多様な症状や原因があるドライアイ
眼科受診で適切な診断と治療を
わだ眼科クリニック
(川崎市麻生区/柿生駅)
最終更新日:2023/11/24


- 保険診療
ドライアイは、ありふれた目の病気とのイメージがあるが、「目の乾き」だけでなくさまざま症状があり、進行すると目の表面が傷つき、見え方の異常を伴うこともあるという。単なる一時的な不快感や不調と区別がつきにくいため、きちんと眼科を受診することが勧められる。そこで、ドライアイの診療に力を入れる「わだ眼科クリニック」の和田悦洋院長に取材した。和田院長は、大学病院勤務時代からドライアイを専門に診てきた経験があり、ドライアイの診断や治療に精通している。コミュニケーションを重視して、患者の生活習慣や生活環境の中からドライアイの原因を探り、根本的な症状の改善をめざし取り組む和田院長に話を聞いた。
(取材日2023年7月6日)
目次
重症化すると目の表面に傷がつくドライアイ。アイメイクやエアコン、スマホの使用が原因になっていることも
- Qドライアイにはどのような症状があるのでしょうか。
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A
▲市販の薬で済まさず、積極的に眼科の受診をしてほしい
代表的な症状としては、目が乾く、ゴロゴロする、異物感があるなどです。重症になると角膜に傷がついて、目が痛い、しみる、かすむ、二重に見える、まぶしいというような症状が見られることもあります。単に目が乾くという方だけでなく、ほかの症状で来られた方でも、実はドライアイが関与しているというケースも少なくないのが特徴です。また、私がこれまで診てきた範囲では、男性より女性の方に多く、特に40代50代になると増えてくる印象があります。「目が乾くから」とドライアイ用の市販の目薬をさしても、根本的な解決にならないケースも多いようです。日常生活で目に不快感を感じるようであれば、眼科を受診することが勧められます。
- Qドライアイのタイプや原因について教えてください。
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A
▲ドライアイになる要因は、環境や病気などさまざま
まずドライアイには、単純に涙が出にくくなって涙の量が少ない場合、涙は出ているが目の表面から蒸発しやすい場合、内科的な病気で涙腺が障害を受けて涙を作れなくなっている場合があります。中でも、涙は出ているが涙の質が低下して渇きやすくなっている人が多いように見受けられます。涙の質が低下する原因としては、コンタクトレンズの長時間装着、パソコンなどのディスプレイを長い時間見ること、また女性に多いのはアイメイクの影響です。かすむ、二重に見えるなどの見え方の異常は、目の表面、角膜に傷が増えていることが原因としても考えられますし、ドライアイそのものが疲れ目の原因になっていることもあります。
- Q 眼科ではどのような検査を行うのですか。
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A
▲涙の量や質の検査を行い、診断を行っていく
まず、視力検査など一般的な眼科の検査を行い、ほかの病気がないかを確認します。その上で、涙の量の検査、涙の質の検査、目の表面の検査などを行います。涙の量の検査では、下まぶたの端にろ紙を当てて、一定時間の間に出る涙液量を測ります。涙がたくさん出ていても質が良くないために、目の表面がすぐ乾くことも多いので、涙の質の検査として、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間を測る検査を行います。さらに目の表面、角膜の傷の有無や、傷の程度を調べるために、特殊な黄色い色素を利用して、細隙灯顕微鏡という特別な顕微鏡を使って観察する検査を行います。
- Q先生はコミュニケーションを重視して治療を行うと聞きました。
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A
▲目の状態を見ながら、患者一人ひとりに合った治療を提案する
ドライアイは多様な原因が絡み合っていることが多いので、コミュニケーションを取り、生活習慣や生活環境をよくお聞きして、何がドライアイに関与しているのかを探り、根本的な症状改善をめざすことを心がけています。治療で症状の改善が見込めても、原因がそのままならまた再発しますからね。治療の基本となるのは、ヒアルロン酸を含む保湿効果が期待できる点眼薬です。目の表面の粘膜の傷を修復するための点眼薬を使うことも。点眼薬で十分な効果が得られない場合は、涙点プラグという治療を行います。涙の排出口である涙点を閉じ、流出を抑えて涙を目の表面にためるための方法です。重症のドライアイに効果が期待でき当院でも対応できます。
- Q市販の目薬ではなく、眼科を受診するメリットを教えてください。
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A
▲点眼薬を使用する上でのアドバイスも行う
乾く、痛いというような不快感は、市販の点眼薬である程度改善が図れるかもしれませんが、根本的な原因が改善しないと、いつまでも症状に悩まされることになりますし、重症化する恐れもあります。症状の改善をめざし、目を守るためには、どのようなことに気をつけたら良いか、生活上の指導も合わせてアドバイスしていく、総合的に判断して進めていくというのがドライアイの治療だと思っています。どういう原因でドライアイが起きているのかを明らかにして、その上でどんな点眼薬が適しているのか、生活習慣や生活環境のどんなところを改善すれば良いのかなどを知るためには、やはり眼科を受診して、相談をしていただくことが近道かなと思います。