林 一郎 院長の独自取材記事
みしゅくクリニック
(世田谷区/池尻大橋駅)
最終更新日:2024/11/15

池尻大橋駅より徒歩10分程の場所にある「みしゅくクリニック」。院長の林一郎先生は、長年にわたって大学病院や国立病院などで心臓血管外科部長を務めてきたベテラン医師。病院で、もう手術しか手立てがないという末期の患者を診察しているうちに、もっと早い段階で病気を見つけられたらと感じ、定年退職後の2023年に開業。診療科目は内科・外科・循環器内科・心臓血管外科。体への負担が少ない超音波検査や、生活習慣病改善のための食事・運動指導などにも注力し、何かしらの症状がある「未病」の段階で病気を阻止することにも力を注ぐ。「風邪など身近な体調不良はもちろん、最近足がむくむ、息切れがするといった些細な異変を感じたら、気軽に相談に来てほしい」という林院長に詳しい話を聞いた。
(取材日2023年7月13日/情報更新日2024年6月6日)
重篤な病気を防ぐための身近なクリニックを開業
病院を退職後、地域のクリニックを開業されたのはなぜですか?

私は30年以上、心臓血管外科医として数多くの心臓大血管手術に携わってきました。そのほとんどが、もう手術しか選択肢がないという重症の方ばかりなんですね。また手術で一命を取りとめても、その後にさまざまな苦労が待っていることも決して少なくありません。そうした患者さんを診る度に「ここまで悪くなる前に誰かが健康に対して助言することができなかったのだろうか」という、もどかしい思いでいたものです。いくつかの病院からお誘いもあったのですが、これからは地域のかかりつけ医として、患者さんの病気の悪化を食い止める仕事がしたいと考え、定年をきっかけに開業しました。
どのような診療方針をお持ちですか?
いつもと少し様子が違い、なんとなく体調が優れないという段階で、気軽に受診できるクリニックでありたいと思っています。特に高齢の方は、いつもより息切れがしたり、足がむくんだりしても「年のせい、受診するほどでもないだろう」と思いがちですが、実はそれが心臓病のサインであることも少なくありません。診察の際は、医学的な説明やガイドラインに沿った治療法についてきちんと説明をした上で、薬の服用なども含めて極力患者さんの要望にもお応えするよう心がけています。こちらの治療方針を押しつけて、診療に苦手意識を持ってしまうと通院の足が遠のいてしまいますからね。遊びに来るようなつもりで、気軽にふらっといらしていただくことで、症状が進行する前に手を打てたらいいなと考えています。
クリニックではこれまでのご経験をどのように生かしていらっしゃるのでしょうか。

例えば足のむくみや疲れといった症状があった場合、内科では高血圧症や、糖尿病などの代謝系疾患からアプローチをされると思うのですが、心臓血管外科では心臓の機能不全や、動脈や静脈に問題がないかという観点からアプロ―チをしていきます。つまり同じ症状でも、内科の先生と私のような心臓血管外科を専門としている医師では捉え方が異なるわけです。内科の視点で「その疲れは加齢によるものですから特に心配はないですよ」と言われていたけれど、別のアプローチから疾患を診たことで問題が見つかったという例もあります。勤務医時代の経験は、他のクリニックとは少し差別化した診療ができるという点で生かされていると思います。
些細な違和感を見逃さず早めに受診してほしい
足のむくみや息切れといった症状に深刻な病気が隠れていることがあるのですか?

足のむくみで受診するというイメージはあまりないかもしれませんが、実は両足が同じようにむくんでいる場合は、何かしらの全身疾患があったり、心臓病や糖尿病、甲状腺などの病気の前兆だったりすることが多いです。また片足だけむくむ場合は足の血液やリンパの流れが悪くなる血管系の疾患が疑われます。夕方になって足を押すとへこみが戻らないという段階で早めに受診されるのが理想的ですね。息切れについては肺、心臓、精神的なものの3つの原因に大きく分けられます。こちらは歩くと息切れするようであれば受診していただくのが理想です。特に呼吸は、少しずつつらくなっていくので、皆さん加齢のせいだと思って見逃しやすいです。検査で異常がなければ精神的なものの可能性もありますし、中には肺や心臓の問題を抱えている方もいらっしゃいますので、受診するほどでもないだろうと思っても気軽に相談してほしいですね。
こちらではどのような検査が受けられますか?
肺に関してはエックス線撮影装置、呼吸や肺の機能を検査するスパイロメーターなどを備えています。また歩くと息苦しいけれどエックス線検査では問題がなかったという方や、心電図に異常が見られた方、聴診所見で雑音が聞こえた方には、体に負担の少ない超音波検査をお勧めしています。心臓は動く臓器で、解像度が高くないとはっきりした診断ができないため、特にこだわって先進機器を導入しました。超音波検査では心臓や心臓弁膜の動きを診ることができますが、足にむくみのある方は心臓と関係が深いため足の血管も検査します。こうした検査によって、心筋梗塞や心臓弁膜症の有無を調べていきます。
生活習慣病全般の治療にも注力しているそうですね。

大きな病気のきっかけは、毎日の生活習慣の積み重ねの中にあります。ですからすぐ薬を処方するのではなく、生活を変える指導から始めるようにしています。血圧に関しては、夜間の数値が重要で朝起き抜けの血圧を必ず測定して持ってきていただくようお願いしています。夜間の血圧はいびきや睡眠時無呼吸症候群にも関わっており、心臓への負担にも関わります。また肥満が高血圧の原因になっていることも多いです。さらに肥満は、糖尿病や高脂血症といった病気も誘発してしまいます。つまり生活習慣病はどれもつながっているということです。ですから、まずは食事の見直しと運動習慣を取り入れ、1~2ヵ月頑張りましょうとアドバイスしています。症状や数値が改善されれば、大事に至らずに済む可能性が高くなります。いずれにしても、ちょっとした異常を感じた段階で受診をすることが肝心です。また異常がなくても半年に1度程度検診を受けるのも良いでしょう。
気軽に会話や相談ができるクリニックをめざす
先生はなぜ医師をめざされたのですか?

私は幼少時から、具合の悪そうな捨て猫や野良猫を放っておけなくて家に連れて帰るほど猫好きで、小学生の頃は獣医師になりたいと思っていたんですよ。しかし中学高校で生物学を学んで生物全般に興味を持つようになったことから、医学の道へ進もうと思いました。心臓血管外科を選んだのは、家系的に心臓に問題がある家族が多かったというのが一つの理由でした。大学時代は勉強だけでなく野球や音楽もやっていたので常に時間に追われるような生活でした。楽しいという記憶はあまりないですね(笑)。大学病院時代も野球をしていましたが、現在はもっぱら観戦のみ。音楽もたまに一人でギターを爪弾く程度です。
今後クリニックで取り組んでいきたいことはありますか?
生活習慣病の改善で運動を勧めると、多くの患者さんが「クリニックで運動できればいいのに」「ここでリハビリテーションができませんか」とおっしゃるんですね。そのご要望に応えるべく、将来的にはもう少しスペースを広げて、理学療法士さんによるリハビリテーション指導ができるようにしたいなんて思っています。また外科医の特性を生かして、局所麻酔でできる程度の血管手術などを院内でできるようになればと考えています。現在は患者さんのニーズに合わせて、インフルエンザ検査、PCR検査キット、舌下免疫療法なども導入しており、今後も少しずつ患者さんのご希望に沿えるような検査設備や環境を整えていきたいですね。
最後に、地域の方々にメッセージをお願いします。

当院はサロンのような雰囲気を意識した造りで、具合が悪くなくても気軽に足を運べる場所をめざしています。ですから「こんなちょっとしたことを医師に相談するのは気が引ける」「なんとなく体調が優れないけれど病院に行って相談するほどのことでもない」などと思わず、私とおしゃべりをしに来るような感覚でいらしていただければうれしいです。これまでは大きな病院に勤務していましたが、今後はかかりつけ医として地域の方々の力になっていきたいと思っています。待合室も診察室もアットホームでリラックスできるようなインテリアにしてありますので、ぜひ一度遊びにいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインフルエンザワクチン
大人一般:3200円(税込)
東京都にお住いの65歳以上の方:自己負担2500円(税込)要予診票
コロナワクチン(ファイザー、第一三共)
自費でのワクチン接種:15000円(税込)
東京都にお住まいの65歳以上の方:自己負担2500円(税込)要予診票