平本 有希子 院長の独自取材記事
清澄女性泌尿器科クリニック
(江東区/清澄白河駅)
最終更新日:2025/06/16

清澄白河駅から徒歩1分、木場公園や美術館も近く、カフェめぐりも楽しめるエリアにある「清澄女性泌尿器科クリニック」。平本有希子院長をはじめスタッフは全員女性なので、女性特有の悩みを気兼ねなく相談できる。泌尿器科は男性患者が多く通いにくいと感じている女性も少なくない。だからこそ、すべての女性が身構えずに通えるクリニックをめざしている。泌尿器科だけではなく婦人科も標榜しているので、デリケートゾーン全般の困りごとを相談可能だ。ロゴマークにもなっているミモザは女性国際デーのシンボルで「女性の健康と未来を守りたい」という平本院長の願いも込められている。やわらかな雰囲気の明るい院内で診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2023年9月19日)
泌尿器科と婦人科のデリケートな悩みに幅広く対応
まず、女性泌尿器科を専門にしようと思ったきっかけやご経歴を教えてください。

学生の頃に膀胱炎になって、女性泌尿器科を掲げているクリニックを受診した経験がすべての始まりです。女性医師だと思い込んでいたら男性医師で違和感があったのを今でもよく覚えています。当時はまだ泌尿器科をめざすのは圧倒的に男性が多かったのですが、自分と同じような悩みを抱えている女性を助けたいという思いを抱くようになったんです。東京慈恵会医科大学卒業後は同大学病院などに勤務し、泌尿器の疾患は生理周期、出産、ホルモンバランス、加齢などとも深く関連していると痛感。その後、産婦人科クリニックで婦人科領域の研鑽も積み、内視鏡手術に特化したクリニックで尿漏れ、骨盤臓器脱の手術にも携わるなど、幅広い経験を重ねた後に2023年に開業しました。まだ育児中なのですが、勤務医よりも子どもたちと過ごす時間が増やせるかなという願望も少しありましたね。
院内は優しい雰囲気で、ミモザのロゴマークも溶け込んでいますね。
なるべく受診の敷居を低くして、どなたでも足を踏み入れやすいようにと、やわらかい雰囲気を大切にしています。「やっと女性医師を見つけた」と、遠方から来る患者さんも少なくありません。どこにも相談できずにこれまで我慢を重ねていた方々を、できるだけ温かく迎えたいと思っています。ロゴマークのミモザの花は、ジェンダー平等を実現しようと制定された国際女性デーのシンボルマークです。花言葉は「感謝」「思いやり」「友情」なのですが、感謝と思いやりを忘れず、患者さんに信頼できる女友達を頼るように通ってもらえるクリニックにしていきたいという願いも込めました。
具体的にはどんな時に利用したら良いのでしょうか。

外陰部のかゆみなど、おしものことでお悩みがある時にご活用ください。大したことのない症状だったとしても、それによって生活の質が少しでも低下していると感じるならば、遠慮せずに受診していただければと思います。「泌尿器科と婦人科のどちらに行けばいいのか」と、迷った時も、当院ならばどちらにも対応できます。問診の結果を踏まえ、泌尿器科と婦人科の検査を両方ともする場合もありますが、多くの場合どちらか一方に絞り込めるでしょう。患者さんの負担を軽減するため、不必要な検査は避けたいと考えています。頻尿の相談も結構ありますが、まずはおしっこの日記をつけてもらうところがスタートです。生活習慣の改善が鍵になっていることもあるんですよ。他にも投薬治療や、骨盤底筋トレーニングの方法もお伝えしていて、看護師とのマンツーマントレーニングも可能です。
生活の質を大きく左右する尿の問題に丁寧に対応
膀胱炎の相談も多いと伺いました。

膀胱炎の多くは細菌感染で、風邪のようなものです。風邪を引いたらクリニックに行くように、ためらわずにご相談ください。自覚症状としては排尿時痛、残尿感、頻尿、血尿などがあり、抗菌薬の投与が主な治療になります。放置していると腎臓にまで細菌が到達し、高熱が出る腎盂腎炎に至るケースもあるので注意が必要です。腎盂腎炎は若ければ点滴で済む場合もありますが、高齢だと敗血症になってしまう場合もあります。敗血症が悪化すると死に至ることもあるので、たかだか膀胱炎とあなどらず、怪しいと思ったら少しでも早く受診してください。
骨盤臓器脱の治療にも力を入れているそうですね。
骨盤臓器脱とは、骨盤の中にある膀胱、子宮、直腸などの支えがゆるみ、膣から体の外に出てしまう病気です。自覚症状としては、膣に何かが挟まっているような感じや、夕方以降に発生する股の辺りに何かがぶら下がっているような違和感があります。手術が必要な場合もありますし、軽度の方や手術が受けられない方などに対して、対処療法としてペッサリー療法が可能です。ペッサリーというリング状の器具を腟内に挿入するのですが、当院では患者さんが自分で着脱する方法をお勧めしています。なぜならば、医師による定期交換よりも膣粘膜の炎症や出血、おりもの異常のリスクを減らせるからです。看護師が指導する日も設けているので、初めての方でも心配ありませんし、慣れればコンタクトレンズのような感覚で着脱できるようになります。その他、日常生活のアドバイスなどもしているので、気軽にご相談いただきたいですね。
患者さんと接する際、大切にしているのは何ですか。

幼稚園児からご高齢の方まで、さまざまなライフステージの患者さんがいらっしゃいます。一人ひとりのお話によく耳を傾け、何に一番困っているのか、それをどう改善したいと考えているのか、きめ細かにくみ取るようにしています。おしっこの問題は命に関わることこそあまりないものの、生活の質を大きく左右するといっても過言ではありません。より良い生活のためにどんな治療法があるのかメリットとデメリットも含めて丁寧に説明し、患者さんに選んでいただきます。デリケートな部位の悩みですし、婦人科の内診もあるので診療の際のプライバシーにも配慮しています。診察室も処置室もカーテンで仕切るのではなく完全個室にしました。スタッフも全員女性ですが、それでも恥ずかしいと思う患者さんもいますからね。
デリケートゾーンの悩みにも積極的に取り組みたい
今後の展望についてお聞かせください。

いずれ、小さな手術に対応できるようにしたいと考えています。おしもの周囲のできものなど、男性の先生には相談しにくいケースはいろいろとあると思いますからね。また、月経困難症の方はもちろん、そこまでではない方でも生理に悩まされずに日常生活を送れるようなサポートもしていきたいです。尿の問題同様、生理についても症状の重さにかかわらず、日々を快適に過ごす妨げになっていると感じるならば、遠慮せずに相談してください。デリケートゾーン全般の悩みに対するケアも、日本は海外と比較してまだ遅れていますが、これから力を入れていきたいと思っています。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどうお過ごしですか。
ふたりの子どもたちと過ごすことが多いです。勤務医時代よりも家族との時間が激減したのは予想外だったのですが、まだ開業したてだからかもしれませんね。私が疲れていると「大丈夫だよ、僕がついてるからね」と、なぐさめてくれる優しい兄と「人生、楽しもうよ!」と、笑わせてくれる元気な妹です。消化器外科の勤務医で当直もあって多忙を極めているのに、育児にも全力の夫にも感謝しています。出産、子育て経験は診療にも間違いなく役立っていますね。尿漏れも「こういう時に漏れるよね」と、患者さんと分かち合えるようになりました。出産経験がある多くの女性が悩んでいる問題なので、気兼ねなく相談してほしいと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

おしもの軽いかゆみ、わずかな違和感でも構いません。一人で悩まずに、お話を聞かせてください。すでに尿漏れにお悩みの方はもちろん、予防をしたい方にも、骨盤底筋の鍛え方や腹圧をかけない方法などをお伝えすることもできます。スタッフも和気あいあいとしていて、彼女たちがいてくれるからこそ、やわらかな雰囲気が保たれているのだと感謝しています。「来て良かった」「解決策が見つかった」と、思っていただけるクリニックをめざしているので、気軽にお立ち寄りください。