出口 有近 院長の独自取材記事
でぐちクリニック
(神戸市兵庫区/新開地駅)
最終更新日:2023/12/22

新開地駅から直結するビルの地下1階にある「でぐちクリニック」。院内は、広々としており、受付や診察室に描かれたかわいいだるまのロゴマークが印象的だ。一般内科診療から専門性の高い糖尿病診療、皮膚科診療を実施している同院。院長の出口有近先生と副院長の出口彩香先生が患者が通いやすいクリニックをめざし、2023年5月に開業した。「患者とコミュニケーションを取っている時が楽しい」と話す出口院長。何げない会話の中からも、その人の食習慣や生活背景を読み解き、治療をスムーズに行えるように心がけているのだとか。決して患者を叱ることなく、「よく来てくれたね」と丁寧に声をかける出口院長。そんな出口院長に同院のめざす治療、特徴や心がけなどたっぷりと話を聞いた。
(取材日2023年6月20日)
患者が継続して通いやすいよう駅前にオープン
クリニックを2023年5月にオープンされました。どのような診療を行っていくことをめざしていますか?

私は糖尿病治療を専門としていますが、生活習慣病全般にその予防、風邪、発熱、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、各種検診、予防接種、皮膚科診療と幅広く診療を行っています。どのような疾患の患者さんとも、対話から生活背景を見つめ、お一人お一人に合った診療をしていくことをめざしています。当院では、食事や運動指導も行っています。管理栄養士による食事指導のほか、運動も私が診察室で実演しながら丁寧に指導を行います。特に慢性疾患の治療は何よりも継続していくことが大切です。お薬ばかりに頼り過ぎることなく、必要に応じて服薬しながら運動や食事で生活改善し、その生活習慣がついたらお薬をやめて好循環に回していくことが重要だと思っています。
こちらにクリニックをオープンされたきっかけは?
先ほどお伝えしたとおり、治療には継続が重要です。そのため、患者さんが通院しやすいよう駅の近くにクリニックをオープンしたかったんです。ここは新開地駅直結で、雨に濡れる心配もありません。帰りや待ち時間にはスーパーや飲食店に気軽に寄ることもできますし、通院という気が重たくなる時間も楽しみの1つになるのではないかと思っています。ウェブ予約を導入しているほか、土曜も開いていたり、平日は曜日によって20時まで診療していたりと、診療時間を長く設けていますので、お忙しい方にも通いやすくしています。でも、何よりも地元に医療貢献したかったというのが理由です。医療法人川崎病院で勤務していたこともあり、引き続き自分の患者さんを見守っていきたいという思いもあります。
院内づくりでは、どのようなところにこだわりましたか?

糖尿病患者さんは感染症罹患で重篤化しやすい特徴がありますので、感染症対策として発熱者専用の外来入り口・待合室を設けました。検査から診察、お会計までそのままお部屋で受けていただくことができます。また、検査のスピードにこだわって、血液検査や尿検査は30分以内に結果が出るよう先進の検査機器を導入しています。ほかにも、待ち時間も有意義に過ごしていただきたいので、待合室にはデジタルサイネージを導入し、運動方法や減塩のコツ、旬のレシピなどの情報を流しています。せっかくクリニックに来たのですから、なにか役に立つ情報の1つでも持って帰っていただけたらうれしいですね。
糖尿病患者を減らすため、肥満の段階でアプローチ
肥満の段階の患者さんにも食事指導などに力を注いでいるそうですね。

糖尿病になると脳梗塞や心筋梗塞が起こるリスクが高まる恐れがあります。糖尿病の始まりは肥満ですから、当院では、肥満傾向が見られた時点で患者さんが食事や運動の生活習慣を改善できるようサポートしています。患者さんの中には、健康診断で糖尿病を指摘されて来院する人だけでなく、体重が増えてきたからと来られる人もいますね。実際の糖尿病治療の流れとしては、例えば健康診断で指摘されて来られた場合、まず血液検査と尿検査をします。次に健康診断の結果と当日の検査結果から、今どのような状態にいるのかをご本人にお話しします。そして、普段の生活や仕事、食事などについてお聞きし、必要に応じた栄養と運動指導や、数値によってはお薬をお渡しします。治療にあたって私が必ずお伝えするのが、2つを意識してもらうことです。それは体重を増やさないことと、間食をしないこと。ハードルを高く設定するより、治療の継続に重きを置いてお話しします。
ほかに、糖尿病治療で気をつけていることはありますか?
真面目な性格の方には、「気を張り過ぎないように」とお伝えしています。最初は皆さん体重は減りやすいのですが、いつかは停滞期が来るんです。そんな時、減っていなかったり、増えていたりすると真面目な人ほど先生に怒られるんじゃないかと通院をやめてしまうことがあります。治療の手が届かなくなることが何よりいけませんので、普段から「頑張り過ぎないように」と話すようにしています。また、楽しみを奪うこともしていません。先ほど「間食はしないように」といいましたが、食事と食事の間に食べないようにというだけで、甘いものを食べてはいけないという意味ではありません。食事と同じタイミングならスイーツも構わないとして、食べることの楽しさは感じてもらえるように心がけています。通院できたらそれだけで60点、さらに体重が維持できていれば合格だとお伝えもしていますよ。
糖尿病を専門とするクリニックで診てもらうメリットは、どのようなところにありますか?

やはり、専門的な治療や先進の糖尿病治療を行えるところではないでしょうか。1型糖尿病の治療方法については、大きく進化しています。また、2型糖尿病のお薬もこの数年で何種類も増えて治療に選択肢ができた一方で複雑化しているともいえます。糖尿病はほかの病気にも関わってくることが多いことから、専門性が必要な病気かと思います。例えば、私の場合では、診療中に糖尿病に関する豆知識をお話しするようにしています。「太った人は、喉が乾いた感覚とおなかが空いた感覚がわかりにくいので、何か食べたいと思ったら、まずはお水を飲んで、それでも食べたかったら食べるというふうにすると良いですよ」など。すべての話が誰にでも当てはまるものではないでしょうが、糖尿病治療は日々の積み重ねなので、細かなアドバイスができるのは専門として学んできた医師ならではだと思っています。
新開地地域の健康寿命の延伸をめざす
健康診断の結果を見るときは何に気をつければよいですか? 早い段階での受診はなぜ大切なのでしょうか。

血圧、血糖、脂質など、生活習慣に伴う検査値は特に注視しておきましょう。これらの検査値に異常があると、今は無症状であったとしても、後から脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす恐れがあるからです。もし健康診断で指摘が入ったら、将来の自分のために早めの受診をお勧めいたします。やはり、大きな病気にかかって症状が出るようになってから治療を開始してもなかなか改善しないことが多いです。先手を打って治療開始するほうが、病気としても軽症であるため、管理しやすいといえます。
クリニックのコンセプトにしていることは何ですか?
「無病息災」という言葉がありますが、実際に一生無病の人はいませんよね。私は「一病息災」という言葉を大切にしています。1つ病気があったとしても、そこからかかりつけ医に通うことで、ほかの病気をいち早く見つけることができれば良いと考えています。ですから、必ずどの患者さんにも「ほかに具合の悪いところはないですか?」「気になることはないですか?」と声をかけて、何か不調があれば、エコーで動脈硬化やがんなどの腫瘍がないか確認するようにしています。患者さんの血糖値だけを追い求めるのではなく、全体像を捉え、その方が健康で長生きするにはどうしたらいいのかということを考えて、禁煙や検診といった提案も行っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

私が理想とする医師をイメージすると、患者さんと向かい合って対話しているところが浮かんできます。ですから、私は内科の医師になりました。患者さんが通いやすく、それでいてしっかりと治療ができるクリニックをめざして開業しました。地域のかかりつけ医として患者さんとの対話を大切にし、優しくフレンドリーに治療提案を行っていきたいと思います。この地域の平均寿命プラス10歳を目標に、健康寿命を延ばすお手伝いをしていきます。いつでもご相談ください。