岡田 雄介 院長の独自取材記事
山科駅前おかだクリニック
(京都市山科区/山科駅)
最終更新日:2025/02/26

山科駅から西へ歩いて4分、クリニックモールの2階にある「山科駅前おかだクリニック」。エレベーターの扉が開くと、天井が高く居心地の良い待合室が広がる。清潔感のある診察室で患者を迎えるのは、岡田雄介院長。京都第二赤十字病院で多くの患者を診てきた消化器内科の医師だ。「患者さんと直接触れ合える医療を」と2023年5月に開業し、得意とする内視鏡検査や、機能性消化管疾患の治療を軸に、風邪や生活習慣病などの内科診療で地域医療にも取り組む。高度な検査技術と豊富な診療経験を持つ岡田院長は「患者さんの思いに耳を傾け、不安や怖さを感じさせない治療や検査を行うことで、患者さんの人生を良くする医療を大事にしたい」と話す。取材ではその思いに至った背景や現在の診療内容について、じっくりと語ってもらった。
(取材日2025年2月13日)
利便性の高い山科で開業クリニックならではの診療を
ご開業から約2年、現在の診療の様子をお聞かせください。

当院では胃・腸の内視鏡検査や、さまざまな消化器疾患の診療、また発熱など日常的な内科症状の診療も行っています。一般的に内視鏡検査は中高年以降の方が中心ですが、当院では30代など、比較的若い方も多数いらっしゃいます。「会社の健康診断で異常を指摘されて」という声が多いですね。それから、胃痛や下痢などの消化器症状は年齢を問わず多くのご相談があり、中には原因がわからないまま適切な治療を受けていなかったり、症状のために日常生活にさまざまな支障を来していたりする方も。これといった原因が見つからないのに症状があるものは機能性消化管疾患と呼ばれ、過敏性腸症候群などもその一つですが、私はこの機能性消化管疾患の診療にも力を入れています。また、日常的な症状や生活習慣病の患者さんも増え、インフルエンザの感染が拡大した時期には、急きょ日曜日に発熱患者向けの外来を行ったりもしました。
ご開業まではどのようなお仕事を?
もともと出身が京都で、大学卒業後は京都第二赤十字病院の消化器内科で長く勤務しました。現在も非常勤で内視鏡検査を行っています。私自身、胃腸があまり強くなくて消化器疾患の患者さんには親近感がありますし、ちょうど内視鏡の機器や診療技術が急速に発達した時代でもあったので、楽しさややりがいは大きかったですね。ただ、勤務年数が長くなると指導的な立場に回ることも多く、患者さんを直接診る機会が減るように。患者さんを長く支え続け、病院では取り組みにくい診療もしてみたいという気持ちが募り、開業に至りました。
クリニックの立地や設備にはこだわったそうですね。

現在、内視鏡検査では鎮静剤を使うことが多く、鎮静剤を使用した場合は検査後に車が運転できません。ですから「駅から近い」という点にこだわって場所を探していました。山科駅には複数路線が乗り入れていて非常に便利ですし、駅からここまでは歩いて4分ほどと好条件でした。クリニックモール前には駐車場もありますしね。院内はなるべく開放的にしたかったのであえて2階に入り、待合室は天井の高いデザインにしてもらいました。コンセントのあるカウンター式の座席や、座り心地の良い椅子、色調や照明も工夫したので「きれいなクリニックですね」と患者さんから言われるのはうれしいですね。診察室や検査エリアも、広さと清潔感、快適さを大事にしています。院内では気持ち良く過ごしていただきたいですから。
内視鏡検査や機能性消化管疾患の診療に注力
こちらで受けられる内視鏡検査について、詳しく教えてください。

患者さんのご希望に合わせながら質の高い検査ができるよう、高精度の機器や設備を整えています。鎮静剤の使用の有無や、胃の内視鏡検査なら口からと鼻から行う方法があり、大腸内視鏡検査では太さが異なるカメラを2本用意してカメラが通りにくければ交換するなど、患者さんごとに選択できる要素を増やし、負担の少ない検査をめざします。また大腸内視鏡検査の際に下剤を飲む前処置は、ご自宅でも院内でもOKで、院内にはふかふかのリクライニングチェアを備えた半個室と前処置専用のトイレを配置。更衣室から内視鏡室へは直接移動できますし、検査後はリカバリールームで休むこともできます。検査機器は先進のシステムで、特に大腸ではAIによる画像診断支援システムも利用して、見逃しのないよう検査に努めています。また、よほど大きなポリープ以外でしたら、日帰りで切除も行っています。
内視鏡検査で、先生が大事にしていることは?
内視鏡検査でイメージされがちな苦痛や不安、また不便さを極力減らすことですね。痛みや不快感は、検査の技術や検査機器、鎮静剤によってかなり軽減がめざせます。また仕事や子育てに忙しい世代では、検査に来ること自体を負担に感じる方も多いでしょう。当院では胃と大腸の同日検査もしていますし、検査結果はその日のうちにお伝えしています。「鎮静剤でぼーっとしてしまう」ということも考えられますので、説明では検査画像と所見をまとめたレポートをお渡しします。それから次の検査までの間隔も、例えばピロリ菌がいない方でしたら「胃カメラを毎年受ける必要はないですよ」など、ガイドラインにそってご案内しています。「検査を受けなければ」という過度の義務感や、検査を避ける気持ちが増さないように配慮しています。
では、機能性消化管疾患の診療についてはいかがでしょうか?

内視鏡などの検査で異常が見つからないのに腹痛や下痢がある機能性消化管疾患で悩んでいる方は、実は非常に多いです。このうち、長年続く下痢の原因の一つに胆汁性下痢があり、その診療を行っています。胆汁は、通常は十二指腸へ分泌され小腸で再吸収されますが、大腸へ入ってしまうと下剤のような働きをするために食後すぐの下痢を招きやすく、下痢止め薬で止めることはできません。「すぐに下痢をするので朝食は食べられない」「下痢で旅行に行けない」など、深くお悩みの方が多いのも特徴です。ただあまり知られていない病気ですので、誤った治療を受けていたり、ストレス性として片づけられたりしてしまうことも。私も患者さんから相談を受けたことをきっかけに、治療に取り組むようになりました。治療のできる医師を探している患者さんは多く、ご自身で胆汁性下痢を疑っている方向けのオンライン診療には、東京など遠方からの方もいらっしゃいますよ。
対話の中から原因を見出し、患者に寄り添う治療を
先進の技術を活用しつつ、患者さんとの対話も大事にされているのですね。

院内には内視鏡をはじめ、脂肪肝の程度を評価できる超音波や心電図、血管の硬さを調べる検査機器などもそろえています。ただ、ほとんどの場合はやはり問診が非常に重要ですし、問診から見当をつけられる病気は多いです。私自身、過去に医師から不十分な説明を受けて残念な思いをした経験もあり、「自分が患者さんの立場だったら」という意識は常にあります。話をしていただきやすい雰囲気をつくり、安心感のある医療をしたいなと思っています。内視鏡検査も多くの方に受けてもらいたいとは思っていますけれど、数を増やすだけでなく「受けやすい検査、また受けようと思ってもらえる検査」を続けることが目標ですし、やりがいにもなっています。
話は変わりますが、先生がリフレッシュや健康のためにされていることは?
サイクリングや昔は登山もしていましたが、日々忙しく、まとまった休みを取ることは難しいですね。ジムに入会してみましたが、通う時間もなかなか取れません。「せめて通勤で体を動かそう」と、暖かい時期には自宅からクリニックまで10キロほどの距離を自転車で往復しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

もともと医師になったのは、人と接する仕事がしたいと思ったからで、開業を決めたのもやはりその気持ちが根底にあります。大きな病院では実践しにくかった、個々の患者さんのニーズに寄り添った検査や、診療する医師が少ない病気の治療など、クリニックならではの診療を大事にしていきたいですね。当院では土曜日の午後にも大腸内視鏡検査を行っていますし、オンライン診療も導入しています。また、急な体調不良などでお困りのご連絡を頂いた際には、日曜や祝日に臨時の診察を行うこともあります。腹部症状は長期間にわたって悩んでいる方や、若くても人知れず苦しんでいる方が多いと思うので、お困りのことがあれば、年齢を問わず気軽にご相談いただきたいと思います。