

実は勤務医時代も丸一日お休みの日がほとんどなく、開業してからも備品をそろえたり片づけたりしていると休日が終わるので、落ち着いて休んだこと自体あまりないんですよね。でも貴重な休みの日や時間ができた時は、家族と出かけたり子どもたちと遊んだりすることが多いです。やっぱり子どもが好きなんですよね。一番上の子どもが社会人で、一番下の子どもがまだ小学生なんです。実はチワワも5匹飼っています。子どもの希望で飼い始めたはずが、結局私や妻が面倒を見ているんですよ（笑）。子どもが5人、犬も5匹、家の中はいつもにぎやかで、家でも私はずっと動きっぱなしです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

どんな些細な症状でも、困り事があればいつでも遠慮なくご相談いただければうれしいです。急な病気やケガにいつでも対応できるように、月曜日から土曜日まで毎日夜20時まで診療を行っています。わざわざ大きな病院の救急科外来に行かなくても済むような診療体制を整えてお待ちしています。最近だと急な発熱の患者さんが非常に多いですが、気兼ねなくご連絡ください。待ち時間の短縮と院内の混雑を防ぐため、予約優先制にしていますが、予約をいただかなくても診療しますし検査もできますので、まずはお問い合わせいただければと思います。