渡邉 一貴 院長の独自取材記事
名東整形外科からだケアクリニック
(名古屋市名東区/上社駅)
最終更新日:2024/02/19

名古屋市営地下鉄東山線・上社駅から北へ徒歩約10分。全面ガラス張りの待合室が目を引く建物が、2023年に渡邉一貴院長が開業した「名東整形外科からだケアクリニック」だ。同院では整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科の診療を手がけるほか、健康づくりに焦点を当てた「からだケア部門」に力を注ぐ。院内には1.5テスラMRIやエックス線骨密度測定装置などの充実した検査機器を備えるほか、スタジオも備え、専門のインストラクターによる目的に沿ったヨガやピラティスレッスンや健康寿命延伸のための各種教室を開催している。「患者さんの健康寿命を延ばす手助けをしたいんです」と語る渡邉院長に、同院の特色や健康への思い、今後の展望などについて詳しく聞いた。
(取材日2023年8月8日)
健康寿命を延ばすための「からだケア」
まずは開業に至った経緯からお聞かせください。

私は整形外科医としてこれまでたくさんの手術を行ってきました。その反面、手術以外の選択肢である保存療法の大切さも身をもって実感しました。その経験から「患者さんの健康寿命を延ばす」をコンセプトにしたクリニックを作りたいと思ったのです。クリニックを開院する地を検討する中で、大学時代からなじみのある現在の場所と出会えたのも良い後押しになりました。当院では一般的な整形外科の疾患の診療はもちろん「からだケア」にも力を入れていることが特色です。健康な体づくりにご興味がある方に来てもらえたらうれしいですね。実際に「からだケアってどんなことをするの?」といったお問い合わせを多くいただいているので、体を動かすことに興味はあっても、方法がわからず実践できない方がたくさんいることがわかりました。それぞれの患者さんに合った適切なトレーニングを行うための機器を導入しましたので、多くの方に体感していただきたいですね。
洗練された建物が印象的です。特にこだわられたポイントはどのあたりでしょうか?
以前から建築に興味がありましたし、クリニックにとって建物は1番の看板だと思っているので細部までこだわりました。大きなキャパシティを持たせた待合室はガラス張りで開放感があり、優しい光とスタッフが居心地の良い空間と時間を提供いたします。2階にはリハビリ室と「からだケア」スタジオを設けました。スタジオはフリースペースでもあるので、患者さんが待ち時間にストレッチや自主トレーニングをする場としても活用しています。建物だけでなく、診療内容にもこだわりがあります。私は悪くなったものの改善を図る「リハビリテーション」と、いかに悪くならないようにするかを目的とした「からだケア」を明確に差別化しています。コンセプトは「患者さんの健康寿命を延ばす」ことなので、通常のリハビリテーションだけでは不十分だと感じていました。そこで整形外科医としてどのようなアプローチができるのかを考え、「からだケア部門」を設けたのです。
「からだケア」部門について詳しく教えてください。

「からだケア」に注力しようと思ったのは、私自身が7~8年前に筋力トレーニングを始めた経験からです。学生時代はずっとサッカーをしていたのですが、医師になってからは運動をしなくなり太り続けていて、このままではいけないと思って筋トレを始めました。自然と食事も気をつけるようになり、体つきが変わる、血液検査データが良くなる、睡眠の質も良くなるなど良いことがたくさんあったんですね。自身のこの経験が皆さんに「からだケア」を提供したいと考えた最も大きな理由です。当院では肩こりや腰痛、むくみ改善などテーマを持ったヨガやピラティスの教室や認知症予防の健康運動体操、からだの経年的変化に対する個々に合ったパーソナルジムトレーニングなど多様な教室を企画しています。医療機関ならではのアプローチを大切にしていきたいですね。
検査機器の充実で院内で完結できる体制へ
クリニックの強みや特徴はどんなところでしょうか?

基本的に主要な検査は院内で完結できるようにするために、導入する検査機器にはこだわり、充実させました。超音波診断装置、エックス線検査装置、エックス線骨密度測定装置に加え、1.5テスラMRIも完備しているので、検査のために他院に移動していただく必要はありません。このように多方面からの検査結果をもとに適切な診断をした上で、エビデンスに基づいた治療を行うことを大切にしています。また、リハビリ室には体組成測定器をはじめ、全身のトレーニングを可能にするマルチファンクションラックや下肢筋力トレーニングに必要な高性能トレーニングマシン、リハビリの前後に有酸素運動として使用可能なトレッドミルやバイクを完備していますので、トレーナーの指導のもと正しい方法でのトレーニングが可能です。
注力されている治療はありますか?
愛知医科大学病院には股関節・骨折治療を専門として約10年間在籍させていただきました。大学病院に特徴的な重症症例の対応が中心でしたが、経験が増えれば増えるほど重症、軽症を問わず基本的な知識や技術が重要だと感じました。今後は今までの経験を生かして一人でも多くの患者さまの痛みの軽減、QOLの向上、健康寿命の延伸のお役に立ちたいと考えています。当院では一般整形外科疾患に対する治療はもちろん、院名にもある「からだケア」に注力しています。人間の肉体は必ず経年的な退行性変化を起こしますが、そのスピードをいかに落とすことができるかが健康寿命の延伸のためには重要だと考えています。そのために「からだケア部門」を設置し、運動・食事・睡眠と多方面から健康に対してアプローチしていきます。
スポーツ整形外科を得意とする先生もいらっしゃるそうですね。

非常勤医師の岩堀裕介先生は、肩や肘の悩み、特に野球に起因するスポーツ障害を専門としています。スポーツ障害でお悩みの方の場合は、私が診察し必要な検査を行った上で次回は岩堀先生の診察予約を取ります。私とは専門分野が異なるので、スポーツ障害や肩・肘関節に関する相談などには経験豊富な岩堀先生が対応するという体制を取っています。
ホスピタリティーの心を大切に満足度の高い診療を
患者さんと接するときに大切にしていることを教えてください。

整形外科を受診される患者さんの主訴の大半は痛みですが、痛みはあくまで主観的なものであり客観的に評価することが難しいため、患者さんは孤独感や理解されない苦しみを感じます。私たちはそういった方に対してできる限り寄り添い、ホスピタリティーの心を持って接することでひとりでも多くの患者さんのお悩みを解決し、満足と幸せを持ち帰っていただける空間とサービスを提供したいと考えています。
先生はこれまでにどのようなご経験をされてきたのでしょうか?
愛知医科大学を卒業し、津島市民病院での初期研修修了後に愛知医科大学整形外科に入局しました。入局後に約4年間旭ろうさい病院でも勤務させていただきましたが、当時の部長の先生からは技術面だけでなく患者さんへの接し方や医師としての在り方についても学ばせていただきました。その先生は骨折治療の経験が豊富で手術がとにかく上手だったので、技術面では真似をするのに精いっぱいでしたね。また、それぞれの症例に対して真摯に向き合って結果を求めていく姿勢はたいへん勉強になりました。その先生からの指導が今の自分の基盤になっていると思っています。その後約10年にわたり勤務させていただいた愛知医科大学病院では、人工股関節置換術の治療を中心に骨盤骨折や大学病院ならではの重症外傷を担当し多くの経験を積むことができました。
今後の展望と読者の方へのメッセージをお願いします。

まずは当院のコンセプトと注力している「からだケア」について、一人でも多くの方に認知していただくことが目標です。特に「からだケア」については新しい試みなので、たくさんの方に実際に体験していただきたいですね。そのために私たちは患者さんの期待に応えられるサービスを提供していかなければなりません。「近いからこのクリニックへ行く」のではなく、「このクリニックでないとダメだから行く」、そう思っていただけるようなクリニックにしていきたいです。一般的な整形外科診療はもちろん、健康寿命延伸のために必要な体づくりにも取り組んでいますので、是非多くの方に来院していただき当院の医療サービスを体感していただきたいです。