都築 一正 院長の独自取材記事
つづき眼科クリニック
(岡崎市/本宿駅)
最終更新日:2025/01/14

名鉄名古屋本線本宿駅から徒歩2分の場所にある「つづき眼科クリニック」。都築一正院長は、慶應義塾大学医学部を卒業後、岡崎市民病院などで眼科の勤務医としてさまざまな疾病治療や手術に携わってきた。その後、先進の医療を再度学びたいと東京へ。岡崎に戻り2023年6月に開業を果たした。これまで眼科クリニックがなかった本宿町で、その経験とスキルを生かし、地域住民の診療に奔走している。もともと数学者になりたかったという院長は勉強熱心で、常に知識のアップデートを欠かさない。誠実に患者に向き合い、「診療後もカルテのチェックや確認をしているほうが心が休まる」と話す院長に、地域医療への思いを聞いた。
(取材日2023年7月14日)
困っている患者を救うために開業
開業のきっかけを教えてください。

開業前には岡崎市民病院で7年ほど勤務医をしており、当初は開業についてあまり考えていませんでした。けれど、岡崎市東部・本宿町の辺りには眼科がとても少なく、重症だったりこじれて失明してしまったりと、手遅れになってから来院する患者さんをたくさん診てきました。それで、困っている人たちのためになんとかしたい、この地域にしっかりとした眼科クリニックをつくりたいと考えるようになったんです。そんな時大学時代の先輩から、本宿町でぜひ眼科をやってほしいという話をいただき、開業を決意しました。曾祖父、祖父が岡崎の出身で、私自身も幼い頃に住んでいた時期もあったと聞いており、何十年を経てここに戻ってきたというのは、少し不思議な感覚ではありますね。
開業にあたり、東京でさらに研鑽を積まれたそうですね。
慶應義塾大学の出身ですので、もともと東京で6年間勉強をしてはいたのですが、開業にあたりもう一度先進の医療を学びたいと考え、手術のスキルを磨くために上京しました。6年ほど、眼科に精通した先生にいろいろとご指導いただきながら、休日返上で手術を行うなどスキルを伸ばしてきたつもりです。先進の医療を持って帰ったと自負していますし、そこで得た経験と新しい知見を治療に活用していきたいですね。東京で働いて学んで得たことを地域にやっと還元できる、ということが今の自分のモチベーションになっています。
どのような患者さんが来院されますか?

緑内障、糖尿病網膜症、物が刺さった・ぶつけたというような外傷、視力低下、白内障などの患者さんがとても多いですね。生後1ヵ月の子どもさんから90代の方まで、幅広い層の患者さんがいらっしゃいます。当院の半径10kmに眼科クリニックがないので、かなり広範囲から来院されているという印象です。これまで眼科に縁がなく初めて受診する人がたくさんいて、やりがいを感じています。高齢の方の場合、足が悪くてなかなか来院できないという人も多いので、そこもしっかり診ていきたいですね。岡崎市民病院時代の患者さんも来院されますよ。当時、難症例をいくつか担当していたり、早くから硝子体注射を導入したり、市民講座で講演会をしたりしたこともありましたので、そういったことが患者さんの信頼につながっているのかなと思っています。
点眼薬に頼らない、先進の治療法や外科的手術を導入
こちらの診療の特徴を教えてください。

従来、目の治療というと点眼薬だけというケースが多かったと思います。でも、副作用があったり、決められたとおりにきちんと点眼できない人もいるので、そういう人たちのために、東京でしっかりと学んだ先進の治療法や外科的な手術も取り入れていきたいと思っています。例えば緑内障の治療では、レーザー治療や、近年日本で導入された、チタン製の小さなデバイスを眼内組織に埋め込む眼内ドレーン手術などもやっていきたいと思っています。また、眼内コンタクトレンズを使った視力補正手術も追々導入したいですね。この眼内コンタクトレンズはレーシックの次世代の手術として知られるようになってきました。目にメスを入れるというハードルはありますが、副作用が少なく、万が一のときはまた取り外すことができるというメリットがあります。手術は日帰りで、入院が必要な場合、岡崎市民病院や岡崎医療センターと提携しているので安心していただきたいですね。
患者さんに、知っておいてほしいことはありますか?

眼科疾患は無自覚で進行してしまうのが総じて怖いところです。ですから、目の調子が悪いときにだけ受診するのではなく、定期的にかかりつけ医に診てもらうことは、とても大切です。眼科の疾患には慢性疾患が多く、自覚症状としてはあまり変化を感じない場合も多いので、患者さんにしてみると受診のモチベーションはどんどん下がるんですよ。でも、「良くなっているか」ではなく「悪くなっていないか」を診る場合もあるので、ぜひ定期的に受診してほしいと思います。私も、患者さんの次の受診のモチベーションにつながるように、今の状態についてなどいろいろとお話をしたいと思っています。
常に知識をアップデートし、先進の医療を提供
診療で心がけているのは、どのようなことですか?

とにかく患者さんの話をよく聞いて、こちらからもたくさん話すということを心がけています。患者さんがビジュアルで理解できるように、写真をこまめに撮って見せながら説明したり、経過を記録に残しておいて比較したりするようにしています。治療にあたっては患者さんファーストを意識して、希望を聞くようにしていますね。手術はなるべくしたくないでしょうし、見え方で困っていない場合は無理に手術しなくて構いません。そういうところはしっかりと丁寧に話を聞いて判断しています。また、手術中は、こまめに声かけをすることを意識しています。私自身がとても怖がりなので、患者さんの気持ちに寄り添って、こういうところが怖いだろうな、不安だろうなというところで、先回りして声をかけるようにしています。
設備のこだわりを教えてください。
リラックスして気軽に来院してほしいので、クリニックらしくない外観にしました。待合室は、ラウンジ風の空間をイメージして床面のデザインでちょっと遊んでみたりしていますので、楽しく過ごしてもらえたらいいなと思います。一方で、検査室などは医療用のしっかりとしたスペースをつくっています。足が悪い方、目が悪い方、高齢の方が多いので、患者さんの動線を第一に考え、1階で検査も処置も手術もすべて完結するようにしました。2階はスタッフ専用のフロアで、スタッフにとって働きがいのある、居心地の良い空間にしたいと思っています。当院にはいろいろな役目のスタッフがいますが、みんな本当によくやってくれていて、恵まれているなと感じます。私一人でできることには限りがあるので、優秀なスタッフが支えてくれているのは本当にありがたいことです。
今後の展望をお聞かせください。

どんな症例にも対応できるように毎年知識のアップデートをして、地域の人たちから頼られるような存在になりたいですね。その中で、自分の専門性も生かしていけたらと思います。セミナーに参加したり、勉強会に出席したり、毎月出る医学書にきちんと目を通すなどして、常に新しい医療を提供できるようにしていきたいと思っていますし、そのために、医療機器も精密に測定できる新しいものをそろえています。眼科に通うことに対して、物理的にも心理的にもハードルをお持ちの人が多いかもしれません。でも、気軽に来院していろいろ話していただきたいですし、私も気さくに応えていきたいと思います。受診して良かったと満足して帰ってもらえるようなクリニックをつくるべく、今後もしっかりと努力をしていきます。