頻尿や尿漏れが気づくサイン
更年期以降に起こるGSMとは
清澄女性泌尿器科クリニック
(江東区/清澄白河駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
膣の乾燥やヒリヒリとした痛み、性交時の違和感、残尿感や尿漏れなど、外陰部を中心としたさまざまな不快な症状。更年期以降の女性に起こるこうした症状は、「GSM(閉経関連尿路性器症候群)」と呼ばれている。清澄白河駅から徒歩1分の場所にある「清澄女性泌尿器科クリニック」は、泌尿器科と婦人科を診療する女性専門のクリニックだ。平本有希子院長は、泌尿器科と婦人科の両方の領域にまたがるGSMの診療を積極的に行っている。デリケートゾーンの疾患ゆえ、なかなか相談できない患者も多いというGSMだが、「どんな女性でもなり得る疾患ですから、今悩んでいる方には、一人じゃないよと伝えたい」と平本院長。どんな女性でも来やすいように、明るくやわらかな雰囲気を意識したという院内で、GSMの症状や治療方法を聞いた。
(取材日2025年3月25日)
目次
自然治癒が難しいGSMは、早期の発見と治療が鍵。違和感があったら、我慢せずに相談を
- QGSMとはどのような疾患なのでしょうか?
-
A
▲誰もがなり得る疾患だからこそ早めの相談が大切
GSM(閉経関連尿路性器症候群)とは、陰部を中心にさまざまな症状が出現する疾患です。主な症状としては、膣の症状、性機能の症状、排尿の症状の3つが挙げられます。更年期以降の女性が発症するもので、閉経による女性ホルモンの分泌量の減少や、加齢による骨盤周辺の筋肉である骨盤底筋の緩みが要因といわれています。GSMは2014年に提唱された比較的新しい概念ですので、ご存じない方も多いかもしれません。GSMを専門に扱っている病院は少なく、泌尿器科や婦人科で診療を受けるケースが多いですね。閉経や更年期は誰でも経験することですから、GSMも誰でもなり得る疾患だといえます。
- QGSMの具体的な症状について教えてください。
-
A
▲泌尿器科と婦人科両方の観点から診察する
まず1つ目の膣の症状では、膣の乾燥やヒリヒリした痛み、においが挙げられます。自転車に乗った際、サドルに当たって痛みを感じる場合も少なくありません。2つ目の性機能では、性交渉の際にこすれるような感覚を覚えたり、潤いがなくなったりといった症状が見られます。3つ目の排尿症状では、頻尿や残尿感、突然我慢できない尿意を催す「尿意切迫感」などがあります。また、膀胱炎を繰り返すことも症状の一つです。排尿症状をきっかけに受診し、内診の結果GSMが見つかるケースも多いとされます。GSMは自然治癒が難しく、また放置すると症状が悪化してしまう恐れがあります。違和感があったら、なるべく早めに受診しましょう。
- Q貴院では、どのようなアプローチを行っていますか?
-
A
▲症状に焦点を当てた医療機器も導入している
当院では、症状に応じて、女性ホルモンを含んだ膣錠の投薬や、軟こうを使った外陰部の保湿などを提案しています。女性ホルモンの投与は少なからずリスクがあるものですが、当院では女性ホルモンを全身でなく膣に局所投与することで、患者さんの体への負担を軽減するよう努めています。GSMへのアプローチでは、女性ホルモンを増やす他に、膣や外陰部の乾燥を防ぐことが非常に重要です。毎日ハンドクリームで手を保湿するように、外陰部も軟膏でこまめにケアしてください。
- Q更年期以降の女性は、排尿症状を訴えることも多いそうですね。
-
A
▲女性専門のクリニックで受診のハードルを下げる
更年期以降の女性の場合、特に頻尿や尿漏れを訴えるケースが多いですね。GSM以外での頻尿の要因は、過活動膀胱やがん、尿路結石、年齢による骨盤底筋の緩みなど多岐にわたります。当院では尿検査や腹部エコー、排尿後の残尿測定といった検査を通して原因を調べ、それぞれに適した治療を行います。頻尿の場合は水分の取りすぎなど、患者さんの生活習慣が関わっている場合も多いので、排尿の記録をつけ日々の生活を見直すことも大切です。また、尿漏れは出産回数や出産時の体重増加、出生時の子どもの大きさも関係しています。出産による骨盤底筋のダメージが尿漏れのリスクを高めるため、骨盤底筋のトレーニングなどもケアとして役立ちます。
- Q骨盤底筋のトレーニングについて教えてください。
-
A
▲日々のケアが改善につながる
骨盤底筋は骨盤の底に広がる筋肉の総称で、尿道や膣、肛門を囲み支える役割があります。この骨盤底筋が加齢や出産によるダメージの蓄積で緩むと、尿漏れや臓器脱といった症状が起こりやすくなるのです。骨盤底筋を鍛えると血流の改善を促すため、尿漏れや臓器脱だけでなく、GSMの症状がある方にもお勧めです。