渡邊 峻 院長の独自取材記事
山手通内科クリニック
(名古屋市昭和区/八事駅)
最終更新日:2025/09/24

「山手通内科クリニック」は、八事駅から徒歩すぐ、大通り沿いにあるマンションの1階に位置する。もとはレディースクリニックだった設備をそのまま生かした華やかで明るい内装は、さながらホテルのロビーのようだ。院長の渡邊峻先生は日本内科学会総合内科専門医や日本循環器学会循環器専門医の資格を取得。院長着任に伴い、レディースクリニックのノウハウを踏襲しつつ、強みである循環器診療を加え、老若男女、幅広い患者層に対応できるクリニックとして大きく生まれ変わった。血液検査や心電図検査、エコー検査のための設備を新たにそろえ、またホスピタリティーを重視し「来て良かったと思ってもらえるクリニックにしたいんです」と朗らかに語る。渡邊院長に、開業の経緯やクリニックの特徴、今後の展望などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年6月30日)
迅速な検査で重大な疾患のサインを見逃さない
開業の経緯をお聞かせください。

これまで地域の中核病院で循環器専門医として従事してきました。循環器診療では心不全や心筋梗塞など、一刻一秒を争う病気の治療を行います。ご高齢の方が多いですが、中には一家の大黒柱としてバリバリ働いている年齢層の方も一定数いらっしゃいます。患者さんの命だけではなく、ご家族の今後の人生にも大きく関わるような現場を何度も経験してきました。循環器の病気は日常の中で突然発症することが多いですが、治療すべきタイミングは心臓病による悪いことが起きてしまってからではなく、健診で指摘されるような生活習慣病からすでに始まっております。だからこそ、クリニックで自分がその役割を担うことで患者さんの役に立てるのではないかと思い、開業を決意しました。
以前のクリニックから何が変わりましたか?
大きく変わったのは標榜科目ですね。循環器専門医、そして総合内科専門医である私が就任したため、院名を以前の「レディクリニック八事山手通」から変更しました。クリニックの外観や内装はそのまま利用しています。至る所に「おもてなし」の精神を重視する理事長のこだわりが詰まっているのですが、非日常的なホテル感があって良いですよね。ただ、設備はすべてそのままというわけではありません。今回の開業にあたり、新たにエックス線検査室を設けました。また、循環器ならではの検査として、心電図検査やエコー検査の機械を導入しています。エコー検査は心臓に限らず、頸部、甲状腺も検査可能です。さらに、血液検査も院内院外ともに対応できるように手配をしました。重大な疾患のサインも見逃さないために、当日でも迅速かつ多角的に検査ができる環境を整えています。
ピル専門の外来は続けているのですね。

はい。もちろん私の強みは循環器診療や生活習慣病なのですが、ピル専門の外来も診療内容の一つです。これまで積み重ねてきたノウハウがあること、またこれまで通っていた患者さんにも引き続き安心して通っていただきたいことから、標榜科目が変わっても続けることを決めました。これは患者さんにとってもメリットが大きい変化だと思っています。今まで婦人科で相談していた悩みが内科的アプローチで改善につながるかもしれませんし、総合内科医だからこそ気づくことも多いはずです。もちろん婦人科の診察が必要と判断する場合は、近隣のレディースクリニックをご紹介します。女性に多い頭痛や便秘、また月経に関わる諸症状についてなかなか相談できなかったり、周囲に理解されなくて苦しんでいる方がたくさんいらっしゃるのではと思います。今は女性も働く時代ですから、ピルの外来を入り口として働き盛りの女性を内科の観点から支えていけたらと考えています。
受診先に迷う人を積極的に支えたい
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

患者さんの緊張をほどくことを大事にしています。予防を進めるためには患者さんから普段の生活習慣を聞く必要がありますが、医師との信頼関係がなければなかなかうまく聞き出すことができません。いろいろなことを話していただきたいので、話を途中で遮ったり否定したりしないように気をつけています。治療は二人三脚であり、診察の回数を重ねる中で、生活習慣の問題点を抽出したり、薬剤の工夫や治療の見直しを行います。質の良い医療を提供するには、まずは通院の継続が大切であり、だからこそ「ここに通い続けたい」と思ってもらえるように、通いやすい雰囲気にすることが重要だと思っています。私自身が何でも話しやすい医師になることはもちろん、スタッフにもホスピタリティーを求めました。患者さんの不安を取り除けるように、安心してもらえるような環境づくりを徹底しています。
原因がはっきりせずに、長らく抱えている体調不良にも対応していると聞きました。
ええ、そのとおりです。これまで内科医として多くの方を診察してまいりましたが、患者さんが訴える症状は非常に多彩です。本人は症状で困っているのに、診断がつかなくて適切な処方もなく、苦しんでいる方が多くいらっしゃるのではと思います。治療は薬だけではなく、患者さんの生活背景や生活習慣に起因していることも多く、その原因に気づきを与えることも医師の仕事と考えております。また西洋医学で適切な薬がない場合は、視点を変えて東洋医学的なアプローチをすることが有用なことも多く経験します。問診と身体診察で包括的に患者さんの体質を把握することで、その患者さんの体質に合った漢方薬の相談にも乗ることができます。当院での多面的な治療によって、さまざまな症状でお困りの患者さんの支えになれたら良いなと思いますね。
相談先がわからなくても診てもらえますか?

もちろんです。むしろ、当院ではそういった患者さんのサポートも積極的に行っていきたいと考えています。不調の原因がわからないと、そもそも何科を受診すれば良いのかもわかりませんよね。だからこそ、最初の相談窓口として当院を利用していただきたいです。私はこれまで地域の中核病院で働いてきたので、各病院それぞれの強みを知っています。原因不明の不調に悩む患者さんの症状を見極め、より専門的な病院を紹介することが可能です。患者さんにより良い医療を提供するのも、当院の役目の一つだと思います。自分では「大したことはない」と思っていても、自己判断は良くありません。大きな病気が隠れていることもあるので、どんな些細な不調でも「まずは相談してみよう」と思ってもらえるように、今後も広い視野を持った診療に努めていきたいですね。
「来て良かった」と思ってもらえる診療をめざす
医師を志した理由を教えてください。

幼少期から漠然と世の中の役に立つ仕事に就きたいという気持ちがありました。それから中学校、高校で尊敬する教師と出会い、人に何かを伝えたり教えたりする仕事に興味を持ち始め、それらをかなえるのが医療なのかな、と思ったのが医師を志したきっかけです。診療科については、初期研修の時に救命の現場で活躍する循環器内科の先生たちに憧れて、その道を進むことにしました。
休日はどのように過ごしてリフレッシュしていますか?
最近はボルダリングに行って体を動かしています。一つ一つの課題に取り組む過程で、徐々に難易度が上がっていくのですが、前回できなかった課題をクリアできたときの達成感が気持ち良く、これが気分転換にもつながっております。全身運動ですし、課題によって使う筋肉も違って、毎回どこかしらが筋肉痛になります(笑)。あとは自分の健康管理のためにスポーツジムにも通っています。やはり自分で実践して、その体験を通じて患者さんにより良い提案をしたいですからね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まずは、地域の需要を確認しながら臨機応変に対応していきたいです。その上で、「何科に相談すれば良いかわからない」と悩んでいる患者さんの最初の窓口になりたいと考えています。地域の受け皿となって多面的なアプローチで治療を行ったり、これまでの病院勤務の経験を生かして次の病院を紹介するなど、患者さんが「来て良かった」と思える診療を大事にしたいです。患者さんとの出会いを大切にしながら診療していますので、どんな些細な体の不調や健康上の不安でも、気軽に相談してほしいですね。たとえ別の病院に通院していても、何でも相談に乗ります。相談先をお悩みという場合でも、気軽にお越しいただけるとうれしいですね。